2009年02月09日
公衆電話
父親と2人暮らしの中学生のS君は、塾の帰り9時頃になると塾と隣りの雑居ビルの間の細い路地にある公衆電話から、父親の職場に電話をかけ、そして父親が迎えに来る、という生活を週に3~4日続けていたそうです。
ある日、いつものように父親に電話をかけ始め、呼び出し音が鳴っている最中、S君はコイン投入口のすぐ脇に、黒いペンキのようなもので塗りつぶされた後を見つけ、何だろう?と思い、家の鍵のキーホルダーで、少し削ってみました。
するとペンキの下には、文章らしき一部が出てきたそうです。
「夜、電」と書かれていて、ここまで削った時に父親が電話に出たため、その日はそこで終わりました。
それから、塾が休みだったり、また塾が終わって電話しても、すぐに父親が電話に出たりとそのペンキの下の文字の事など忘れかけてしまっていたある日、いつものように父親に電話をしましたが、なかなか出ません。
ふと、S君は以前、自分が削りかけていたペンキに気付きました。
「そういえば、こんなのあったな」と思い、再びキーホルダーでガリガリと削ってみました。
ペンキが徐々に削られていくと、その下には釘のような物で掘られた文章が出てきました。
「夜、電話中に振り向くと」
ここまで削ったとき、父親が電話に出ました。
父親と話しながら、S君は削り続けました。そして出てきた文章は・・・
「夜、電話中に振り向くと シヌ」
S君は凍りつきました。
と、同時にどうしても振り向いて、これは単なるイタズラだと確かめ、安心したいという衝動に駆られました。
S君は息を飲み、ゆっくり、ゆっくりと振り向きました。
次の瞬間、S君の父親が聞いたのは、受話器の向こうからのただならぬ息子の悲鳴でした。
父親が急いでその路地に駆けつけると、半狂乱状態のS君がいたそうです。
S君は幸いにも命を落とす事はなかったのですが、全く口を利かない殻に閉じこもった少年になってしまったそうです。
ある日、いつものように父親に電話をかけ始め、呼び出し音が鳴っている最中、S君はコイン投入口のすぐ脇に、黒いペンキのようなもので塗りつぶされた後を見つけ、何だろう?と思い、家の鍵のキーホルダーで、少し削ってみました。
するとペンキの下には、文章らしき一部が出てきたそうです。
「夜、電」と書かれていて、ここまで削った時に父親が電話に出たため、その日はそこで終わりました。
それから、塾が休みだったり、また塾が終わって電話しても、すぐに父親が電話に出たりとそのペンキの下の文字の事など忘れかけてしまっていたある日、いつものように父親に電話をしましたが、なかなか出ません。
ふと、S君は以前、自分が削りかけていたペンキに気付きました。
「そういえば、こんなのあったな」と思い、再びキーホルダーでガリガリと削ってみました。
ペンキが徐々に削られていくと、その下には釘のような物で掘られた文章が出てきました。
「夜、電話中に振り向くと」
ここまで削ったとき、父親が電話に出ました。
父親と話しながら、S君は削り続けました。そして出てきた文章は・・・
「夜、電話中に振り向くと シヌ」
S君は凍りつきました。
と、同時にどうしても振り向いて、これは単なるイタズラだと確かめ、安心したいという衝動に駆られました。
S君は息を飲み、ゆっくり、ゆっくりと振り向きました。
次の瞬間、S君の父親が聞いたのは、受話器の向こうからのただならぬ息子の悲鳴でした。
父親が急いでその路地に駆けつけると、半狂乱状態のS君がいたそうです。
S君は幸いにも命を落とす事はなかったのですが、全く口を利かない殻に閉じこもった少年になってしまったそうです。
2009年02月03日
キャンプ
その女教師が学生の頃、夏休みにキャンプに行く事になりました。
テントをはる場所から一番近くにあるトイレはめちゃくちゃ薄暗くて汚く、個室が二つあるだけ。
彼女は「あんまり入りたくないな」と思ったそうです。
そのうちに夜が更け、お決まりのキャンプファイヤーが始まりました。
キャンプファイヤーで盛り上がっている最中、不覚にも彼女はトイレに行きたくなりました。
しかし自分一人であの薄暗くて汚いトイレに行くのは冗談じゃないので、友達についてきてもらう事にしたそうです。
彼女と友達は足早にトイレに向かいました。昼間でも薄暗いトイレは夜に見るともう真っ暗。
彼女は、「早く用を足してここから逃げたい」と思ったそうです。
素早くでトイレの豆電球をつけ、友達に外で待っててもらって中に入りました。
そして入り口から一番近い個室のドアを開けようとした時です。
なんと、戸が開かないのです。押しても引いても。
「あれ?何で?」と彼女は疑問に思いましたが、すぐにある事に気がつきました。
トイレのドアの隙間をよく見ると、豆電球の薄明かりに紛れて人影が見えるのです。
そしてその人影がドアを引っ張っているのです。開けさせまいとするかの様に。
彼女は、(ああ、ここには誰か人が入ってたんだ。じゃあ奥のトイレに入ろう)と思い直し、急いで奥のトイレに向かいました。
しかしその時、ふと気づいたのです。
(ちょっと待って・・・?)
(私が入ってくるまで、このトイレは電気がついてなくて真っ暗だったはず。この人はどうして、電気もつけずにトイレに入ってるんだろう・・・?)
女教師は次の瞬間、背筋がゾーーッとしたそうです。
こんな夜中に、こんな真っ暗なトイレで、この人は何をしているのか。
彼女はもはやトイレなどどうでも良くなり、外に飛び出して友達をせきたて、慌ててそこから逃げ出しました。
結局、そのトイレで誰が何をしてたのかは最後まで分からなかったのですが、彼女は、あのドアを必死に引っ張る人影を思い出すたびに、なんともいえない恐怖に駆られ、身震いするそうです。
テントをはる場所から一番近くにあるトイレはめちゃくちゃ薄暗くて汚く、個室が二つあるだけ。
彼女は「あんまり入りたくないな」と思ったそうです。
そのうちに夜が更け、お決まりのキャンプファイヤーが始まりました。
キャンプファイヤーで盛り上がっている最中、不覚にも彼女はトイレに行きたくなりました。
しかし自分一人であの薄暗くて汚いトイレに行くのは冗談じゃないので、友達についてきてもらう事にしたそうです。
彼女と友達は足早にトイレに向かいました。昼間でも薄暗いトイレは夜に見るともう真っ暗。
彼女は、「早く用を足してここから逃げたい」と思ったそうです。
素早くでトイレの豆電球をつけ、友達に外で待っててもらって中に入りました。
そして入り口から一番近い個室のドアを開けようとした時です。
なんと、戸が開かないのです。押しても引いても。
「あれ?何で?」と彼女は疑問に思いましたが、すぐにある事に気がつきました。
トイレのドアの隙間をよく見ると、豆電球の薄明かりに紛れて人影が見えるのです。
そしてその人影がドアを引っ張っているのです。開けさせまいとするかの様に。
彼女は、(ああ、ここには誰か人が入ってたんだ。じゃあ奥のトイレに入ろう)と思い直し、急いで奥のトイレに向かいました。
しかしその時、ふと気づいたのです。
(ちょっと待って・・・?)
(私が入ってくるまで、このトイレは電気がついてなくて真っ暗だったはず。この人はどうして、電気もつけずにトイレに入ってるんだろう・・・?)
女教師は次の瞬間、背筋がゾーーッとしたそうです。
こんな夜中に、こんな真っ暗なトイレで、この人は何をしているのか。
彼女はもはやトイレなどどうでも良くなり、外に飛び出して友達をせきたて、慌ててそこから逃げ出しました。
結局、そのトイレで誰が何をしてたのかは最後まで分からなかったのですが、彼女は、あのドアを必死に引っ張る人影を思い出すたびに、なんともいえない恐怖に駆られ、身震いするそうです。
2009年01月31日
あるアパートで
ある男が酒をのんで熟睡している。
ふと顔に何かかかるので寝ぼけながら払いのけた。
しばらくするとまた顔に、かかる・・・・。払いのける。
数回繰り返しているうちに、
・・・・髪の毛だ。・・・・・・・・・・・・・・・長い。
醒めつつある頭で、昨夜を思い出すが女と一緒に寝た記憶はない。
それとも酒の勢いで?
暗がりの中、相変わらず顔にかかる髪の毛を握って、つっと引っ張ってみる。
手の感触から髪の毛の主は「・・・・自分の横に寝ていない」。
「髪の毛が、天井から垂れ下がってる・・・・・?」
男は暖簾のような髪の毛を払い、起き上がって部屋の電気をつけた。
・・・・・・・異常にながい髪の毛が天井から垂れ下がっていた。
髪の毛をたどっていくと、ちょうど水面から鼻下あたりまで顔を出すように ・・・
天井から、まっすぐ凝視した女の顔がさかさまに出ていた。
瞬きもなく・・・。
何なのかわからず男はみつめていた。ふと髪の毛を引っ張ってみる。
確かな手ごたえが返ってきた。
わけわからないまま、部屋をでて隣の友人を呼びにいく途中でひざが震え出した。
が、二人して返ってくるとそこにはもう何もなかったのである・・。
ふと顔に何かかかるので寝ぼけながら払いのけた。
しばらくするとまた顔に、かかる・・・・。払いのける。
数回繰り返しているうちに、
・・・・髪の毛だ。・・・・・・・・・・・・・・・長い。
醒めつつある頭で、昨夜を思い出すが女と一緒に寝た記憶はない。
それとも酒の勢いで?
暗がりの中、相変わらず顔にかかる髪の毛を握って、つっと引っ張ってみる。
手の感触から髪の毛の主は「・・・・自分の横に寝ていない」。
「髪の毛が、天井から垂れ下がってる・・・・・?」
男は暖簾のような髪の毛を払い、起き上がって部屋の電気をつけた。
・・・・・・・異常にながい髪の毛が天井から垂れ下がっていた。
髪の毛をたどっていくと、ちょうど水面から鼻下あたりまで顔を出すように ・・・
天井から、まっすぐ凝視した女の顔がさかさまに出ていた。
瞬きもなく・・・。
何なのかわからず男はみつめていた。ふと髪の毛を引っ張ってみる。
確かな手ごたえが返ってきた。
わけわからないまま、部屋をでて隣の友人を呼びにいく途中でひざが震え出した。
が、二人して返ってくるとそこにはもう何もなかったのである・・。
2009年01月26日
あたしの家だよぉ
古い建物を改装したアパートなんだけど、リフォームがしっかりしてて結構綺麗、借りたのは最上階の部屋で、部屋も広くて天井も高く開放感のある部屋。
主要線の駅からも歩いて行ける位近くて、商店なんかも整ってて凄く条件が良い物件だったそうです。
それなのに、家賃もそれほど高くない…と云うより安い程。
(この時点で普通はおかしいと思いません?)
でも、そこに入居して暫く経って、一つ嫌な事を発見したんです。
和室の押入れの上部に小さな棚があって、そこの奥天井に一枚の御札が貼られてるのに気付いたそうです。
Aは心霊だとかその手の事には鈍感な性質で、気味が悪いとは思いつつもお札を剥がして捨てたんです。
それから、部屋に変な電話が掛かってくるようになったんです。
しわがれた年配の女性の声で、呟くように繰り返すのだそうです。
「こちらはあたしの家じゃないかねぇ」
、って。
Aはいたずら電話か痴呆老人の仕業かと思って、対応もおざなりに電話を切ったそうです。
けど、その電話は時折掛かってきたんです。日をおいて幾度も、同じ老女から同じ内容で。
終いには辛抱しきれなくなったAは、この部屋は俺のモンだ、と怒鳴りつけたんだそうです。
そうしたら、震える声で
「…ここはあたしの家だよぅ」
と返ってきたきり、電話は切れてしまったそうです。
その夜、Aは息苦しさに目を覚ましたそうです。
身体が動かない。すぐに金縛り状態である事に気付きます。
動けないまま目を凝らしていると、直に目が暗闇に慣れてきました。
その時、顔にポタリと何か雫のような物が降りかかったんです。
すぐ頭上の天井に目を向けると、真っ白な筈の天井に黒いシミが出来ていて、そこから雫が垂れているようでした。
みるみるシミは広がって、垂れてくる雫の量が増えてきました。
生臭い!その雫が血であると思った瞬間、天井のシミの中から何かがA目掛けて降ってきたんです。
ドサドサ、バラバラと重みのある物体が、Aの顔といわず身体といわず降り掛かったんです。
Aが恐怖に身を強張らせていると、顔の真横に生臭い空気を感じました。
視線を向けると、真っ黒な塊…人の首がAの顔の横にあり、それが耳元で口を開いたんです。電話のしわがれた声で。
「ここはあたしの家だよぅ」
翌日、Aはすぐその部屋から引き払いました。
不動産屋は、もうあんな所には住めないと訴えるAを問い質す事も無く即時引き払いに応じたそうです。
後日、Aはその部屋の(建物の)来歴を調べました。
十数年前、その建物はある資産家の老女の持ち物でした。
しかしその老女は欲に目の眩んだ身内によって殺されたんだそうです。
ただ…何故Aの借りた部屋に老婆は現れたのか。明確な理由は今でも解りません。
主要線の駅からも歩いて行ける位近くて、商店なんかも整ってて凄く条件が良い物件だったそうです。
それなのに、家賃もそれほど高くない…と云うより安い程。
(この時点で普通はおかしいと思いません?)
でも、そこに入居して暫く経って、一つ嫌な事を発見したんです。
和室の押入れの上部に小さな棚があって、そこの奥天井に一枚の御札が貼られてるのに気付いたそうです。
Aは心霊だとかその手の事には鈍感な性質で、気味が悪いとは思いつつもお札を剥がして捨てたんです。
それから、部屋に変な電話が掛かってくるようになったんです。
しわがれた年配の女性の声で、呟くように繰り返すのだそうです。
「こちらはあたしの家じゃないかねぇ」
、って。
Aはいたずら電話か痴呆老人の仕業かと思って、対応もおざなりに電話を切ったそうです。
けど、その電話は時折掛かってきたんです。日をおいて幾度も、同じ老女から同じ内容で。
終いには辛抱しきれなくなったAは、この部屋は俺のモンだ、と怒鳴りつけたんだそうです。
そうしたら、震える声で
「…ここはあたしの家だよぅ」
と返ってきたきり、電話は切れてしまったそうです。
その夜、Aは息苦しさに目を覚ましたそうです。
身体が動かない。すぐに金縛り状態である事に気付きます。
動けないまま目を凝らしていると、直に目が暗闇に慣れてきました。
その時、顔にポタリと何か雫のような物が降りかかったんです。
すぐ頭上の天井に目を向けると、真っ白な筈の天井に黒いシミが出来ていて、そこから雫が垂れているようでした。
みるみるシミは広がって、垂れてくる雫の量が増えてきました。
生臭い!その雫が血であると思った瞬間、天井のシミの中から何かがA目掛けて降ってきたんです。
ドサドサ、バラバラと重みのある物体が、Aの顔といわず身体といわず降り掛かったんです。
Aが恐怖に身を強張らせていると、顔の真横に生臭い空気を感じました。
視線を向けると、真っ黒な塊…人の首がAの顔の横にあり、それが耳元で口を開いたんです。電話のしわがれた声で。
「ここはあたしの家だよぅ」
翌日、Aはすぐその部屋から引き払いました。
不動産屋は、もうあんな所には住めないと訴えるAを問い質す事も無く即時引き払いに応じたそうです。
後日、Aはその部屋の(建物の)来歴を調べました。
十数年前、その建物はある資産家の老女の持ち物でした。
しかしその老女は欲に目の眩んだ身内によって殺されたんだそうです。
ただ…何故Aの借りた部屋に老婆は現れたのか。明確な理由は今でも解りません。
2009年01月23日
メッセージ
ある田舎の高校1年生くらいの少女が、誕生日祝いに親に携帯電話を買ってもらった。
その子はとても喜んだが、その頃は携帯があまり普及していなく、また田舎ということもあり、少女のまわりの友達は誰も携帯電話を持っていなかった。
しかし、あるときその子の携帯に一通のメールが届いた。
その内容は
『メル友が欲しくて、適当に番号を入れて送ってみました。良かったらメル友になってくれませんか?』
というものだった。
その子は当然喜び、その申し出を受け入れた。
その日からその子はそのメル友と毎日のようにメールをしていた。
そのメル友は男の子で、高2だということで、歳も近いその男の子に、少女は次第にひかれていった。
しかし、その男の子とはテレビや学校の話はするものの、どこに住んでるのかとかは不明だった。
男の子はあまりそういう話をしたがらなかったのだ。
ある日少女は意を決して男の子にメールで聞いてみた。
『声が聞いてみたい。それに、直接いろいろな話をしてみたい』
というようなことを。
男の子は、しばらく間を開けた後
『僕も直接話してみたい。今日の夜8時頃に電話するよ』
というメールを返した。
女の子はとても喜び、どんなことを話そうかいろいろ考えながら8時を待った。
それから、8時を少し過ぎたところで男の子から電話がきた。
女の子は、男の子との初めての電話をまた後で聞き返したいと思い、録音機能を使いながら会話をしていた。
男の子との会話はとても楽しく、ふと気が付いたら9時半をまわっていた。
女の子は
『もうこんな時間だ。また今度話をしよう』
と、そこで会話を切った。
女の子はとても楽しかったな。と、男の子との会話を思い返していた。
が、なぜかあまりよく思い出せない。とても楽しかったことだけは覚えているのだけど。
そうこうしている内に、初めての電話という緊張から解かれた為か、眠くなってきてしまった。
今日はもう寝よう、と10時すぎには就寝していた。
突然、
『あんた何やってんの?!!』
と、母親の怒鳴り声がして女の子は目を覚ました。
女の子は2階の自分の部屋の窓から転げ落ちる寸前だった。時計の針は2時を指している。
母親は女の子の部屋からやたら物音が聞こえるのでみにきたのだった。
女の子はなぜ自分が窓の手摺りを乗り越えようとしてたのか分からなかった。
ふと、男の子との会話が気になった。たしか録音してたはずだ、とその会話を聞いてみた。
その携帯に残っていた会話は、これだけだった。
『お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。』
その子はとても喜んだが、その頃は携帯があまり普及していなく、また田舎ということもあり、少女のまわりの友達は誰も携帯電話を持っていなかった。
しかし、あるときその子の携帯に一通のメールが届いた。
その内容は
『メル友が欲しくて、適当に番号を入れて送ってみました。良かったらメル友になってくれませんか?』
というものだった。
その子は当然喜び、その申し出を受け入れた。
その日からその子はそのメル友と毎日のようにメールをしていた。
そのメル友は男の子で、高2だということで、歳も近いその男の子に、少女は次第にひかれていった。
しかし、その男の子とはテレビや学校の話はするものの、どこに住んでるのかとかは不明だった。
男の子はあまりそういう話をしたがらなかったのだ。
ある日少女は意を決して男の子にメールで聞いてみた。
『声が聞いてみたい。それに、直接いろいろな話をしてみたい』
というようなことを。
男の子は、しばらく間を開けた後
『僕も直接話してみたい。今日の夜8時頃に電話するよ』
というメールを返した。
女の子はとても喜び、どんなことを話そうかいろいろ考えながら8時を待った。
それから、8時を少し過ぎたところで男の子から電話がきた。
女の子は、男の子との初めての電話をまた後で聞き返したいと思い、録音機能を使いながら会話をしていた。
男の子との会話はとても楽しく、ふと気が付いたら9時半をまわっていた。
女の子は
『もうこんな時間だ。また今度話をしよう』
と、そこで会話を切った。
女の子はとても楽しかったな。と、男の子との会話を思い返していた。
が、なぜかあまりよく思い出せない。とても楽しかったことだけは覚えているのだけど。
そうこうしている内に、初めての電話という緊張から解かれた為か、眠くなってきてしまった。
今日はもう寝よう、と10時すぎには就寝していた。
突然、
『あんた何やってんの?!!』
と、母親の怒鳴り声がして女の子は目を覚ました。
女の子は2階の自分の部屋の窓から転げ落ちる寸前だった。時計の針は2時を指している。
母親は女の子の部屋からやたら物音が聞こえるのでみにきたのだった。
女の子はなぜ自分が窓の手摺りを乗り越えようとしてたのか分からなかった。
ふと、男の子との会話が気になった。たしか録音してたはずだ、とその会話を聞いてみた。
その携帯に残っていた会話は、これだけだった。
『お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。』
2008年12月09日
双子?
ある日の深夜、タクシーが人通りの少ない道で女に呼び止められた。
女は美人ではあるがどこか影のありそうな感じで、なぜかはわからないが人をゾッとさせるような独特の雰囲気がある。
時間も時間であるし、まさか幽霊じゃないだろうな……などと疑う運転手に向かい、女は小声で行き先を告げるとそのまま黙り込んでしまった。
やがてタクシーは数十分ほど走り続け、女に言われた場所までたどり着いた。
女は料金を支払うとタクシーから降り、そのまま夜の闇の中に歩き去っていく。
どうやら生身の人間であったらしい。
安心した運転手はホッと息をつき、そのまま今来た道を戻っていった。
ところが、しばらく走り続けて先ほど女を拾った場所に差し掛かったとき、運転手は信じられないものを目にし思わず声を上げてしまった。
人気のないその道の片隅に、先ほど送り届けたはずの女が立ち、さっきと同じように手を上げてタクシーを呼び止めようとしていたのである。
女は美人ではあるがどこか影のありそうな感じで、なぜかはわからないが人をゾッとさせるような独特の雰囲気がある。
時間も時間であるし、まさか幽霊じゃないだろうな……などと疑う運転手に向かい、女は小声で行き先を告げるとそのまま黙り込んでしまった。
やがてタクシーは数十分ほど走り続け、女に言われた場所までたどり着いた。
女は料金を支払うとタクシーから降り、そのまま夜の闇の中に歩き去っていく。
どうやら生身の人間であったらしい。
安心した運転手はホッと息をつき、そのまま今来た道を戻っていった。
ところが、しばらく走り続けて先ほど女を拾った場所に差し掛かったとき、運転手は信じられないものを目にし思わず声を上げてしまった。
人気のないその道の片隅に、先ほど送り届けたはずの女が立ち、さっきと同じように手を上げてタクシーを呼び止めようとしていたのである。
2008年12月01日
トンネルで
ある日の深夜、若い女性が家への帰り道を歩いていた。彼女の家は、“出る”という噂のトンネルを抜けた先にある。
しかし、これまでに彼女はそこで何もおかしなものを見たことはなかったので、トンネルのことは特に気にしないでいた。
ところが、いざトンネルに差し掛かってみると、この日は様子がおかしい。
何かのトラブルがあったのか、トンネル内の電灯が全て消えていたのである。
こんな時間に、明かり一つ見えないトンネルを抜けるというのは、なんとも心細いものだ。彼女がトンネルの入り口で躊躇していると、後ろから「どうしました?」と誰かが声をかけてきた。
振り返ると、そこには若い警官が立っている。彼女が事情を説明すると、警官はそれならば自分が手を引いて案内するので、一緒に向こう側まで行きましょうと申し出てきた。
警官の持つ懐中電灯の細い明かりに照らされたトンネルの中は、いつもとは異なりかなり不気味な表情を見せている。彼女は何か変なものを見てしまうことを恐れて目をつぶると、警官に手を引かれるまま暗闇の中を歩いていった。
「つきましたよ」
やがてそんな声が聞こえ、彼女は恐る恐る目を開いた。
彼女の立つ少し先には、確かにトンネルの向かい側が見える。ところが、彼女の前を歩いていたはずの警官の姿がそこにはなぜか見当たらない。
懐中電灯の明かりも、いつの間にか消えてしまっている。
しかし、それでも誰かの手が彼女の右手をつかんでいる感触は、いまだにしっかりと感じられるのである。
彼女が恐る恐るという感じで辺りを見回すと、彼女を握っている手は、トンネルの壁一面からびっしりとはえた無数の手のうちの一本であった。
しかし、これまでに彼女はそこで何もおかしなものを見たことはなかったので、トンネルのことは特に気にしないでいた。
ところが、いざトンネルに差し掛かってみると、この日は様子がおかしい。
何かのトラブルがあったのか、トンネル内の電灯が全て消えていたのである。
こんな時間に、明かり一つ見えないトンネルを抜けるというのは、なんとも心細いものだ。彼女がトンネルの入り口で躊躇していると、後ろから「どうしました?」と誰かが声をかけてきた。
振り返ると、そこには若い警官が立っている。彼女が事情を説明すると、警官はそれならば自分が手を引いて案内するので、一緒に向こう側まで行きましょうと申し出てきた。
警官の持つ懐中電灯の細い明かりに照らされたトンネルの中は、いつもとは異なりかなり不気味な表情を見せている。彼女は何か変なものを見てしまうことを恐れて目をつぶると、警官に手を引かれるまま暗闇の中を歩いていった。
「つきましたよ」
やがてそんな声が聞こえ、彼女は恐る恐る目を開いた。
彼女の立つ少し先には、確かにトンネルの向かい側が見える。ところが、彼女の前を歩いていたはずの警官の姿がそこにはなぜか見当たらない。
懐中電灯の明かりも、いつの間にか消えてしまっている。
しかし、それでも誰かの手が彼女の右手をつかんでいる感触は、いまだにしっかりと感じられるのである。
彼女が恐る恐るという感じで辺りを見回すと、彼女を握っている手は、トンネルの壁一面からびっしりとはえた無数の手のうちの一本であった。