2008年11月28日
幽霊バス
ある田舎のバスの運転手を勤めていた男は、今日は最終便を運転することになった。
ただでさえ人口の少ない山奥の田舎なので、10駅通っても客は一人も入ってこない。
確かに、こんな日も暮れた田舎にお客なんて居るはずが無い。
っと思った矢先、目の前を通り過ぎようとしたバス停に沢山の人が居るじゃないか。
運転手はバスを止めて客達を入れた。
客は驚くほど多人数で、スーツ姿の男性や、おかっぱ頭の少女、着物姿の老人など様々な人が乗車した。バスは一気に満員となった。
運転手は一気に客が増えたので始めは驚いたが、そんな日も在るさと思いバスを進めた。
だが、運転手は奇妙な事に気がついた。
あんなに多人数なので、そろそろ一人くらい客が降りても良いのにバスを止めるためのブザーは一向に鳴らない。
随分、遠くに行くんだな・・・。と運転手は思った。
だが、その後もバスは止まる事無く、結局終点まで走りきってしまった。
運転手は後ろの座席を振り向いて、「終点ですよ」と言おうとした瞬間凍りついた。
あの時乗ったはずの、多人数の客たちが一人残らず消えていたのだ。
彼等は一体何者だったのだろうか・・・。
ただでさえ人口の少ない山奥の田舎なので、10駅通っても客は一人も入ってこない。
確かに、こんな日も暮れた田舎にお客なんて居るはずが無い。
っと思った矢先、目の前を通り過ぎようとしたバス停に沢山の人が居るじゃないか。
運転手はバスを止めて客達を入れた。
客は驚くほど多人数で、スーツ姿の男性や、おかっぱ頭の少女、着物姿の老人など様々な人が乗車した。バスは一気に満員となった。
運転手は一気に客が増えたので始めは驚いたが、そんな日も在るさと思いバスを進めた。
だが、運転手は奇妙な事に気がついた。
あんなに多人数なので、そろそろ一人くらい客が降りても良いのにバスを止めるためのブザーは一向に鳴らない。
随分、遠くに行くんだな・・・。と運転手は思った。
だが、その後もバスは止まる事無く、結局終点まで走りきってしまった。
運転手は後ろの座席を振り向いて、「終点ですよ」と言おうとした瞬間凍りついた。
あの時乗ったはずの、多人数の客たちが一人残らず消えていたのだ。
彼等は一体何者だったのだろうか・・・。
2008年11月03日
古い友人
ある女性の家に、真夜中になって突然電話がかかってきた。出てみると、それは高校時代の同級生である。
相手の方は特に用事があるという風でもなく、なぜ突然電話をしてきたのかはよくわからなかったのだが、彼女は懐かしい友の声に喜び、しばらく話をした後に電話を切った。
ところが、その日から毎晩、彼女の家にはこの古い友人からの電話がかかってくるようになった。
話の内容は、いつもとりとめのない思い出話ばかり。最初のうちは懐かしがっていた彼女も、段々この友人の行動にうんざりし始めるようになっていった。
こうした毎夜の電話が二年ばかり続いた後のある日、久しぶりに彼女の母校で同窓会が開かれることになった。
彼女はこの同窓会の席で、もう毎晩の電話はやめてくれないかと例の友人に告げようと決意する。
ところが、同窓会の席にはあの友人の姿が見えない。周囲の人にあの子はきていないのかと尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。
「あれ、知らなかった?あの子、二年前に事故で死んじゃったよ」
その日の晩、彼女は電話の前で震えていた。
今まで自分が毎日話していたのは、やはり幽霊であったのだろうか。
いや、もしかしたら誰かのイタズラであるのかもしれない。
そのことを確かめなければ…。
その時、いつものように電話のベルが鳴り出した。
彼女は勇気を出して受話器を握る。電話に出たのは、いつもと変わらない死んだはずの友人の声だ。
「あなた、大丈夫なの?いま、どこにいるの」
彼女の問いに、友人はこう答えた。
「え?あなたの後ろにいるよ」
相手の方は特に用事があるという風でもなく、なぜ突然電話をしてきたのかはよくわからなかったのだが、彼女は懐かしい友の声に喜び、しばらく話をした後に電話を切った。
ところが、その日から毎晩、彼女の家にはこの古い友人からの電話がかかってくるようになった。
話の内容は、いつもとりとめのない思い出話ばかり。最初のうちは懐かしがっていた彼女も、段々この友人の行動にうんざりし始めるようになっていった。
こうした毎夜の電話が二年ばかり続いた後のある日、久しぶりに彼女の母校で同窓会が開かれることになった。
彼女はこの同窓会の席で、もう毎晩の電話はやめてくれないかと例の友人に告げようと決意する。
ところが、同窓会の席にはあの友人の姿が見えない。周囲の人にあの子はきていないのかと尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。
「あれ、知らなかった?あの子、二年前に事故で死んじゃったよ」
その日の晩、彼女は電話の前で震えていた。
今まで自分が毎日話していたのは、やはり幽霊であったのだろうか。
いや、もしかしたら誰かのイタズラであるのかもしれない。
そのことを確かめなければ…。
その時、いつものように電話のベルが鳴り出した。
彼女は勇気を出して受話器を握る。電話に出たのは、いつもと変わらない死んだはずの友人の声だ。
「あなた、大丈夫なの?いま、どこにいるの」
彼女の問いに、友人はこう答えた。
「え?あなたの後ろにいるよ」
2008年10月27日
助けを呼ぶ声
ある夜、医者はノックの音に起こされた。外に出てみると、コートを来た女の子が立っていた。
「母親が病気なんです」
医者はその女の子の家に言ってみると、母親は非常に危険な状況であったが、回復させることができた。
「あなたのお子さんが呼んでくれたんですよ」
医者は言った。
「そのに掛かっている赤いコートを着てた」
母親は驚き、
「そんなはずは…あの子は3ヶ月前に死んだのに」
「母親が病気なんです」
医者はその女の子の家に言ってみると、母親は非常に危険な状況であったが、回復させることができた。
「あなたのお子さんが呼んでくれたんですよ」
医者は言った。
「そのに掛かっている赤いコートを着てた」
母親は驚き、
「そんなはずは…あの子は3ヶ月前に死んだのに」
2008年09月27日
遊泳禁止区域
とある海沿いの田舎に青年がダイビングをしに来ていた
地元の人からは「禁泳区域」には絶対入るんじゃないぞと妙に固く言われた
それが気になって、なんか危険なのかなーと見てみると、別に高波がくるわけでもなく、ちょっと沖に出てるだけでそう危険には見えない
かえって気持ちよさそうな場所だ
青年が夕方に水中スクーターで海の散歩を楽しんでいた時の事だった
いいつけを破って禁泳区域に入ってしまっていた
それを知っていながら別に気にもせずに
「なんだ綺麗じゃん」
と思って楽しんでいた時の事だった
何か遠くに白い影が見える
人かな?と思ったら、そこらへんでフワフワしてたソレはこっちに気がついた様子で、ものすごい勢いで走ってきた
青年は驚き、慌てて水中スクーターをUターンし全開で逃げた
バカな、泳ぎで人間が水中スクーターに勝てるはずが無いだがしっかりついてくる。
それどころか距離が縮まっている。いや、泳いでいるのではない、奴は走っている
なんとか追いつかれる前に地上につき、そのままスクーターも投げ出して猛スピードで地元の寺に走って逃げた。地上に出たというのに後ろからまだハッキリとついてくるのが分かる
なんとか寺に逃げ込み住職に蒼い顔で状況を説明した住職は言った
「何故禁泳区域に入ったんだ!海で死んだ者達が生きてる人を引き込もうとさまよってる場所なんだ
とにかく、ここにいる間は大丈夫だから、夜が明けるまで外に出ちゃダメだぞ!」
そして、そのまま本堂で扉を閉め切って読経を始めた。すでに日は沈みかけ、それから真っ暗になった頃から奇妙な現象は始まった
バンバンバンバンと本堂の周りの扉を叩く音が響く。住職はとにかく
「開けてはならん!出てはならん!」
と言い読経を続けた
雷が鳴った瞬間、本堂の扉に人の影が写る。時間が経つほど音は激しくなる
青年は住職の前で蒼い顔で縮まってるしかできなかった
それは夜が明けるまで続いた…
朝になってすべてが収まり、住職も読経を止めて、言った
「これからは昼でも海には近づいてはいけない。あと海から離れていても、夜中に出歩いてはいけない
必ず貴方を連れて行くだろう」
あれから10年、青年はいまでも海には近づかない
地元の人からは「禁泳区域」には絶対入るんじゃないぞと妙に固く言われた
それが気になって、なんか危険なのかなーと見てみると、別に高波がくるわけでもなく、ちょっと沖に出てるだけでそう危険には見えない
かえって気持ちよさそうな場所だ
青年が夕方に水中スクーターで海の散歩を楽しんでいた時の事だった
いいつけを破って禁泳区域に入ってしまっていた
それを知っていながら別に気にもせずに
「なんだ綺麗じゃん」
と思って楽しんでいた時の事だった
何か遠くに白い影が見える
人かな?と思ったら、そこらへんでフワフワしてたソレはこっちに気がついた様子で、ものすごい勢いで走ってきた
青年は驚き、慌てて水中スクーターをUターンし全開で逃げた
バカな、泳ぎで人間が水中スクーターに勝てるはずが無いだがしっかりついてくる。
それどころか距離が縮まっている。いや、泳いでいるのではない、奴は走っている
なんとか追いつかれる前に地上につき、そのままスクーターも投げ出して猛スピードで地元の寺に走って逃げた。地上に出たというのに後ろからまだハッキリとついてくるのが分かる
なんとか寺に逃げ込み住職に蒼い顔で状況を説明した住職は言った
「何故禁泳区域に入ったんだ!海で死んだ者達が生きてる人を引き込もうとさまよってる場所なんだ
とにかく、ここにいる間は大丈夫だから、夜が明けるまで外に出ちゃダメだぞ!」
そして、そのまま本堂で扉を閉め切って読経を始めた。すでに日は沈みかけ、それから真っ暗になった頃から奇妙な現象は始まった
バンバンバンバンと本堂の周りの扉を叩く音が響く。住職はとにかく
「開けてはならん!出てはならん!」
と言い読経を続けた
雷が鳴った瞬間、本堂の扉に人の影が写る。時間が経つほど音は激しくなる
青年は住職の前で蒼い顔で縮まってるしかできなかった
それは夜が明けるまで続いた…
朝になってすべてが収まり、住職も読経を止めて、言った
「これからは昼でも海には近づいてはいけない。あと海から離れていても、夜中に出歩いてはいけない
必ず貴方を連れて行くだろう」
あれから10年、青年はいまでも海には近づかない
2008年09月23日
異様な人々
夏休み、Uは彼女とドライブに行った。
日帰りだったのだが思いのほか遅くなって焦っていたという。
俺だったら無理して帰るどころか一泊のチャンス、と思うのだがUは夜中に車を走らせていた。
最初は息苦しさを感じて、次に胸がグッと痛み出した。
そして寒気。
いくら北海道の山の中でも夏は夏だ。
インフルエンザ、と思ったそうだ。
不要な心配かけたくなかったので、彼女は起こさなかった。
しかし寒気、悪寒がひどくなり、路肩に寄せて一息つこうとしたとき、ヘッドライトが異様なものを照らしていた。
ボロボロな格好をした人間が何人も連なって歩いている、背を丸めて。
肌の色は緑がかっていて、目も口も真っ黒な穴のよう。
すごく違和感をおぼえる色彩を放っていたそうだ。
ジャリ、ジャリと何かを引きずる音。
そして、おしっこと汗の煮詰まったような強烈な匂いがガーンと直撃した。
恐怖のあまり寒気すら忘れていたUだが、その時に嗅いだ匂いは一生忘れられないほどだったらしい。
その時、隣の彼女がUを呼んだ。
すると彼らの姿が消えた、Uは直ぐに車を発進させた。
「どうしたの?」
只ならない様子を感じて彼女はUに聞いた。
Uは
「何でもないよ」
と答えて最寄のコンビニに駆け込んだ。
コンビニのあんちゃんを見た瞬間Uは思わず感涙しかけたそうだ。
日帰りだったのだが思いのほか遅くなって焦っていたという。
俺だったら無理して帰るどころか一泊のチャンス、と思うのだがUは夜中に車を走らせていた。
最初は息苦しさを感じて、次に胸がグッと痛み出した。
そして寒気。
いくら北海道の山の中でも夏は夏だ。
インフルエンザ、と思ったそうだ。
不要な心配かけたくなかったので、彼女は起こさなかった。
しかし寒気、悪寒がひどくなり、路肩に寄せて一息つこうとしたとき、ヘッドライトが異様なものを照らしていた。
ボロボロな格好をした人間が何人も連なって歩いている、背を丸めて。
肌の色は緑がかっていて、目も口も真っ黒な穴のよう。
すごく違和感をおぼえる色彩を放っていたそうだ。
ジャリ、ジャリと何かを引きずる音。
そして、おしっこと汗の煮詰まったような強烈な匂いがガーンと直撃した。
恐怖のあまり寒気すら忘れていたUだが、その時に嗅いだ匂いは一生忘れられないほどだったらしい。
その時、隣の彼女がUを呼んだ。
すると彼らの姿が消えた、Uは直ぐに車を発進させた。
「どうしたの?」
只ならない様子を感じて彼女はUに聞いた。
Uは
「何でもないよ」
と答えて最寄のコンビニに駆け込んだ。
コンビニのあんちゃんを見た瞬間Uは思わず感涙しかけたそうだ。
2008年09月21日
カリカリ
Aは仕送りを誤魔化す為に(差額分を懐にいれようとして)出来るだけ安い所を希望しました。そして、紹介されたのが少し大学からは距離があり、後半年も経たない内に取り壊されるというオンボロアパートでした。
先輩とBは引越しの手伝いがてら、そこに行くと木造○十年といった感じの上潰れた工場のような建物に両隣を囲まれた暗い感じのアパートだったそうです。そんなわけで
「幽霊でも出るんじゃね?」
とAを脅かしたりしたのです。Aは幽霊の類は一切信じない男だったので懐にお金が入ったからか明るく
「隣にも人が住んでるみたいだし、大丈夫大丈夫」
と言いました。
そんなこんなでAの引越しも終わり、Aと別れてアパートから出ようとした時、ちょうどAの隣人らしきオッサンが帰ってきました。細い路地を通って出なければならなかったので身をよじって擦れ違う時に先輩が
「すいません」
と声をかけるとオッサンは
「いえいえ」
と言ってすんなり擦れ違ったんですが擦れ違った後、
「あ、ちょっと・・・」
と先輩達に声をかけてきました
「若いんだから、仕方ないけど夜はもうちょっと静かにしてくれないかな?昨日も夜中、カリカリ五月蝿くてさ。壁が薄いから・・・ははは。」
Aが引越してきたのは今日の朝だったので先輩達は気味が悪くなりましたが、あれだけのオンボロアパートだからデッカイ鼠とかが居るっていう事にしておきました。
翌日、翌々日とAはサークルに顔を出してたのでその事を忘れていたのですが、三日目から急にサークルに顔を出さなくなりましたどうしたのかと思い、先輩達が電話してみると、普通に電話口にAが出て
「最近寝不足でさ~。隣のオッサンが夜中、ずっとカリカリうるせ~んだよ」
というのです。先輩は反射的に
「そのアパート出た方がいいんじゃないか?」
と言ったらしいでのすがAは笑い飛ばして、寝るからと電話を切ってしまいました。先輩とBは心配しましたが、気味悪いあのアパートに行くのも嫌だったので行きませんでした。
それから三日間経ってもAはサークルはもちろん学校にさえ来なかったので流石にヤヴァイと思いAのアパートに行ってみる事にしました。幸い、三日間とも携帯では連絡は取れていたのでその日の電話で
「今日、行くから」
と言うとAは気軽に来いよと言ってくれました。
先輩とBがアパートに着くと、雨戸は閉まっている上に玄関のドアが少し開いていたのでBが
「いないのか~?」
と中に声をかけてみると
「お~、来たか。入ってこいよ」
と普通にAが応えました。2人が中に入ると、Aは布団に入っていました。Aは目に大きなクマをつけながらも
「大丈夫大丈夫」
と笑顔で言っていたので、少し先輩は安心したそうです。結局、一週間ぶりに会ったせいもあって3人とも夜まで話し込んだんですが深夜も良い時刻になって急にAが
「眠たい」
と言い出しました。先輩達は寝不足なのに話に付き合わせて悪いなと思いつつ終電も終わり帰れなくなったのでいつも通りAに泊めて貰う事にしました。っと先輩が雑魚寝になると電気を消そうとしたBが馬鹿にしたように
「この部屋、どれも開けっぱなしでダラしね~な」
と言いました。横になった先輩が部屋を見回すと確かに押入れやトイレの扉はもちろん、鍋の蓋や雨戸まで蓋や扉の類は全て少しずつ開いていたそうです。それを見た先輩はいい知れぬ恐怖感を感じて、もう眠るどころではなくりました。それでも瞼を無理矢理閉じて、しばらくすると、何処からかカリカリという何かを引っ掻くような音が聞こえてきました。Aはうざったそうに
「また隣の奴だよ。うっせ~」
と言っていましたが先輩にはどう聞いても部屋中から聞こえていました。Bもどうやら同じようで先輩に小声で
「この部屋やべ~よ」
と言いました。先輩は絶えきれなくなって、暗がりの中瞼を開けてみると、押入れやトイレの隙間から何やら、白っぽいモヤモヤしたものが見え、そこからどうもカリカリと音がしているようでした。先輩は目を凝らして、それが何か確認しようとしたその時、Bが急に先輩に目隠しをしてきたのです。先輩はびっくりして
「な、な・・・・手をどけろよ」
と言いました。しかし、BであってBでない声で
「ダメダ・・・」
と。それっきり何を言ってもBは応えず先輩は目隠しされたまま、恐怖の時間を延々と過ごしました。いつの間に眠ってしまったのか、先輩はチュンチュンという鳥の鳴き声に目を覚まして目隠しを取ると朝になっていました。傍らにはAとBが何事もなかったようにスヤスヤと眠っていました。先輩は夢だったのかと思いましたが、昨日と同じように押入れやトイレの扉が開いている事に恐怖が甦り、アパートを飛び出してしまいました。
そして、その日以来、AとBはサークルや大学にも顔を出さなくなり携帯はおろか自宅電での連絡もつかなくなったそうでそのアパートが取り壊された今となっては、あのカリカリという音と白いモヤモヤがなんだったのか確認のしようもありません。
皆様も押入れや扉の隙間にご注意を・・・
先輩とBは引越しの手伝いがてら、そこに行くと木造○十年といった感じの上潰れた工場のような建物に両隣を囲まれた暗い感じのアパートだったそうです。そんなわけで
「幽霊でも出るんじゃね?」
とAを脅かしたりしたのです。Aは幽霊の類は一切信じない男だったので懐にお金が入ったからか明るく
「隣にも人が住んでるみたいだし、大丈夫大丈夫」
と言いました。
そんなこんなでAの引越しも終わり、Aと別れてアパートから出ようとした時、ちょうどAの隣人らしきオッサンが帰ってきました。細い路地を通って出なければならなかったので身をよじって擦れ違う時に先輩が
「すいません」
と声をかけるとオッサンは
「いえいえ」
と言ってすんなり擦れ違ったんですが擦れ違った後、
「あ、ちょっと・・・」
と先輩達に声をかけてきました
「若いんだから、仕方ないけど夜はもうちょっと静かにしてくれないかな?昨日も夜中、カリカリ五月蝿くてさ。壁が薄いから・・・ははは。」
Aが引越してきたのは今日の朝だったので先輩達は気味が悪くなりましたが、あれだけのオンボロアパートだからデッカイ鼠とかが居るっていう事にしておきました。
翌日、翌々日とAはサークルに顔を出してたのでその事を忘れていたのですが、三日目から急にサークルに顔を出さなくなりましたどうしたのかと思い、先輩達が電話してみると、普通に電話口にAが出て
「最近寝不足でさ~。隣のオッサンが夜中、ずっとカリカリうるせ~んだよ」
というのです。先輩は反射的に
「そのアパート出た方がいいんじゃないか?」
と言ったらしいでのすがAは笑い飛ばして、寝るからと電話を切ってしまいました。先輩とBは心配しましたが、気味悪いあのアパートに行くのも嫌だったので行きませんでした。
それから三日間経ってもAはサークルはもちろん学校にさえ来なかったので流石にヤヴァイと思いAのアパートに行ってみる事にしました。幸い、三日間とも携帯では連絡は取れていたのでその日の電話で
「今日、行くから」
と言うとAは気軽に来いよと言ってくれました。
先輩とBがアパートに着くと、雨戸は閉まっている上に玄関のドアが少し開いていたのでBが
「いないのか~?」
と中に声をかけてみると
「お~、来たか。入ってこいよ」
と普通にAが応えました。2人が中に入ると、Aは布団に入っていました。Aは目に大きなクマをつけながらも
「大丈夫大丈夫」
と笑顔で言っていたので、少し先輩は安心したそうです。結局、一週間ぶりに会ったせいもあって3人とも夜まで話し込んだんですが深夜も良い時刻になって急にAが
「眠たい」
と言い出しました。先輩達は寝不足なのに話に付き合わせて悪いなと思いつつ終電も終わり帰れなくなったのでいつも通りAに泊めて貰う事にしました。っと先輩が雑魚寝になると電気を消そうとしたBが馬鹿にしたように
「この部屋、どれも開けっぱなしでダラしね~な」
と言いました。横になった先輩が部屋を見回すと確かに押入れやトイレの扉はもちろん、鍋の蓋や雨戸まで蓋や扉の類は全て少しずつ開いていたそうです。それを見た先輩はいい知れぬ恐怖感を感じて、もう眠るどころではなくりました。それでも瞼を無理矢理閉じて、しばらくすると、何処からかカリカリという何かを引っ掻くような音が聞こえてきました。Aはうざったそうに
「また隣の奴だよ。うっせ~」
と言っていましたが先輩にはどう聞いても部屋中から聞こえていました。Bもどうやら同じようで先輩に小声で
「この部屋やべ~よ」
と言いました。先輩は絶えきれなくなって、暗がりの中瞼を開けてみると、押入れやトイレの隙間から何やら、白っぽいモヤモヤしたものが見え、そこからどうもカリカリと音がしているようでした。先輩は目を凝らして、それが何か確認しようとしたその時、Bが急に先輩に目隠しをしてきたのです。先輩はびっくりして
「な、な・・・・手をどけろよ」
と言いました。しかし、BであってBでない声で
「ダメダ・・・」
と。それっきり何を言ってもBは応えず先輩は目隠しされたまま、恐怖の時間を延々と過ごしました。いつの間に眠ってしまったのか、先輩はチュンチュンという鳥の鳴き声に目を覚まして目隠しを取ると朝になっていました。傍らにはAとBが何事もなかったようにスヤスヤと眠っていました。先輩は夢だったのかと思いましたが、昨日と同じように押入れやトイレの扉が開いている事に恐怖が甦り、アパートを飛び出してしまいました。
そして、その日以来、AとBはサークルや大学にも顔を出さなくなり携帯はおろか自宅電での連絡もつかなくなったそうでそのアパートが取り壊された今となっては、あのカリカリという音と白いモヤモヤがなんだったのか確認のしようもありません。
皆様も押入れや扉の隙間にご注意を・・・
2008年09月12日
見回り
ある日、Aは課題を終わらすため夜遅くまで学校に残っていた。
許可は取っていない。警備員が巡回するので見つかれば追い出されてしまう。
見つからないように部屋の電気は最小限にしていた
。
念のために内側から鍵も閉めておく。
しばらくして、そう遠くなさそうなところから音がする。
廊下からか他の部屋からかは分からない。
Aは警備員が来たと思い、電気を消し、隅の物陰に隠れた。
足音が聞こえる。やはり警備員が来たのだ。こちらに近づいてくる。
自分がいる部屋のドアが開いた。
「おい、こんな時間に学校にいたら駄目だろう。早く帰りなさい。」
真っ暗な部屋に男の声が響く。…見つかってしまったか。
声の主は電気も点けずにそのまま部屋を出て行った。
居るのが分かったなら電気ぐらい点けてくれてもいいだろうに。
見つかったからには仕方がない。
今日は帰るとしよう。電気をつけ、荷物をまとめるとドアに手をかけた。
ここで妙なことに気付く。…鍵がかかっている。
Aはここで更に気付いてしまった。
この部屋のドアは 内 側 か ら しか鍵はかけられない。外側には鍵穴さえない。
では先程の男はどうやって鍵を開けて中に入り、鍵をかけて出て行ったんだ?
それに真っ暗な部屋で物陰に隠れていたのにどうしていることが分かった?
電気の消し忘れと言うこともあるだろうに。
いや、そもそも先程のアレは警備員か?ではさっきのはダレだ?
Aは全力で逃げるように家に帰った。
以上です。結局その男の正体は分からずじまい。
その高校には他にもいろいろあるそうです。
許可は取っていない。警備員が巡回するので見つかれば追い出されてしまう。
見つからないように部屋の電気は最小限にしていた
。
念のために内側から鍵も閉めておく。
しばらくして、そう遠くなさそうなところから音がする。
廊下からか他の部屋からかは分からない。
Aは警備員が来たと思い、電気を消し、隅の物陰に隠れた。
足音が聞こえる。やはり警備員が来たのだ。こちらに近づいてくる。
自分がいる部屋のドアが開いた。
「おい、こんな時間に学校にいたら駄目だろう。早く帰りなさい。」
真っ暗な部屋に男の声が響く。…見つかってしまったか。
声の主は電気も点けずにそのまま部屋を出て行った。
居るのが分かったなら電気ぐらい点けてくれてもいいだろうに。
見つかったからには仕方がない。
今日は帰るとしよう。電気をつけ、荷物をまとめるとドアに手をかけた。
ここで妙なことに気付く。…鍵がかかっている。
Aはここで更に気付いてしまった。
この部屋のドアは 内 側 か ら しか鍵はかけられない。外側には鍵穴さえない。
では先程の男はどうやって鍵を開けて中に入り、鍵をかけて出て行ったんだ?
それに真っ暗な部屋で物陰に隠れていたのにどうしていることが分かった?
電気の消し忘れと言うこともあるだろうに。
いや、そもそも先程のアレは警備員か?ではさっきのはダレだ?
Aは全力で逃げるように家に帰った。
以上です。結局その男の正体は分からずじまい。
その高校には他にもいろいろあるそうです。