2009年04月22日
警備会社
ある一人暮らしの老人宅から救急信号が警備会社に入った。この老人は警備会社の契約先で、救急ボタンを設置してあり、これを押すと電話回線を通じて警備会社に連絡がいくシステムになっていた。警備会社の隊員がかけつけ、家にはいると中には誰もおらず妙に綺麗にかたずいていた。
不思議に思いながらも契約時に登録してあった老人の息子宅に隊員が状況を説明のために電話をすると息子はびっくりしてこういった、
『母は先週亡くなっていてその家は無人のはずですよ』と。
不思議に思いながらも契約時に登録してあった老人の息子宅に隊員が状況を説明のために電話をすると息子はびっくりしてこういった、
『母は先週亡くなっていてその家は無人のはずですよ』と。
2009年04月08日
霊感
人には『霊感』というものは誰にでも備わってるわけじゃない。
誰もが思ったことがあると思うが、「自分には霊感があるのか?」と。
それを知る方法があるらしく、その方法とは
まず目を閉じて、自分の家(もしくは実家)を思い浮かべ、その自分の家の窓をすべて開ける。
そしてすべての窓を開けたら、今度はしめてください。
その開け閉めをしてる間に窓に生物(人間、犬など)見えるとその人は霊感があるのだということらしいんです。
そんなある日、昔から霊感のある女子大生が、同じことをやったそうなんです。
すると窓にオジサンらしき人が現れ、その人は、その女子大生に、何かを訴えていました。
「……ってくれ」
「……ってくれ」
よく聞き取れない。
よく耳をすますと、
「…どってくれ」
踊ってくれといってるみたいだった。
その女子大生はその時は何とも思わなかったらしいのだが、しばらくしてその子の母が親戚のおじさんが亡くなったという知らせが入り、翌日おじさんが住んでた実家にいった。
遺影を見るなり彼女は驚いた。
窓に現れたオジサンと遺影のおじさんが同じ人だったのだ。
驚きながらも思い出した。彼女は昔バレエ習っていて、そのシューズや衣装などおじさんに買ってもらったことを思い出し、おじさんはきっと私にバレエを踊って欲しくて出てきたんだと思ったそうです。
葬式も無事に済み、実家に戻った彼女は、疲れ切っていたせいもあったのか、うとうとし始めた。目を閉じて、時間もたたない内に、また家中の窓を開けていく光景が浮かんだ。
そこにまたおじさんは現れ、
「踊ってくれ…踊ってくれ」と
窓の外から彼女の足をひっぱってきた。
彼女は恐怖を覚えながらおじさんに、
「踊れないよ」
「もう踊れないんだよ」と彼女は心の声で精一杯訴えた。
でもおじさんはいっこうに足を離さない。
おじさんはずっと何かを訴えていた。よく耳を澄ませて聞いてみると……
「かわってくれ」と言っていたそうです。
誰もが思ったことがあると思うが、「自分には霊感があるのか?」と。
それを知る方法があるらしく、その方法とは
まず目を閉じて、自分の家(もしくは実家)を思い浮かべ、その自分の家の窓をすべて開ける。
そしてすべての窓を開けたら、今度はしめてください。
その開け閉めをしてる間に窓に生物(人間、犬など)見えるとその人は霊感があるのだということらしいんです。
そんなある日、昔から霊感のある女子大生が、同じことをやったそうなんです。
すると窓にオジサンらしき人が現れ、その人は、その女子大生に、何かを訴えていました。
「……ってくれ」
「……ってくれ」
よく聞き取れない。
よく耳をすますと、
「…どってくれ」
踊ってくれといってるみたいだった。
その女子大生はその時は何とも思わなかったらしいのだが、しばらくしてその子の母が親戚のおじさんが亡くなったという知らせが入り、翌日おじさんが住んでた実家にいった。
遺影を見るなり彼女は驚いた。
窓に現れたオジサンと遺影のおじさんが同じ人だったのだ。
驚きながらも思い出した。彼女は昔バレエ習っていて、そのシューズや衣装などおじさんに買ってもらったことを思い出し、おじさんはきっと私にバレエを踊って欲しくて出てきたんだと思ったそうです。
葬式も無事に済み、実家に戻った彼女は、疲れ切っていたせいもあったのか、うとうとし始めた。目を閉じて、時間もたたない内に、また家中の窓を開けていく光景が浮かんだ。
そこにまたおじさんは現れ、
「踊ってくれ…踊ってくれ」と
窓の外から彼女の足をひっぱってきた。
彼女は恐怖を覚えながらおじさんに、
「踊れないよ」
「もう踊れないんだよ」と彼女は心の声で精一杯訴えた。
でもおじさんはいっこうに足を離さない。
おじさんはずっと何かを訴えていた。よく耳を澄ませて聞いてみると……
「かわってくれ」と言っていたそうです。
2009年03月23日
ここにいるよ
hが住んでいた町に廃墟があった。
2階建てのアパートみたいな建物で、壁がコンクリートでできていた。
ガラスがほとんど割れていて、壁も汚れてボロボロだったから、
地元の人間でも、あまりこの場所に近づくことはなかったらしい。
ある日hは、友人と肝試しをすることになって、この廃墟に行くことにした。
まだ昼ぐらいだったから、建物の2階まで上がって建物を探索した。
そしたら並んでいる扉のひとつに、文字が書いてあるものがあった。
友人と近づいて確認してみると、扉の前に
「わたしは このさきの へやに いるよ」
と書いてあった。
hと友人は扉を開けて中に入り、先に進むことにした。
歩いて行くと分かれ道に突き当たって 、壁に
「わたしは ひだり に いるよ」
と書いてあった。
少し怖くなったけれど、hと友人はそのまま左に進むことにした。
すると両側に部屋があるところに突き当たって、壁に
「あたまは ひだり からだは みぎ」
と書いてあった。
友人はこれを見た瞬間に、半狂乱になって逃げだした。
でもhはその場所にとどまって、勇気を出して右の部屋に行くことにした
部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に
「わたしの からだは このしたにいるよ」
と書いてあった。下を見ると
「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」
hは急いで、その部屋の窓から飛び降りて逃げた。
2階建てのアパートみたいな建物で、壁がコンクリートでできていた。
ガラスがほとんど割れていて、壁も汚れてボロボロだったから、
地元の人間でも、あまりこの場所に近づくことはなかったらしい。
ある日hは、友人と肝試しをすることになって、この廃墟に行くことにした。
まだ昼ぐらいだったから、建物の2階まで上がって建物を探索した。
そしたら並んでいる扉のひとつに、文字が書いてあるものがあった。
友人と近づいて確認してみると、扉の前に
「わたしは このさきの へやに いるよ」
と書いてあった。
hと友人は扉を開けて中に入り、先に進むことにした。
歩いて行くと分かれ道に突き当たって 、壁に
「わたしは ひだり に いるよ」
と書いてあった。
少し怖くなったけれど、hと友人はそのまま左に進むことにした。
すると両側に部屋があるところに突き当たって、壁に
「あたまは ひだり からだは みぎ」
と書いてあった。
友人はこれを見た瞬間に、半狂乱になって逃げだした。
でもhはその場所にとどまって、勇気を出して右の部屋に行くことにした
部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に
「わたしの からだは このしたにいるよ」
と書いてあった。下を見ると
「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」
hは急いで、その部屋の窓から飛び降りて逃げた。
2009年03月22日
止まれない車
ある日Nはサークル仲間と夜景を見に、車二台で高原に出かけた。
高原で一行は綺麗な夜景を楽しんだ。
そのうち日付も変わり、
「そろそろ帰ろう」
と言う話になった。
一行は帰り支度をし、車に乗り込んで前の車はNの運転、後ろの車はKの運転で下り坂を帰る。
はじめは何事もなく普通に帰っていたが、途中からKはおかしな事に気づいた。
前を走るNの車が徐々にスピードを上げ始めている。
道はそれなりに傾斜のある下り坂で、あまりスピードを出すと危険だった。
しかしNの運転する車はどんどんスピードを増し、Kもいよいよヤバイと判断すると前の車に電話をかけた。(おそらく前の車の助手席の友人にかけた)
電話口の友人に、どうかしたのかと問いただすが
「とまれない!とまれない!」
を繰り返すばかりで要領を得ない。
Kはブレーキの故障と判断し、
「最悪の場合は車ぶつけてでもとめるから!」
と叫んだ。
しかし予想外の答えが返ってきた。
「違う!後ろから女が憑いてきてる!!」
あとからNに聞いた話では、運転中ずっと、宙に浮く女の首が
「とまって…とまって…」
と言いながら追いかけてくるのが見えていたらしい。
高原で一行は綺麗な夜景を楽しんだ。
そのうち日付も変わり、
「そろそろ帰ろう」
と言う話になった。
一行は帰り支度をし、車に乗り込んで前の車はNの運転、後ろの車はKの運転で下り坂を帰る。
はじめは何事もなく普通に帰っていたが、途中からKはおかしな事に気づいた。
前を走るNの車が徐々にスピードを上げ始めている。
道はそれなりに傾斜のある下り坂で、あまりスピードを出すと危険だった。
しかしNの運転する車はどんどんスピードを増し、Kもいよいよヤバイと判断すると前の車に電話をかけた。(おそらく前の車の助手席の友人にかけた)
電話口の友人に、どうかしたのかと問いただすが
「とまれない!とまれない!」
を繰り返すばかりで要領を得ない。
Kはブレーキの故障と判断し、
「最悪の場合は車ぶつけてでもとめるから!」
と叫んだ。
しかし予想外の答えが返ってきた。
「違う!後ろから女が憑いてきてる!!」
あとからNに聞いた話では、運転中ずっと、宙に浮く女の首が
「とまって…とまって…」
と言いながら追いかけてくるのが見えていたらしい。
2009年03月07日
おお、Yか
今から二年ほど前、Yの爺さんが死んだ。
Yは昔から超が付くほどの爺さんっ子だったもんだから、葬式のときなんかは年甲斐もなく鼻水たらしながらわんわん泣いたらしいのだが、ちょうどその爺さんが死んでから、初七日の日の事。
その日はYの住んでるところでは暴風警報が出されたくらいにやたら風の強い日にも拘らず、学校からの帰りのバス賃も底をついたYは、仕方なく家まで歩くことに。
途中何度も飛ばされかけながら死ぬ思いで、やっと夜の七時半を少し回ったくらいに家に着き、鞄から鍵を出して玄関を開けた。
すると、Yの帰りを待っていてくれてたかのように、丁度良いタイミングで玄関から真正面にあるYの部屋のドアが開いた。部屋の中では電気もテレビもついていて、おまけに唯一の暖房器具であるハロゲンヒーターまでスイッチが点いていた。
ははん、これは母ちゃん、気を効かせて俺の部屋を暖めておいてくれたか。
Yは嬉しくなって、いつもより明るい声でただいま、と言い玄関を上がった。
だが、いつもは返って来る返事が今日は無い。
不思議に思い、さっき脱いだ靴の方を見ると、玄関にはたった今脱いだ自分の靴が散らかっているだけで、母はおろか父の靴も姉の靴も無い。
そう言えば、今日は自分以外の家族は全員祖父の法事で家には遅くまで帰ってこない日だった。
とっさにYの頭には昔映画で見た真っ暗な部屋の中に立っている髪の長い女の幽霊のビジョンが浮かんだ。
まさか、とは思ったが幽霊やらお化けじゃなかったとしても泥棒と言う線はありえる。
Yはなるべく足音を立てず部屋の入り口まで進み、そっと中を覗き見た。
部屋の中には、先日死んだはずの祖父がこちらに背中を向けて座っていた。
それが祖父だと分かった途端、Yの恐怖心は一気にしぼんだ。
昔からホラー映画も誰かと一緒でなけりゃ見れないほどの怖がりだったYだが、たとえ本物の幽霊であったとしても祖父となれば話は別だ。
Yは懐かしさと、死んでも自分の所に会いに来てくれた事への嬉しさで、思わず涙ぐんでしまった。
爺さんは、生前の癖だった特徴のある咳を二、三度しぎこちない動作で毛のない後頭部を掻いた。
「じいちゃん」
Yが呼びかけると、爺さんはのそりと立ち上がり、振り向いた。
気のせいか、振り向きざま、爺さんの輪郭線がぐにゃりと歪んだように見えた。
振り向いた爺さんの顔は、インクを被せたように赤かった。
「お…おお、Y、Yか」
爺さんが自分の名前を呼ぶ。聞きなれた懐かしい爺さんの声。だが、イントネーションがおかしい。平坦すぎる。
生前、爺さんには強い地方のなまりがあったが、今の爺さんから聞こえてくる声はパソコンで作った人工音声のようだった。
爺さんが、のそりとこちらに一歩歩み寄る。
「じいちゃん、どうした」
あまりに様子がおかしい爺さんに呼びかけると、爺さんはまたさっきと同じように咳をして、頭を掻いた。
「じいちゃん、うちに帰ってきたのか?」
Yがそう聞くと、爺さんは少し考える風に天井のあたりを見て、
「お…おお、Y、Yか」
さっきとまったく同じ台詞を、さっきとまったく同じ発音で繰り返した。
そこでYは少し怖くなった。こいつは爺さんなんかじゃないんじゃないか。
爺さんはまだ天井を見ている。指先から滴り落ちた赤紫の液体が、部屋のカーペットの上に小さな水溜りを作っていた。
よく見ると、腕の不自然なところから肘が曲がっている。と言うより、肩から肘にかけてが凄く長い。
生きてるときの爺さんは、こんなんじゃなかった。こいつはもしかして爺さんの真似をしている別の何かじゃないか。
Yは少しずつ、少しずつ足音を立てないようにすり足で後ろに下がった。
それに気付いたのか、爺さんのふりをしたそいつは首だけを異様に長く伸ばしてこっちを見た。
まずい、気付かれた。
そう思った次の瞬間、目の前にそいつの顔があった。肩から上だけが不自然に伸び上がっている。
伸びきった首がゴムのようだった。
目の前で、そいつの口からごぶごぶと赤紫の泡が立った。
「お…おお、Y、Yか」
Yは絶叫した。
それからYは、無我夢中で近くの本屋目指して走った。
家に一人でいるのが怖かった。
9時を過ぎ、家族が帰ってくるまで家の中には入れなかった。
それからYは家族にその事を話したが、誰もまともにとりあってはくれなかった。
結局Yはその日の夜、あの赤い爺さんの出た自分の部屋で寝る事になった。
Yは気が気ではなかった。目をつぶっても、開けるとあの赤い顔があるようでなかなか眠る事は出来なかった。
しばらく経って、それでも恐怖と緊張を眠気が押さえつけ、Yは何とか眠りについた。
明け方になって目が覚めると、どうも顔がむずがゆい。
洗面所に行って鏡を見ると、顔が赤紫の汁でべっとりとぬれていた。
その日からYは自分の部屋で寝るのを止めた。
次にまたあいつが出てきたとき、今度こそ逃げられる気がしなかった。
Yは今でも言う。
「あれは爺さんなんかじゃなかった。」
Yは昔から超が付くほどの爺さんっ子だったもんだから、葬式のときなんかは年甲斐もなく鼻水たらしながらわんわん泣いたらしいのだが、ちょうどその爺さんが死んでから、初七日の日の事。
その日はYの住んでるところでは暴風警報が出されたくらいにやたら風の強い日にも拘らず、学校からの帰りのバス賃も底をついたYは、仕方なく家まで歩くことに。
途中何度も飛ばされかけながら死ぬ思いで、やっと夜の七時半を少し回ったくらいに家に着き、鞄から鍵を出して玄関を開けた。
すると、Yの帰りを待っていてくれてたかのように、丁度良いタイミングで玄関から真正面にあるYの部屋のドアが開いた。部屋の中では電気もテレビもついていて、おまけに唯一の暖房器具であるハロゲンヒーターまでスイッチが点いていた。
ははん、これは母ちゃん、気を効かせて俺の部屋を暖めておいてくれたか。
Yは嬉しくなって、いつもより明るい声でただいま、と言い玄関を上がった。
だが、いつもは返って来る返事が今日は無い。
不思議に思い、さっき脱いだ靴の方を見ると、玄関にはたった今脱いだ自分の靴が散らかっているだけで、母はおろか父の靴も姉の靴も無い。
そう言えば、今日は自分以外の家族は全員祖父の法事で家には遅くまで帰ってこない日だった。
とっさにYの頭には昔映画で見た真っ暗な部屋の中に立っている髪の長い女の幽霊のビジョンが浮かんだ。
まさか、とは思ったが幽霊やらお化けじゃなかったとしても泥棒と言う線はありえる。
Yはなるべく足音を立てず部屋の入り口まで進み、そっと中を覗き見た。
部屋の中には、先日死んだはずの祖父がこちらに背中を向けて座っていた。
それが祖父だと分かった途端、Yの恐怖心は一気にしぼんだ。
昔からホラー映画も誰かと一緒でなけりゃ見れないほどの怖がりだったYだが、たとえ本物の幽霊であったとしても祖父となれば話は別だ。
Yは懐かしさと、死んでも自分の所に会いに来てくれた事への嬉しさで、思わず涙ぐんでしまった。
爺さんは、生前の癖だった特徴のある咳を二、三度しぎこちない動作で毛のない後頭部を掻いた。
「じいちゃん」
Yが呼びかけると、爺さんはのそりと立ち上がり、振り向いた。
気のせいか、振り向きざま、爺さんの輪郭線がぐにゃりと歪んだように見えた。
振り向いた爺さんの顔は、インクを被せたように赤かった。
「お…おお、Y、Yか」
爺さんが自分の名前を呼ぶ。聞きなれた懐かしい爺さんの声。だが、イントネーションがおかしい。平坦すぎる。
生前、爺さんには強い地方のなまりがあったが、今の爺さんから聞こえてくる声はパソコンで作った人工音声のようだった。
爺さんが、のそりとこちらに一歩歩み寄る。
「じいちゃん、どうした」
あまりに様子がおかしい爺さんに呼びかけると、爺さんはまたさっきと同じように咳をして、頭を掻いた。
「じいちゃん、うちに帰ってきたのか?」
Yがそう聞くと、爺さんは少し考える風に天井のあたりを見て、
「お…おお、Y、Yか」
さっきとまったく同じ台詞を、さっきとまったく同じ発音で繰り返した。
そこでYは少し怖くなった。こいつは爺さんなんかじゃないんじゃないか。
爺さんはまだ天井を見ている。指先から滴り落ちた赤紫の液体が、部屋のカーペットの上に小さな水溜りを作っていた。
よく見ると、腕の不自然なところから肘が曲がっている。と言うより、肩から肘にかけてが凄く長い。
生きてるときの爺さんは、こんなんじゃなかった。こいつはもしかして爺さんの真似をしている別の何かじゃないか。
Yは少しずつ、少しずつ足音を立てないようにすり足で後ろに下がった。
それに気付いたのか、爺さんのふりをしたそいつは首だけを異様に長く伸ばしてこっちを見た。
まずい、気付かれた。
そう思った次の瞬間、目の前にそいつの顔があった。肩から上だけが不自然に伸び上がっている。
伸びきった首がゴムのようだった。
目の前で、そいつの口からごぶごぶと赤紫の泡が立った。
「お…おお、Y、Yか」
Yは絶叫した。
それからYは、無我夢中で近くの本屋目指して走った。
家に一人でいるのが怖かった。
9時を過ぎ、家族が帰ってくるまで家の中には入れなかった。
それからYは家族にその事を話したが、誰もまともにとりあってはくれなかった。
結局Yはその日の夜、あの赤い爺さんの出た自分の部屋で寝る事になった。
Yは気が気ではなかった。目をつぶっても、開けるとあの赤い顔があるようでなかなか眠る事は出来なかった。
しばらく経って、それでも恐怖と緊張を眠気が押さえつけ、Yは何とか眠りについた。
明け方になって目が覚めると、どうも顔がむずがゆい。
洗面所に行って鏡を見ると、顔が赤紫の汁でべっとりとぬれていた。
その日からYは自分の部屋で寝るのを止めた。
次にまたあいつが出てきたとき、今度こそ逃げられる気がしなかった。
Yは今でも言う。
「あれは爺さんなんかじゃなかった。」
2009年02月24日
肝試し
ある夏の日、AとBとCの3人で肝試しをすることになった。
選ばれた場所は廃校、3人は廃校の校門に集まることにする。
普通は3人で一緒に行くのだが、お互いの勇気を試そうと言うことで一人ずつ校舎を回ることにした。
ルートは、入り口から入り二階のトイレの一番奥の個室に入り、個室の壁に赤いマジックで印しをつけてから校門に帰還。
まずはAが学校の中に入っていく。
しばらくして、Aは何事もなかったように戻ってきた。
次はBの番だ。
Bは懐中電灯を片手に学校の中に入っていった。 木造の校舎は真っ暗で、懐中電灯がなければ1m先の物も解らないほどだった。きしむ階段を上がって二階へ上がっていく。
Bはホコリっぽい、二階の廊下には教室が並んでいて、教室側とは反対側のトイレに入っていった。
黴臭いトイレの中は、蒸し暑く湿っぽい。
一番奥の個室の扉を開け、中を懐中電灯で照らして確認する。
壁に赤いマジックで書かれた印しを見付け、自分も印をつけようと個室の中に入る。
すると……突然個室の扉が閉まった。
Bは驚きに身を震わせる。扉を開けようとするが、外から押さえ付けられているのかびくともしない。
しばらく頑張ってみたが一向に開く気配はない。
Bは冷静になり、「どうせAとCがふざけてるんだろう」と思い、逆にAとCを脅かそうと考えた。
「ここは下手な事をしないで、ずっと黙ったままでいた方が恐がるだろう」
と思ったBは何もせずに二人が居なくなるのを待った。
………。
しばらくして、誰かが走りだす音が聞こえたのでBは個室の扉を開ける。
扉はすんなり開いた。
Bは二人に文句を言ってやろうと思い、学校から出て、校門で待っていた二人に言った。
「ひどいじゃないか、扉を押さえるなんて!」
二人は笑いながら「悪かったよ」と謝った。
「まったくもう…」
「でもまさか泣きだすとは思わなかった。」
「…えっ?なんのこと?」Bは泣いたりはしていない。
「だって個室のなかから小さく啜り泣く声が…」
Bは背筋になにか冷たいものを感じ。
「おまえら…、男子と女子…どっちのトイレに入った?」
とAとCに聞いた。
「え…、女子だけど…?おまえ女子トイレに入って…たんじゃ……」
「俺が入ったのは男子トイレだ!」
選ばれた場所は廃校、3人は廃校の校門に集まることにする。
普通は3人で一緒に行くのだが、お互いの勇気を試そうと言うことで一人ずつ校舎を回ることにした。
ルートは、入り口から入り二階のトイレの一番奥の個室に入り、個室の壁に赤いマジックで印しをつけてから校門に帰還。
まずはAが学校の中に入っていく。
しばらくして、Aは何事もなかったように戻ってきた。
次はBの番だ。
Bは懐中電灯を片手に学校の中に入っていった。 木造の校舎は真っ暗で、懐中電灯がなければ1m先の物も解らないほどだった。きしむ階段を上がって二階へ上がっていく。
Bはホコリっぽい、二階の廊下には教室が並んでいて、教室側とは反対側のトイレに入っていった。
黴臭いトイレの中は、蒸し暑く湿っぽい。
一番奥の個室の扉を開け、中を懐中電灯で照らして確認する。
壁に赤いマジックで書かれた印しを見付け、自分も印をつけようと個室の中に入る。
すると……突然個室の扉が閉まった。
Bは驚きに身を震わせる。扉を開けようとするが、外から押さえ付けられているのかびくともしない。
しばらく頑張ってみたが一向に開く気配はない。
Bは冷静になり、「どうせAとCがふざけてるんだろう」と思い、逆にAとCを脅かそうと考えた。
「ここは下手な事をしないで、ずっと黙ったままでいた方が恐がるだろう」
と思ったBは何もせずに二人が居なくなるのを待った。
………。
しばらくして、誰かが走りだす音が聞こえたのでBは個室の扉を開ける。
扉はすんなり開いた。
Bは二人に文句を言ってやろうと思い、学校から出て、校門で待っていた二人に言った。
「ひどいじゃないか、扉を押さえるなんて!」
二人は笑いながら「悪かったよ」と謝った。
「まったくもう…」
「でもまさか泣きだすとは思わなかった。」
「…えっ?なんのこと?」Bは泣いたりはしていない。
「だって個室のなかから小さく啜り泣く声が…」
Bは背筋になにか冷たいものを感じ。
「おまえら…、男子と女子…どっちのトイレに入った?」
とAとCに聞いた。
「え…、女子だけど…?おまえ女子トイレに入って…たんじゃ……」
「俺が入ったのは男子トイレだ!」
2009年02月18日
まくら
Hが車の合宿免許に行ったとき、一緒の部屋になったKという人が御札の貼ってある枕を持参してきたそうです。
不思議がって聞いてみると最初はいやがっていたKが訳を話してくれたそうです。
Kが山中湖に友達数人とコテージを借りて遊びに行ったときのこと。
夜、車でみんなと飲みに行きK1人眠くなって歩いてコテージに帰ったそうです。
そのコテージの部屋で1人で寝ていると枕元に誰かが座っている気配がし、
「僕達、友達だよね?」
と声がしたそうです。
Kは友達が帰ってきて酔っ払ってからかわれているんだろうと思い、無視していたがあまりのしつこさに返事をしてしまいました。
「そうだよ。」
その瞬間、腕を引っ張られ外の林に連れて行かれました。
そのとき、ちょうど車で友達らが通りかかり誰かに引きずられてわめいているK見つけ、みんなであわててKをつかまえました。
その後みんな怖くなり、荷物をまとめて家にかえったそうです。
その明くる日の夜、自分の部屋でKが寝ていてぱっと目がさめたとき、天井一杯に少年の顔が浮かんでいていきなり首元をつかまれ天井めがけて持ち上げられられたそうです。
そこでKは気を失い、朝、母親のわめき声で目がさめると天井に大きな穴があいていました。
彼は怖くなり、知り合いの霊媒師に相談すると
「自分の力ではどうすることもできないにで、枕にこの御札を貼って寝なさい。貼り忘れた時、あなた、つれてかれますよ。」
といわれ、それいらい毎日、彼はこの枕を肌身はなさず持っているそうです。
不思議がって聞いてみると最初はいやがっていたKが訳を話してくれたそうです。
Kが山中湖に友達数人とコテージを借りて遊びに行ったときのこと。
夜、車でみんなと飲みに行きK1人眠くなって歩いてコテージに帰ったそうです。
そのコテージの部屋で1人で寝ていると枕元に誰かが座っている気配がし、
「僕達、友達だよね?」
と声がしたそうです。
Kは友達が帰ってきて酔っ払ってからかわれているんだろうと思い、無視していたがあまりのしつこさに返事をしてしまいました。
「そうだよ。」
その瞬間、腕を引っ張られ外の林に連れて行かれました。
そのとき、ちょうど車で友達らが通りかかり誰かに引きずられてわめいているK見つけ、みんなであわててKをつかまえました。
その後みんな怖くなり、荷物をまとめて家にかえったそうです。
その明くる日の夜、自分の部屋でKが寝ていてぱっと目がさめたとき、天井一杯に少年の顔が浮かんでいていきなり首元をつかまれ天井めがけて持ち上げられられたそうです。
そこでKは気を失い、朝、母親のわめき声で目がさめると天井に大きな穴があいていました。
彼は怖くなり、知り合いの霊媒師に相談すると
「自分の力ではどうすることもできないにで、枕にこの御札を貼って寝なさい。貼り忘れた時、あなた、つれてかれますよ。」
といわれ、それいらい毎日、彼はこの枕を肌身はなさず持っているそうです。