2007年12月31日
だるまさんがころんだ
私はお風呂があまり好きではありません。怖いから…お風呂に入ってるとたまに寒気がしてトリハダが立つときがあります。おそらく、昔に聞いたことが原因だと思います。
それは「お風呂で絶対に言ってはいけない言葉」でした。
それは…
※聞きたくない方はこの先を読まないで下さい。
それは…
「だ る ま さ ん が こ ろ ん だ 」
鏡に向かってシャンプーしているときに絶対に言ってはいけないそうです。
水場は霊を集め、鏡はあの世とこの世を結ぶもの。
一度言ってしまうと、次に鏡を見ると黒い影が…
次に見ると黒い陰が大きくなっていてそれが髪の毛の塊だと気づくという。
次に見るとあたりは真っ暗、電気が消えたのかと思うと鏡の向こうに映る風呂場は電気がついていて
自分の周りだけが真っ暗なのだとか。
よく見ると鏡の向こうの風呂には誰かいる。
そこで気づくのです。
自分がいるところは鏡の中だということに。そしてさっきまで自分の立っていたところには髪の毛が長く、(その先端は排水溝に吸い込まれているほどの長い髪)の女が笑っているそうです。
この話を昔Kから聞きました。
私は怖さを紛らわすため、誰かに教えてやろうとKに聞きました。「この話、俺の他に誰に話した?」
するとKは「先週、隣のクラスのAだけだよ」
私はソレ聞いて誰にも言うのをやめました。
隣のクラスのAは先週自宅で自殺をして、みんなで葬式に行ったばかりだったからです。
そして私は気づきました。
Kが何日も風呂に入っていないほど汚い格好をしていることに。
「お前ももう、風呂には入れないよ」とK。
私は「ばーか、言わなきゃいいだけだろ?」と。
Kは最後にボソッと言いました。
「頭の中で思うだけでもいけないんだ」と。
それは「お風呂で絶対に言ってはいけない言葉」でした。
それは…
※聞きたくない方はこの先を読まないで下さい。
それは…
「だ る ま さ ん が こ ろ ん だ 」
鏡に向かってシャンプーしているときに絶対に言ってはいけないそうです。
水場は霊を集め、鏡はあの世とこの世を結ぶもの。
一度言ってしまうと、次に鏡を見ると黒い影が…
次に見ると黒い陰が大きくなっていてそれが髪の毛の塊だと気づくという。
次に見るとあたりは真っ暗、電気が消えたのかと思うと鏡の向こうに映る風呂場は電気がついていて
自分の周りだけが真っ暗なのだとか。
よく見ると鏡の向こうの風呂には誰かいる。
そこで気づくのです。
自分がいるところは鏡の中だということに。そしてさっきまで自分の立っていたところには髪の毛が長く、(その先端は排水溝に吸い込まれているほどの長い髪)の女が笑っているそうです。
この話を昔Kから聞きました。
私は怖さを紛らわすため、誰かに教えてやろうとKに聞きました。「この話、俺の他に誰に話した?」
するとKは「先週、隣のクラスのAだけだよ」
私はソレ聞いて誰にも言うのをやめました。
隣のクラスのAは先週自宅で自殺をして、みんなで葬式に行ったばかりだったからです。
そして私は気づきました。
Kが何日も風呂に入っていないほど汚い格好をしていることに。
「お前ももう、風呂には入れないよ」とK。
私は「ばーか、言わなきゃいいだけだろ?」と。
Kは最後にボソッと言いました。
「頭の中で思うだけでもいけないんだ」と。
2007年12月30日
ワンピースの女
Aさんが大学に合格した の で大学の付近にこした時の話らしいのですが
いわゆるいわく付き物件ってとこに入居したんです
大家さんからはどんな事件があったのかを聞かない約束で、
かなりの格安で借りれたそうでAさんはとてもよ ろ こんでいたのです。
そして引越し当日、友達のBさんとCさんに手伝ってもらい
そのアパートへ い ったのです。
部屋の間取り図しかみていなかったので不安だったのですが
リフォーム済みなのか、やけに小奇麗な部屋で安心したようです。
しかし、その部屋には似つかない三面鏡がおいてあったのです。
前住んでいた人が置いていったものなのかな?と思って気にせずに捨てることにし ま し た。
3人で抱え外に出し部屋に戻ったときギョッとしました・・・
壁には白いワンピースの女が書かれていたのです
とても綺麗な絵だったので す が、彼女には足がかかれていないのです・・・
B「気味が悪いね・・・」A「なんで、足を書いていないんだろう」C「気持ち悪いけど壁塗り替えるわけにもいかないし、ポスターでもはっとけ」Cさんの意見に賛同し
そのワンピースの女に見合う大きさのポスターを貼り付け
また、淡々と片付けをはじめました。そして夜やっと片付けが終わり、引越し祝いをし気づけば深夜。
Bさんは帰っていきましたがCさんは酔いつぶれてしまいました。
二人はすぐ横になり眠りについたのですが・・・
Cさんが足に激痛がはしり飛び起きたのです。C「いってぇ・・・なんなんだよ」A「どうした?・・・・おい・・・足・・。」Cさんの足首には赤い後がついていたのです。C「なんか・・・いるよ・・この部屋・・。」A「まっさかぁ幽霊でもでるっての?とりあえず寝ようぜ。明日朝早いしさ。」C「おれ・・・かえる・・・。」びびったCさんは帰ってしまいました。
その日は何事も無く、そして数日たっても何もなかったのです。
後日Cさんがびびってただけとからかったりしていました。そしてしばらくしてこのアパートでの生活になれた頃
Cさんが突然の死を迎えたのです。
死因は事故死だと言うのですがどうも不自然な死に方で
両足がなくなっているというのです。
違和感が残るもののAさんの葬式も終わりひさしぶりに部屋に帰ってみると
なにか空気が違っていました。
部屋を見渡すと、ポスターが破れかかっている・・・?
いったい誰か・・・。
そしてその切れ端からだらりと赤い何かがすじ状に垂れていました
そんな・・まさか・・・・
Aさんは覚悟を決めポスターをはがしましたそこには・・・ワンピースの女が微笑んでいました。無かったはずの足と真っ赤に染まったワンピースの中で・・・
いわゆるいわく付き物件ってとこに入居したんです
大家さんからはどんな事件があったのかを聞かない約束で、
かなりの格安で借りれたそうでAさんはとてもよ ろ こんでいたのです。
そして引越し当日、友達のBさんとCさんに手伝ってもらい
そのアパートへ い ったのです。
部屋の間取り図しかみていなかったので不安だったのですが
リフォーム済みなのか、やけに小奇麗な部屋で安心したようです。
しかし、その部屋には似つかない三面鏡がおいてあったのです。
前住んでいた人が置いていったものなのかな?と思って気にせずに捨てることにし ま し た。
3人で抱え外に出し部屋に戻ったときギョッとしました・・・
壁には白いワンピースの女が書かれていたのです
とても綺麗な絵だったので す が、彼女には足がかかれていないのです・・・
B「気味が悪いね・・・」A「なんで、足を書いていないんだろう」C「気持ち悪いけど壁塗り替えるわけにもいかないし、ポスターでもはっとけ」Cさんの意見に賛同し
そのワンピースの女に見合う大きさのポスターを貼り付け
また、淡々と片付けをはじめました。そして夜やっと片付けが終わり、引越し祝いをし気づけば深夜。
Bさんは帰っていきましたがCさんは酔いつぶれてしまいました。
二人はすぐ横になり眠りについたのですが・・・
Cさんが足に激痛がはしり飛び起きたのです。C「いってぇ・・・なんなんだよ」A「どうした?・・・・おい・・・足・・。」Cさんの足首には赤い後がついていたのです。C「なんか・・・いるよ・・この部屋・・。」A「まっさかぁ幽霊でもでるっての?とりあえず寝ようぜ。明日朝早いしさ。」C「おれ・・・かえる・・・。」びびったCさんは帰ってしまいました。
その日は何事も無く、そして数日たっても何もなかったのです。
後日Cさんがびびってただけとからかったりしていました。そしてしばらくしてこのアパートでの生活になれた頃
Cさんが突然の死を迎えたのです。
死因は事故死だと言うのですがどうも不自然な死に方で
両足がなくなっているというのです。
違和感が残るもののAさんの葬式も終わりひさしぶりに部屋に帰ってみると
なにか空気が違っていました。
部屋を見渡すと、ポスターが破れかかっている・・・?
いったい誰か・・・。
そしてその切れ端からだらりと赤い何かがすじ状に垂れていました
そんな・・まさか・・・・
Aさんは覚悟を決めポスターをはがしましたそこには・・・ワンピースの女が微笑んでいました。無かったはずの足と真っ赤に染まったワンピースの中で・・・
2007年12月29日
おいてけぼり
彼は温泉好きでよく山奥の温泉街に車で行ってるんだけど、ある日ひとりの男性をヒッチハイクした。
男性はこの温泉街で友人三人と待ち合わせしていたが、すれ違いをしたらしい。
ここから先にある秘湯に行く予定だったと言う。
三人は先に行っているかもしれないから、そこまで乗せてくれということだった。
携帯の電波も届かないというので、仕方なく男性を乗せて山奥へ向かった。
しばらく山道を走ると、助手席の男性が「旧道が見えるでしょう?そこへ入ってもらえます?」と言う。
言われるがまま旧道へ入ると、目の前にえらい不気味なトンネルが見えたんだそうだ。
トンネルの前で降ろしてくれと言うので、彼は男性をそこで降ろした。
よく見ると、トンネルの中には無人の白いセダンが一台。
男性はセダンの横に立って、じーっと中の様子を見た後、こちらへ歩いてきたんだそうだ。
「いやー、おいてけぼりくらったみたいです。悪いけどまた乗せて戻ってくれませんかね?」
男性がそう言うので、不思議に思いながらもまた男性を乗せて戻ったんだそうだ。
温泉街で男性を降ろした後、彼自身は温泉を満喫して自分の家に帰った。
その後、ニュース番組で練炭自殺の報道を見た彼は「二度と行きたくない」って言ってた。
男性はこの温泉街で友人三人と待ち合わせしていたが、すれ違いをしたらしい。
ここから先にある秘湯に行く予定だったと言う。
三人は先に行っているかもしれないから、そこまで乗せてくれということだった。
携帯の電波も届かないというので、仕方なく男性を乗せて山奥へ向かった。
しばらく山道を走ると、助手席の男性が「旧道が見えるでしょう?そこへ入ってもらえます?」と言う。
言われるがまま旧道へ入ると、目の前にえらい不気味なトンネルが見えたんだそうだ。
トンネルの前で降ろしてくれと言うので、彼は男性をそこで降ろした。
よく見ると、トンネルの中には無人の白いセダンが一台。
男性はセダンの横に立って、じーっと中の様子を見た後、こちらへ歩いてきたんだそうだ。
「いやー、おいてけぼりくらったみたいです。悪いけどまた乗せて戻ってくれませんかね?」
男性がそう言うので、不思議に思いながらもまた男性を乗せて戻ったんだそうだ。
温泉街で男性を降ろした後、彼自身は温泉を満喫して自分の家に帰った。
その後、ニュース番組で練炭自殺の報道を見た彼は「二度と行きたくない」って言ってた。
2007年12月28日
窓をたたく者
深夜、A子さんは異様な物音を聞いて目を覚ました。
何かを引きずっているような音が窓の外から聞こえていた。
道に面している家なのだが、この時間ともなると人通りはない筈であった。
両親が旅行に出かけ1人だった彼女は、怖くなったが、その音に耳を傾けた。
暫くすると音が停まった。
しかし次の瞬間、カーテンを引いてある窓が「ドンッ」叩かれた。
A子さんの心臓は、胸から飛び出さんばかりに高鳴った。
ドン…ドン…力のない音が何度も聞こえる。
彼女は勇気を振り絞って窓の方へ近寄っていった。
「誰? 誰かいるの?」
窓の外からは返事はない。ただ力無く窓を叩く音だけが聞こえる。
「いたずらだったらやめて下さい!」震える口唇を抑え、彼女はきっぱりと言い切った。
しかし返事はなく、カーテンの裏からは、ゆっくりとしたテンポで窓を叩く音が聞こえるだけであった。
彼女はカーテンの端に手をかけ、目をつぶって一気に開いた。
ゆっくりと開いた彼女の目に飛び込んできたのは、顔中血だらけの、しかも薄笑いを浮かべた髪の長い女の顔だった。
「きゃ-!!」彼女は叫び声をあげると、急いで家を飛び出した。
逃げるように友人の家に転がり込んだ彼女は、その夜起きた出来事を友人に話した。
霊感の強い友人は彼女の話を最後まで聞くと、引き出しからお守りを取り出し、それを彼女の首にかけた。
安心した彼女は友人の家で朝までゆっくりと眠った。
朝帰る時、友人は心配してくれたが、彼女は「お守りがあるから大丈夫」と一人で帰る事にした。
彼女が家の近くまでくると、周りにはかなりの数のパトカーが停まっていた。
近くに立っていた主婦に彼女は聞いてみた。
「何かあったんですか?」
主婦は答えた。
「昨夜、通り魔に襲われた女の人がここまで逃げてきたんだけど、そこの家の所に来て息絶えてしまったんだって。可哀想に」
主婦の示した指の先には、彼女の家があった。
何かを引きずっているような音が窓の外から聞こえていた。
道に面している家なのだが、この時間ともなると人通りはない筈であった。
両親が旅行に出かけ1人だった彼女は、怖くなったが、その音に耳を傾けた。
暫くすると音が停まった。
しかし次の瞬間、カーテンを引いてある窓が「ドンッ」叩かれた。
A子さんの心臓は、胸から飛び出さんばかりに高鳴った。
ドン…ドン…力のない音が何度も聞こえる。
彼女は勇気を振り絞って窓の方へ近寄っていった。
「誰? 誰かいるの?」
窓の外からは返事はない。ただ力無く窓を叩く音だけが聞こえる。
「いたずらだったらやめて下さい!」震える口唇を抑え、彼女はきっぱりと言い切った。
しかし返事はなく、カーテンの裏からは、ゆっくりとしたテンポで窓を叩く音が聞こえるだけであった。
彼女はカーテンの端に手をかけ、目をつぶって一気に開いた。
ゆっくりと開いた彼女の目に飛び込んできたのは、顔中血だらけの、しかも薄笑いを浮かべた髪の長い女の顔だった。
「きゃ-!!」彼女は叫び声をあげると、急いで家を飛び出した。
逃げるように友人の家に転がり込んだ彼女は、その夜起きた出来事を友人に話した。
霊感の強い友人は彼女の話を最後まで聞くと、引き出しからお守りを取り出し、それを彼女の首にかけた。
安心した彼女は友人の家で朝までゆっくりと眠った。
朝帰る時、友人は心配してくれたが、彼女は「お守りがあるから大丈夫」と一人で帰る事にした。
彼女が家の近くまでくると、周りにはかなりの数のパトカーが停まっていた。
近くに立っていた主婦に彼女は聞いてみた。
「何かあったんですか?」
主婦は答えた。
「昨夜、通り魔に襲われた女の人がここまで逃げてきたんだけど、そこの家の所に来て息絶えてしまったんだって。可哀想に」
主婦の示した指の先には、彼女の家があった。
2007年12月27日
見ていた女 2
ある学生がケガをして病院に入院した。
怪我自体は軽く、1週間もすれば退院できることのことだった。
しかし、その病院は「出る」と評判の病院であった。
ところが霊を信じない彼は友人にそのことを聞いても全く気にしていなかった。
ある日の深夜、トイレに行きたくなり目が覚めた彼はよたよたとトイレへ向かった。
深夜の病院は不気味な雰囲気ではあったが、彼はよろけつつもトイレの前に来た。
カチャカチャ・・・・カチャカチャ・・・・
そのとき廊下の奥の方から金属が触れ合うような音が聞こえた。
『なんだ?手術の用具でもトレイに乗せているのか?だがこの階は病室しかないぞ・・・』
そして音がだんだんと近づいてきました。
それは彼の予想通りに手術用具を乗せたトレイを押している看護婦であったが、
血だらけの白衣と禍々しい空気から彼女が人間でないことは明らかだった。
彼は仰天した。早く逃げないと看護婦に見つかってしまう!
しかし今の彼は怪我をしているので早くは動くことは出来ない。
そこで目の前のトイレに駆け込み個室の鍵をかけ隠れることにした。
カチャカチャ・・・・カチャカチャカチャ・・・キィーキィー・・・・
トレイを押す音が大きくなってくる。
彼は必死に息を殺し通り過ぎるのを待った。
そしてしばらくすると彼の思いが通じたのか、トレイの音は聞こえなくなっていた。
『よかった。助かった・・・』
安堵した彼が病室に戻ろうと顔を上げると血だらけの看護婦と目が合った。
看護婦は彼の存在に気付いていたのだ。
そしてトイレの扉に手をかけ彼を見下ろしていたのだ。
怪我自体は軽く、1週間もすれば退院できることのことだった。
しかし、その病院は「出る」と評判の病院であった。
ところが霊を信じない彼は友人にそのことを聞いても全く気にしていなかった。
ある日の深夜、トイレに行きたくなり目が覚めた彼はよたよたとトイレへ向かった。
深夜の病院は不気味な雰囲気ではあったが、彼はよろけつつもトイレの前に来た。
カチャカチャ・・・・カチャカチャ・・・・
そのとき廊下の奥の方から金属が触れ合うような音が聞こえた。
『なんだ?手術の用具でもトレイに乗せているのか?だがこの階は病室しかないぞ・・・』
そして音がだんだんと近づいてきました。
それは彼の予想通りに手術用具を乗せたトレイを押している看護婦であったが、
血だらけの白衣と禍々しい空気から彼女が人間でないことは明らかだった。
彼は仰天した。早く逃げないと看護婦に見つかってしまう!
しかし今の彼は怪我をしているので早くは動くことは出来ない。
そこで目の前のトイレに駆け込み個室の鍵をかけ隠れることにした。
カチャカチャ・・・・カチャカチャカチャ・・・キィーキィー・・・・
トレイを押す音が大きくなってくる。
彼は必死に息を殺し通り過ぎるのを待った。
そしてしばらくすると彼の思いが通じたのか、トレイの音は聞こえなくなっていた。
『よかった。助かった・・・』
安堵した彼が病室に戻ろうと顔を上げると血だらけの看護婦と目が合った。
看護婦は彼の存在に気付いていたのだ。
そしてトイレの扉に手をかけ彼を見下ろしていたのだ。
2007年12月26日
見ていた女 1
ある男子学生がひとりで夜の神社へ肝試しに来ていた。
そこは「出る」といういわくつきの神社だったが、
彼は「怖いものなど何もない!まして幽霊などいるはずがない!」
と言ってはばからない人間だったのでひとりでやって来たのだ。
彼は誰もいない境内をうろついたが、何も起こらない。
もちろん幽霊などは影も形もなかった。
『やっぱり何もでないじゃないか・・・』と思っていると、
神社の奥の木々の間から「コーン、コーン」という音が聞こえてきた。
その音に興味を引かれた彼はどきどきしながら木を掻き分けて
音のほうへ歩いていった。
そして見てしまったのだ。
白装束を着て、わら人形を打ち付ける女を。
「コーン!コーン!」
わら人形には五寸釘が深々と刺さっていた。
「うわっ!」
彼は思わず声を出してしまった。
その瞬間かなづちを打つ音が止まり、
女が彼のほうを振り向いた。
それは鬼気迫る鬼の形相だった。
女がこちらへ走り出すのと彼がその場から逃げ出すのはほとんど同じだった。
彼は無我夢中で走った。
ザッザッザッ!
だが女は土地勘があるのか彼との差を狭めているようだった。
「ヒヒヒヒヒヒ・・!」という女の叫び声も後ろで聞こえる。
『このままでは捕まってしまう!』そう思った彼の視界に公衆トイレの明かりが見えた。
彼は一番奥の個室へ駆け込み鍵をかけて息を殺した。
静寂が辺りを包む。トイレのそばで女の足音がしたがそれも聞こえなくなった。
『助かった・・・のか。』だがまだ安心はできない。女が外にいるかもしれない。
しかし足音は聞こえない安堵感もあいまって彼は個室の中で眠ってしまった。
目が覚めて時計に目をやるともう4時を回っていた。
「もう大丈夫だ。」
そして帰ろうとした彼は立ち上がり何の気なしに天井のほうへ目をやった。
そこには白装束をきた女の不気味な顔があった。
女は一晩中、彼を上から見下ろしていたのだ。
そこは「出る」といういわくつきの神社だったが、
彼は「怖いものなど何もない!まして幽霊などいるはずがない!」
と言ってはばからない人間だったのでひとりでやって来たのだ。
彼は誰もいない境内をうろついたが、何も起こらない。
もちろん幽霊などは影も形もなかった。
『やっぱり何もでないじゃないか・・・』と思っていると、
神社の奥の木々の間から「コーン、コーン」という音が聞こえてきた。
その音に興味を引かれた彼はどきどきしながら木を掻き分けて
音のほうへ歩いていった。
そして見てしまったのだ。
白装束を着て、わら人形を打ち付ける女を。
「コーン!コーン!」
わら人形には五寸釘が深々と刺さっていた。
「うわっ!」
彼は思わず声を出してしまった。
その瞬間かなづちを打つ音が止まり、
女が彼のほうを振り向いた。
それは鬼気迫る鬼の形相だった。
女がこちらへ走り出すのと彼がその場から逃げ出すのはほとんど同じだった。
彼は無我夢中で走った。
ザッザッザッ!
だが女は土地勘があるのか彼との差を狭めているようだった。
「ヒヒヒヒヒヒ・・!」という女の叫び声も後ろで聞こえる。
『このままでは捕まってしまう!』そう思った彼の視界に公衆トイレの明かりが見えた。
彼は一番奥の個室へ駆け込み鍵をかけて息を殺した。
静寂が辺りを包む。トイレのそばで女の足音がしたがそれも聞こえなくなった。
『助かった・・・のか。』だがまだ安心はできない。女が外にいるかもしれない。
しかし足音は聞こえない安堵感もあいまって彼は個室の中で眠ってしまった。
目が覚めて時計に目をやるともう4時を回っていた。
「もう大丈夫だ。」
そして帰ろうとした彼は立ち上がり何の気なしに天井のほうへ目をやった。
そこには白装束をきた女の不気味な顔があった。
女は一晩中、彼を上から見下ろしていたのだ。
2007年12月25日
裏拍手
カップルが海にドライブに行った。
砂浜に降り立ち、しばし散策。
日が落ちるにつれ黒さを増していく海は、
二人に向かってぽっかりと口を開いてゆくようだった。
寒気を感じた女がふと見やると、浜沿いの遠くの方に明かりが見える。
ゆらめいていることから察するに、炎の明かりらしい。
遠目に見ると、どうやら炎を囲んで大人数で宴会を催しているようである。
少々不審に思ったものの、あんまり楽しげな様子なので、
二人は吸い寄せられるように彼らの方へ近づいていった。
中年とおぼしきおっさん達が炎の点いたやぐらを囲んで騒いでいた。
酒に酔っているのだろうか、鼻を赤くしたおっさん達はとても楽しげに
民謡のようなものを歌っている。
「こんばんは。何の宴会ですか?楽しそうですね」
カップルの男が話し掛けてみた。
(田舎の話である。見知らぬ人に話し掛けるのもそう珍しい事ではない)
しかし、おっさん達は聞いていない様子である。
宴会のボルテージがピークに達したところで、何人かのおっさんが踊り始めた。
残りは座ったままで拍手をしている。
ふと、違和感を感じた。
彼らは手の甲で拍手していたのだ。
カップルがそのことに気づいた途端、おっさん達が黙った。
踊っていた者も動きを止めた。
気付けば既に潮が満ち、一部のおっさん達は寄せる波に浸かっている。
それなのに微動だにせず、ただただ炎を凝視していた。
気味悪くなったカップルはその場を逃げるように立ち去った。
大分離れてから振り返ると、宴会はまた始まっていた。
もう楽しげな宴会には見えなかった。
地元では「裏拍手」は死人の拍手とされている。
砂浜に降り立ち、しばし散策。
日が落ちるにつれ黒さを増していく海は、
二人に向かってぽっかりと口を開いてゆくようだった。
寒気を感じた女がふと見やると、浜沿いの遠くの方に明かりが見える。
ゆらめいていることから察するに、炎の明かりらしい。
遠目に見ると、どうやら炎を囲んで大人数で宴会を催しているようである。
少々不審に思ったものの、あんまり楽しげな様子なので、
二人は吸い寄せられるように彼らの方へ近づいていった。
中年とおぼしきおっさん達が炎の点いたやぐらを囲んで騒いでいた。
酒に酔っているのだろうか、鼻を赤くしたおっさん達はとても楽しげに
民謡のようなものを歌っている。
「こんばんは。何の宴会ですか?楽しそうですね」
カップルの男が話し掛けてみた。
(田舎の話である。見知らぬ人に話し掛けるのもそう珍しい事ではない)
しかし、おっさん達は聞いていない様子である。
宴会のボルテージがピークに達したところで、何人かのおっさんが踊り始めた。
残りは座ったままで拍手をしている。
ふと、違和感を感じた。
彼らは手の甲で拍手していたのだ。
カップルがそのことに気づいた途端、おっさん達が黙った。
踊っていた者も動きを止めた。
気付けば既に潮が満ち、一部のおっさん達は寄せる波に浸かっている。
それなのに微動だにせず、ただただ炎を凝視していた。
気味悪くなったカップルはその場を逃げるように立ち去った。
大分離れてから振り返ると、宴会はまた始まっていた。
もう楽しげな宴会には見えなかった。
地元では「裏拍手」は死人の拍手とされている。