2009年01月31日
あるアパートで
ある男が酒をのんで熟睡している。
ふと顔に何かかかるので寝ぼけながら払いのけた。
しばらくするとまた顔に、かかる・・・・。払いのける。
数回繰り返しているうちに、
・・・・髪の毛だ。・・・・・・・・・・・・・・・長い。
醒めつつある頭で、昨夜を思い出すが女と一緒に寝た記憶はない。
それとも酒の勢いで?
暗がりの中、相変わらず顔にかかる髪の毛を握って、つっと引っ張ってみる。
手の感触から髪の毛の主は「・・・・自分の横に寝ていない」。
「髪の毛が、天井から垂れ下がってる・・・・・?」
男は暖簾のような髪の毛を払い、起き上がって部屋の電気をつけた。
・・・・・・・異常にながい髪の毛が天井から垂れ下がっていた。
髪の毛をたどっていくと、ちょうど水面から鼻下あたりまで顔を出すように ・・・
天井から、まっすぐ凝視した女の顔がさかさまに出ていた。
瞬きもなく・・・。
何なのかわからず男はみつめていた。ふと髪の毛を引っ張ってみる。
確かな手ごたえが返ってきた。
わけわからないまま、部屋をでて隣の友人を呼びにいく途中でひざが震え出した。
が、二人して返ってくるとそこにはもう何もなかったのである・・。
ふと顔に何かかかるので寝ぼけながら払いのけた。
しばらくするとまた顔に、かかる・・・・。払いのける。
数回繰り返しているうちに、
・・・・髪の毛だ。・・・・・・・・・・・・・・・長い。
醒めつつある頭で、昨夜を思い出すが女と一緒に寝た記憶はない。
それとも酒の勢いで?
暗がりの中、相変わらず顔にかかる髪の毛を握って、つっと引っ張ってみる。
手の感触から髪の毛の主は「・・・・自分の横に寝ていない」。
「髪の毛が、天井から垂れ下がってる・・・・・?」
男は暖簾のような髪の毛を払い、起き上がって部屋の電気をつけた。
・・・・・・・異常にながい髪の毛が天井から垂れ下がっていた。
髪の毛をたどっていくと、ちょうど水面から鼻下あたりまで顔を出すように ・・・
天井から、まっすぐ凝視した女の顔がさかさまに出ていた。
瞬きもなく・・・。
何なのかわからず男はみつめていた。ふと髪の毛を引っ張ってみる。
確かな手ごたえが返ってきた。
わけわからないまま、部屋をでて隣の友人を呼びにいく途中でひざが震え出した。
が、二人して返ってくるとそこにはもう何もなかったのである・・。
2009年01月26日
あたしの家だよぉ
古い建物を改装したアパートなんだけど、リフォームがしっかりしてて結構綺麗、借りたのは最上階の部屋で、部屋も広くて天井も高く開放感のある部屋。
主要線の駅からも歩いて行ける位近くて、商店なんかも整ってて凄く条件が良い物件だったそうです。
それなのに、家賃もそれほど高くない…と云うより安い程。
(この時点で普通はおかしいと思いません?)
でも、そこに入居して暫く経って、一つ嫌な事を発見したんです。
和室の押入れの上部に小さな棚があって、そこの奥天井に一枚の御札が貼られてるのに気付いたそうです。
Aは心霊だとかその手の事には鈍感な性質で、気味が悪いとは思いつつもお札を剥がして捨てたんです。
それから、部屋に変な電話が掛かってくるようになったんです。
しわがれた年配の女性の声で、呟くように繰り返すのだそうです。
「こちらはあたしの家じゃないかねぇ」
、って。
Aはいたずら電話か痴呆老人の仕業かと思って、対応もおざなりに電話を切ったそうです。
けど、その電話は時折掛かってきたんです。日をおいて幾度も、同じ老女から同じ内容で。
終いには辛抱しきれなくなったAは、この部屋は俺のモンだ、と怒鳴りつけたんだそうです。
そうしたら、震える声で
「…ここはあたしの家だよぅ」
と返ってきたきり、電話は切れてしまったそうです。
その夜、Aは息苦しさに目を覚ましたそうです。
身体が動かない。すぐに金縛り状態である事に気付きます。
動けないまま目を凝らしていると、直に目が暗闇に慣れてきました。
その時、顔にポタリと何か雫のような物が降りかかったんです。
すぐ頭上の天井に目を向けると、真っ白な筈の天井に黒いシミが出来ていて、そこから雫が垂れているようでした。
みるみるシミは広がって、垂れてくる雫の量が増えてきました。
生臭い!その雫が血であると思った瞬間、天井のシミの中から何かがA目掛けて降ってきたんです。
ドサドサ、バラバラと重みのある物体が、Aの顔といわず身体といわず降り掛かったんです。
Aが恐怖に身を強張らせていると、顔の真横に生臭い空気を感じました。
視線を向けると、真っ黒な塊…人の首がAの顔の横にあり、それが耳元で口を開いたんです。電話のしわがれた声で。
「ここはあたしの家だよぅ」
翌日、Aはすぐその部屋から引き払いました。
不動産屋は、もうあんな所には住めないと訴えるAを問い質す事も無く即時引き払いに応じたそうです。
後日、Aはその部屋の(建物の)来歴を調べました。
十数年前、その建物はある資産家の老女の持ち物でした。
しかしその老女は欲に目の眩んだ身内によって殺されたんだそうです。
ただ…何故Aの借りた部屋に老婆は現れたのか。明確な理由は今でも解りません。
主要線の駅からも歩いて行ける位近くて、商店なんかも整ってて凄く条件が良い物件だったそうです。
それなのに、家賃もそれほど高くない…と云うより安い程。
(この時点で普通はおかしいと思いません?)
でも、そこに入居して暫く経って、一つ嫌な事を発見したんです。
和室の押入れの上部に小さな棚があって、そこの奥天井に一枚の御札が貼られてるのに気付いたそうです。
Aは心霊だとかその手の事には鈍感な性質で、気味が悪いとは思いつつもお札を剥がして捨てたんです。
それから、部屋に変な電話が掛かってくるようになったんです。
しわがれた年配の女性の声で、呟くように繰り返すのだそうです。
「こちらはあたしの家じゃないかねぇ」
、って。
Aはいたずら電話か痴呆老人の仕業かと思って、対応もおざなりに電話を切ったそうです。
けど、その電話は時折掛かってきたんです。日をおいて幾度も、同じ老女から同じ内容で。
終いには辛抱しきれなくなったAは、この部屋は俺のモンだ、と怒鳴りつけたんだそうです。
そうしたら、震える声で
「…ここはあたしの家だよぅ」
と返ってきたきり、電話は切れてしまったそうです。
その夜、Aは息苦しさに目を覚ましたそうです。
身体が動かない。すぐに金縛り状態である事に気付きます。
動けないまま目を凝らしていると、直に目が暗闇に慣れてきました。
その時、顔にポタリと何か雫のような物が降りかかったんです。
すぐ頭上の天井に目を向けると、真っ白な筈の天井に黒いシミが出来ていて、そこから雫が垂れているようでした。
みるみるシミは広がって、垂れてくる雫の量が増えてきました。
生臭い!その雫が血であると思った瞬間、天井のシミの中から何かがA目掛けて降ってきたんです。
ドサドサ、バラバラと重みのある物体が、Aの顔といわず身体といわず降り掛かったんです。
Aが恐怖に身を強張らせていると、顔の真横に生臭い空気を感じました。
視線を向けると、真っ黒な塊…人の首がAの顔の横にあり、それが耳元で口を開いたんです。電話のしわがれた声で。
「ここはあたしの家だよぅ」
翌日、Aはすぐその部屋から引き払いました。
不動産屋は、もうあんな所には住めないと訴えるAを問い質す事も無く即時引き払いに応じたそうです。
後日、Aはその部屋の(建物の)来歴を調べました。
十数年前、その建物はある資産家の老女の持ち物でした。
しかしその老女は欲に目の眩んだ身内によって殺されたんだそうです。
ただ…何故Aの借りた部屋に老婆は現れたのか。明確な理由は今でも解りません。
2009年01月23日
メッセージ
ある田舎の高校1年生くらいの少女が、誕生日祝いに親に携帯電話を買ってもらった。
その子はとても喜んだが、その頃は携帯があまり普及していなく、また田舎ということもあり、少女のまわりの友達は誰も携帯電話を持っていなかった。
しかし、あるときその子の携帯に一通のメールが届いた。
その内容は
『メル友が欲しくて、適当に番号を入れて送ってみました。良かったらメル友になってくれませんか?』
というものだった。
その子は当然喜び、その申し出を受け入れた。
その日からその子はそのメル友と毎日のようにメールをしていた。
そのメル友は男の子で、高2だということで、歳も近いその男の子に、少女は次第にひかれていった。
しかし、その男の子とはテレビや学校の話はするものの、どこに住んでるのかとかは不明だった。
男の子はあまりそういう話をしたがらなかったのだ。
ある日少女は意を決して男の子にメールで聞いてみた。
『声が聞いてみたい。それに、直接いろいろな話をしてみたい』
というようなことを。
男の子は、しばらく間を開けた後
『僕も直接話してみたい。今日の夜8時頃に電話するよ』
というメールを返した。
女の子はとても喜び、どんなことを話そうかいろいろ考えながら8時を待った。
それから、8時を少し過ぎたところで男の子から電話がきた。
女の子は、男の子との初めての電話をまた後で聞き返したいと思い、録音機能を使いながら会話をしていた。
男の子との会話はとても楽しく、ふと気が付いたら9時半をまわっていた。
女の子は
『もうこんな時間だ。また今度話をしよう』
と、そこで会話を切った。
女の子はとても楽しかったな。と、男の子との会話を思い返していた。
が、なぜかあまりよく思い出せない。とても楽しかったことだけは覚えているのだけど。
そうこうしている内に、初めての電話という緊張から解かれた為か、眠くなってきてしまった。
今日はもう寝よう、と10時すぎには就寝していた。
突然、
『あんた何やってんの?!!』
と、母親の怒鳴り声がして女の子は目を覚ました。
女の子は2階の自分の部屋の窓から転げ落ちる寸前だった。時計の針は2時を指している。
母親は女の子の部屋からやたら物音が聞こえるのでみにきたのだった。
女の子はなぜ自分が窓の手摺りを乗り越えようとしてたのか分からなかった。
ふと、男の子との会話が気になった。たしか録音してたはずだ、とその会話を聞いてみた。
その携帯に残っていた会話は、これだけだった。
『お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。』
その子はとても喜んだが、その頃は携帯があまり普及していなく、また田舎ということもあり、少女のまわりの友達は誰も携帯電話を持っていなかった。
しかし、あるときその子の携帯に一通のメールが届いた。
その内容は
『メル友が欲しくて、適当に番号を入れて送ってみました。良かったらメル友になってくれませんか?』
というものだった。
その子は当然喜び、その申し出を受け入れた。
その日からその子はそのメル友と毎日のようにメールをしていた。
そのメル友は男の子で、高2だということで、歳も近いその男の子に、少女は次第にひかれていった。
しかし、その男の子とはテレビや学校の話はするものの、どこに住んでるのかとかは不明だった。
男の子はあまりそういう話をしたがらなかったのだ。
ある日少女は意を決して男の子にメールで聞いてみた。
『声が聞いてみたい。それに、直接いろいろな話をしてみたい』
というようなことを。
男の子は、しばらく間を開けた後
『僕も直接話してみたい。今日の夜8時頃に電話するよ』
というメールを返した。
女の子はとても喜び、どんなことを話そうかいろいろ考えながら8時を待った。
それから、8時を少し過ぎたところで男の子から電話がきた。
女の子は、男の子との初めての電話をまた後で聞き返したいと思い、録音機能を使いながら会話をしていた。
男の子との会話はとても楽しく、ふと気が付いたら9時半をまわっていた。
女の子は
『もうこんな時間だ。また今度話をしよう』
と、そこで会話を切った。
女の子はとても楽しかったな。と、男の子との会話を思い返していた。
が、なぜかあまりよく思い出せない。とても楽しかったことだけは覚えているのだけど。
そうこうしている内に、初めての電話という緊張から解かれた為か、眠くなってきてしまった。
今日はもう寝よう、と10時すぎには就寝していた。
突然、
『あんた何やってんの?!!』
と、母親の怒鳴り声がして女の子は目を覚ました。
女の子は2階の自分の部屋の窓から転げ落ちる寸前だった。時計の針は2時を指している。
母親は女の子の部屋からやたら物音が聞こえるのでみにきたのだった。
女の子はなぜ自分が窓の手摺りを乗り越えようとしてたのか分からなかった。
ふと、男の子との会話が気になった。たしか録音してたはずだ、とその会話を聞いてみた。
その携帯に残っていた会話は、これだけだった。
『お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。お前は今夜2時に窓から落ちて死ぬ。』
2009年01月20日
4号室
ある男が仲間たちと旅行に出かけ、とある旅館の3号室に泊まった。
その日の深夜、用を足しにトイレに行った男が部屋に戻ってくると、なぜか寝ているはずの仲間たちが忽然と姿を消している。
驚いた男が確認するとそこは4号室、つまり隣の部屋であった。
男は自らのそそっかしいミスに苦笑しながら、自分の部屋に戻る。
しかし、よくよく考えてみると何かがおかしい。そもそも、この旅館に…4号室などあっただろうか?
翌朝、男が隣の部屋のナンバープレートを確認すると、その隣の部屋は5号室となっていた。
その日の深夜、用を足しにトイレに行った男が部屋に戻ってくると、なぜか寝ているはずの仲間たちが忽然と姿を消している。
驚いた男が確認するとそこは4号室、つまり隣の部屋であった。
男は自らのそそっかしいミスに苦笑しながら、自分の部屋に戻る。
しかし、よくよく考えてみると何かがおかしい。そもそも、この旅館に…4号室などあっただろうか?
翌朝、男が隣の部屋のナンバープレートを確認すると、その隣の部屋は5号室となっていた。
2009年01月17日
別れ話にご用心
ある男が同棲している恋人に別れ話を切り出した。
男は彼女に向かい、すぐに荷物をまとめて出て行くように言い渡すと、毎日彼女と顔をあわせることで別れ話についての議論を蒸し返されることを恐れ、しばらくの間家を留守にすることにした。
2週間がたち、男は家に帰ってきた。まだ彼女が居座っていたらどうしようと内心不安であったのだが、そこには彼女の姿も、荷物も残されていない。
ホッとした彼が家のなかを見回していると、電話の受話器が外れ、そこから何か聞いたことのない国の言葉が流れ続けているのに気づいた。
彼女は振られた腹いせに、東京の時報案内にまで国際電話を掛け、受話器をそのままにして出て行ったのだ。やがて男のもとには、数千ドルにも及ぶ電話料金の請求書が届けられた。
男は彼女に向かい、すぐに荷物をまとめて出て行くように言い渡すと、毎日彼女と顔をあわせることで別れ話についての議論を蒸し返されることを恐れ、しばらくの間家を留守にすることにした。
2週間がたち、男は家に帰ってきた。まだ彼女が居座っていたらどうしようと内心不安であったのだが、そこには彼女の姿も、荷物も残されていない。
ホッとした彼が家のなかを見回していると、電話の受話器が外れ、そこから何か聞いたことのない国の言葉が流れ続けているのに気づいた。
彼女は振られた腹いせに、東京の時報案内にまで国際電話を掛け、受話器をそのままにして出て行ったのだ。やがて男のもとには、数千ドルにも及ぶ電話料金の請求書が届けられた。
2009年01月16日
固まる話
「ジョン、お誕生日おめでとう。プレゼントよ」
「うわーい、パパ!ママ!ありがとう!」
ジョンに贈られたのは、本物そっくりのポルシェのゴーカート、最新パソコン、アニメDVD30本。
「よかったね、お兄ちゃん」
「ジョニー、お前の誕生日には何をもらった?」
「ボクはミニカーが1つだったよ。手に乗るようなちっちゃいやつ」
「そんなケチくさいものだったのか?へへ、うらやましいだろーっ」
「ううん。そうでもない」
「やせがまんするなよ!うらやましいくせに!」
「でもボクは癌じゃないからさ…」
「うわーい、パパ!ママ!ありがとう!」
ジョンに贈られたのは、本物そっくりのポルシェのゴーカート、最新パソコン、アニメDVD30本。
「よかったね、お兄ちゃん」
「ジョニー、お前の誕生日には何をもらった?」
「ボクはミニカーが1つだったよ。手に乗るようなちっちゃいやつ」
「そんなケチくさいものだったのか?へへ、うらやましいだろーっ」
「ううん。そうでもない」
「やせがまんするなよ!うらやましいくせに!」
「でもボクは癌じゃないからさ…」
2009年01月13日
窓をたたくもの
深夜、A子さんは異様な物音を聞いて目を覚ました。
何かを引きずっているような音が窓の外から聞こえていた。
道に面している家なのだが、この時間ともなると人通りはない筈であった。
両親が旅行に出かけ1人だった彼女は、怖くなったが、その音に耳を傾けた。
暫くすると音が停まった。
しかし次の瞬間、カーテンを引いてある窓が「ドンッ」と叩かれた。
A子さんの心臓は、胸から飛び出さんばかりに高鳴った。
ドン…ドン…力のない音が何度も聞こえる。
彼女は勇気を振り絞って窓の方へ近寄っていった。
「誰? 誰かいるの?」
窓の外からは返事はない。ただ力無く窓を叩く音だけが聞こえる。
「いたずらだったらやめて下さい!」
震える口唇を抑え、彼女はきっぱりと言い切った。
しかし返事はなく、カーテンの裏からは、ゆっくりとしたテンポで窓を叩く音が聞こえるだけであった。
彼女はカーテンの端に手をかけ、目をつぶって一気に開いた。
ゆっくりと開いた彼女の目に飛び込んできたのは、顔中血だらけの、しかも薄笑いを浮かべた髪の長い女の顔だった。
「きゃ-!!」
彼女は叫び声をあげると、急いで家を飛び出した。
逃げるように友人の家に転がり込んだ彼女は、その夜起きた出来事を友人に話した。
霊感の強い友人は彼女の話を最後まで聞くと、引き出しからお守りを取り出し、それを彼女の首にかけた。
安心した彼女は友人の家で朝までゆっくりと眠った。
朝帰る時、友人は心配してくれたが、彼女は
「お守りがあるから大丈夫」
と一人で帰る事にした。
彼女が家の近くまでくると、周りにはかなりの数のパトカーが停まっていた。
近くに立っていた主婦に彼女は聞いてみた。
「何かあったんですか?」
主婦は答えた。
「昨夜、通り魔に襲われた女の人がここまで逃げてきたんだけど、そこの家の所に来て息絶えてしまったんだって。可哀想に」
主婦の示した指の先には、彼女の家があった。
何かを引きずっているような音が窓の外から聞こえていた。
道に面している家なのだが、この時間ともなると人通りはない筈であった。
両親が旅行に出かけ1人だった彼女は、怖くなったが、その音に耳を傾けた。
暫くすると音が停まった。
しかし次の瞬間、カーテンを引いてある窓が「ドンッ」と叩かれた。
A子さんの心臓は、胸から飛び出さんばかりに高鳴った。
ドン…ドン…力のない音が何度も聞こえる。
彼女は勇気を振り絞って窓の方へ近寄っていった。
「誰? 誰かいるの?」
窓の外からは返事はない。ただ力無く窓を叩く音だけが聞こえる。
「いたずらだったらやめて下さい!」
震える口唇を抑え、彼女はきっぱりと言い切った。
しかし返事はなく、カーテンの裏からは、ゆっくりとしたテンポで窓を叩く音が聞こえるだけであった。
彼女はカーテンの端に手をかけ、目をつぶって一気に開いた。
ゆっくりと開いた彼女の目に飛び込んできたのは、顔中血だらけの、しかも薄笑いを浮かべた髪の長い女の顔だった。
「きゃ-!!」
彼女は叫び声をあげると、急いで家を飛び出した。
逃げるように友人の家に転がり込んだ彼女は、その夜起きた出来事を友人に話した。
霊感の強い友人は彼女の話を最後まで聞くと、引き出しからお守りを取り出し、それを彼女の首にかけた。
安心した彼女は友人の家で朝までゆっくりと眠った。
朝帰る時、友人は心配してくれたが、彼女は
「お守りがあるから大丈夫」
と一人で帰る事にした。
彼女が家の近くまでくると、周りにはかなりの数のパトカーが停まっていた。
近くに立っていた主婦に彼女は聞いてみた。
「何かあったんですか?」
主婦は答えた。
「昨夜、通り魔に襲われた女の人がここまで逃げてきたんだけど、そこの家の所に来て息絶えてしまったんだって。可哀想に」
主婦の示した指の先には、彼女の家があった。