2008年04月13日
そこに女の子がいる…
Sの母親はもともと霊感の強い人だったらしい。
Sの学校からの近道で墓場があって、そこを通ると100%バレるくらい。
「連れて帰って」きているのがわかるそう。
そんなS一家がある時、とあるアパートに引っ越してきた時の事。
Sが夜中、トイレに起き出すと母親が台所である一点を見つめ続けていたらしい。
その視線の先にはちらばったおもちゃ。
「また妹たちが片付けてないのか…」
そう思ったSはそのおもちゃを片付けようとした、すると母が突然
「そのままにしといて。それ、遊んでる」
と言い出した。さらに続けて
「そこに女の子がいる…」と言う。
そんな事が何回も続いた。
まぁそんな霊感を持つ母がいると不思議と慣れるのか、
その光景は大して珍しい事では無かったらしい。
しかし母親の仕事が忙しくなり、疲れからすぐに寝るような生活が続いた。
そんなある日の事。
S母とSの兄が2人で家に帰って来た時だった。
S兄が最初に家に入った時、突然扉が「バタン!!!!」ともの凄い勢いで閉まった。
Sの家の扉は鉄(?)の扉で結構重いタイプのものだった。
開けた状態で手を離すとゆっくり閉まる扉、と言えばわかるかな。
だから絶対にそんなに勢いよく閉まるはずが無い。
何だ!?とS兄が戸惑っていると、次は玄関の電球が「バリーン!!」と音を立てて割れた。
さすがに異常を感じて怯えていると、しばらくして母親がゆっくり扉を開けて入ってきた。
S兄が今の事を話すと母はこう言った。
「最近遊んであげてなかったから…怒ってたみたい。
今その子外にいたのよ。話してたの」
その後、S家は別の所に引っ越したのだが(当然だけど霊に怯えたわけじゃない)
まだ、女の子はその部屋にいるのだという。
Sの学校からの近道で墓場があって、そこを通ると100%バレるくらい。
「連れて帰って」きているのがわかるそう。
そんなS一家がある時、とあるアパートに引っ越してきた時の事。
Sが夜中、トイレに起き出すと母親が台所である一点を見つめ続けていたらしい。
その視線の先にはちらばったおもちゃ。
「また妹たちが片付けてないのか…」
そう思ったSはそのおもちゃを片付けようとした、すると母が突然
「そのままにしといて。それ、遊んでる」
と言い出した。さらに続けて
「そこに女の子がいる…」と言う。
そんな事が何回も続いた。
まぁそんな霊感を持つ母がいると不思議と慣れるのか、
その光景は大して珍しい事では無かったらしい。
しかし母親の仕事が忙しくなり、疲れからすぐに寝るような生活が続いた。
そんなある日の事。
S母とSの兄が2人で家に帰って来た時だった。
S兄が最初に家に入った時、突然扉が「バタン!!!!」ともの凄い勢いで閉まった。
Sの家の扉は鉄(?)の扉で結構重いタイプのものだった。
開けた状態で手を離すとゆっくり閉まる扉、と言えばわかるかな。
だから絶対にそんなに勢いよく閉まるはずが無い。
何だ!?とS兄が戸惑っていると、次は玄関の電球が「バリーン!!」と音を立てて割れた。
さすがに異常を感じて怯えていると、しばらくして母親がゆっくり扉を開けて入ってきた。
S兄が今の事を話すと母はこう言った。
「最近遊んであげてなかったから…怒ってたみたい。
今その子外にいたのよ。話してたの」
その後、S家は別の所に引っ越したのだが(当然だけど霊に怯えたわけじゃない)
まだ、女の子はその部屋にいるのだという。
2008年04月08日
床を這う女
Aは神奈川県内の高校を卒業後、N県にある大学に進学し、2年次までは寮で暮らしていたのだが、3年次からはもう一人暮らしを始めようと思った。
とはいえあまり親にお金をかけては申し訳ないからということで、格安の物件を探し、築ウン十年もたった古い木造アパートで暮らし始めた。
ただ気になったのは部屋の柱一ヶ所にお札が張ってあったこと。
しかし心霊や迷信など気にしてなかったAはそんなお札なんて剥がしてしまった。
彼は理工学部の大学生で研究が忙しく、ほとんどアパートで過ごす時間はなかった。
あるとき部屋の隅に女の人の長い髪の毛が落ちているのを見て、あれっ、こないだ掃除したばかりなのにおかしいなぁ、と思いつつもゴミ箱に捨てた。
またある日、部屋の隅に長い髪の毛が落ちているので、どっか部屋の隙間でもあってそこから入ってきてるのかなぁ、とおもいつつもゴミ箱に捨てた。
またあるときちょうど夕方西日が窓に当たる頃、ゴロンと床に横になったときに何気なく窓を見ると、ガラスに自分のより小さい手型がついているのをみつけ、何でこんな所にこんな手形があるんだ?ここは2階だから誰かが外からつけたんじゃないだろうけど、と思いつつも気にせずそのまま寝付いてしまった。
そしてAは目覚めたのだが、もう辺りは暗く、そして金縛りにあっているのか自分の体を動かす事が出来ない。
そして自分の足元の方から、スーッ、スーッ、スーッ、という音がする。
その音はやがて自分の顔に近づき、見ると、白装束で髪が長く不精に垂れ流してて顔の見えない女が床を這っている!!
その女が自分の顔を通過する。
女の目だけが見えた。凝視して今にも飛び出しそうな目!!
女は通過し、部屋の隅を這っている様子。
やがて自分の体に力が入り、ワアーァ、っと声上げ電気をつけ、一目散にドアを開け、近所に住む友人の元に駆けていった。
友人のところで一晩明けて、すぐに不動産屋に問い詰めたところ、幽霊の類の話は聞いたことがないという(実際自分たちが知っている話を隠していたのだろうか?)。
そこで近所の人に話を聞いてみたところ、3,4年前にあそこの部屋で女性が恋愛のもつれからか首吊り自殺を図ったらしい。
当然Aはそのアパートを解約、別のところに引越し、いまは某電気メーカーで働いている。
とはいえあまり親にお金をかけては申し訳ないからということで、格安の物件を探し、築ウン十年もたった古い木造アパートで暮らし始めた。
ただ気になったのは部屋の柱一ヶ所にお札が張ってあったこと。
しかし心霊や迷信など気にしてなかったAはそんなお札なんて剥がしてしまった。
彼は理工学部の大学生で研究が忙しく、ほとんどアパートで過ごす時間はなかった。
あるとき部屋の隅に女の人の長い髪の毛が落ちているのを見て、あれっ、こないだ掃除したばかりなのにおかしいなぁ、と思いつつもゴミ箱に捨てた。
またある日、部屋の隅に長い髪の毛が落ちているので、どっか部屋の隙間でもあってそこから入ってきてるのかなぁ、とおもいつつもゴミ箱に捨てた。
またあるときちょうど夕方西日が窓に当たる頃、ゴロンと床に横になったときに何気なく窓を見ると、ガラスに自分のより小さい手型がついているのをみつけ、何でこんな所にこんな手形があるんだ?ここは2階だから誰かが外からつけたんじゃないだろうけど、と思いつつも気にせずそのまま寝付いてしまった。
そしてAは目覚めたのだが、もう辺りは暗く、そして金縛りにあっているのか自分の体を動かす事が出来ない。
そして自分の足元の方から、スーッ、スーッ、スーッ、という音がする。
その音はやがて自分の顔に近づき、見ると、白装束で髪が長く不精に垂れ流してて顔の見えない女が床を這っている!!
その女が自分の顔を通過する。
女の目だけが見えた。凝視して今にも飛び出しそうな目!!
女は通過し、部屋の隅を這っている様子。
やがて自分の体に力が入り、ワアーァ、っと声上げ電気をつけ、一目散にドアを開け、近所に住む友人の元に駆けていった。
友人のところで一晩明けて、すぐに不動産屋に問い詰めたところ、幽霊の類の話は聞いたことがないという(実際自分たちが知っている話を隠していたのだろうか?)。
そこで近所の人に話を聞いてみたところ、3,4年前にあそこの部屋で女性が恋愛のもつれからか首吊り自殺を図ったらしい。
当然Aはそのアパートを解約、別のところに引越し、いまは某電気メーカーで働いている。
2008年04月05日
オフ会で
ネットで知り合った8人の若い男女がオフ会をやる事になった。
ほとんどがリアルでの面識は無い者ばかりで多少の不安もあったが、
結局、みんなで集まって遊園地で遊ぼうという事になった。
そして当日になり、待ち合わせの場所に次々と参加者が集まってきたが、
Aという名前の男がなかなかやって来ない。
仕方がないので7人で行こうかという事になった時、
いつのまにか1人の若い男が近くにいるのに気づいた。
そこで、もしかしたらと思い、声をかけると、
「じゃあ、行きましょうか」と言って彼は立ち上がった。
やけに不自然な言動だったが、
その時はみんなじれていて、たいして気にも止めなかった。
お互いに簡単に自己紹介をした後、みんなで遊園地へ入り、
最初の内はぎこちなかった彼等も、
やがてワイワイと賑やかに遊ぶようになったが、
Aだけはどこか打ち解けないところがあった。
普通に話はするし、他の人に話題を振られても反応はするのだが、
どうも相手を見下して馬鹿にしてるような雰囲気があった。
チャットやBBSでは、もっと積極的に話を盛り上げるキャラだったはずなのに、
そのリアルでの性格のギャップにみんな不審を抱いていた。
しかしネット上でもAは自分の事だけはあまり語らなかったので、
一体どういう人物なのか誰にもよく分からなかった。
その為、一度は盛り上がった場も、なんとなくしらけてしまい、
日が暮れて、今回はこれでお開きにしようという事になった。
ところが、それぞれが別れて帰るという時になると、
Aは、「僕と同じ方向へ行く人がいたら車で送りますよ」と言った。
ほとんどの人は電車で来ていたが、Aは車で来ていて、近くに止めているらしかった。
確かにこれまでのAの冷めた調子には気に食わないところもあったが、
彼の言葉に甘えれば電車賃がタダになる。
結局、Tという男と、Sという女がAの車に便乗させてもらう事になった。
こうして初対面3人の夜のドライブが始まった・・・。
Aの車は中古らしいが、かなり手入れがゆきとどいていた。
TとSは後部座席に座り、Aの運転を見守っていたが、
Aは、変にかっこつける事もなく、安全運転を心がけていた。
車はやがて郊外に入り、片側二車線の道に入った。
まだそんなに遅い時間でもないのに、彼等の乗った車以外はほとんど無く、
窓の外には明かりがほとんど見えず、時折ガソリンスタンドや自販機の光が見えるばかりだ。
車内でTとSはたわいない雑談をしていたが、
Aは自分からは何もしゃべろうとはせず、時々話を振っても軽く受け答えするだけだった。
窓の外は暗い林がずっと続いている。
よく見ると、たくさんの石の地蔵が並んでいる。
ライトの光に浮き上がるそれはひどく異様だった。
頭が酷く欠けているもの、
口に亀裂が入って不気味に笑ってるように見えるもの
顔が真っ二つに割れているもの、
1つとしてまともなのが無いのである。
異様な光景に気づいたTとSは気分が悪くなり、さらに嫌な予感がした。
「この辺りは結構出るそうですよ」
珍しくAが自分のほうからボツリと言った。
「・・・出るってなにが?」
「出るんだそうです」
「・・・だから、何が?」
Tが尋ねてもAは何も言わない。
「あのう、この車、さっきから同じところを走ってませんか?」
窓の外を見ていたSが言った。
「ほら、あのガソリンスタンドと自販機、さっきも通りすぎましたよね」
確かに彼女が指差す先にはそれらの明かりが通りすぎてゆく。
「そんなことはないですよ」
答えたのはAだった。抑揚のない棒読み口調だった。
「この道路は一本道ですからね、曲がってもいないのに同じところは走れませんよ。
郊外の道なんてみんな似てますからね。気のせいですよ」
Aは初めてと言っていいくらいペラペラとしゃべり、最後にヒヒヒッと低く笑った。
その笑い声を聞くと、TもSもそれ以上何も言えなくなった。
しばらく沈黙が続いた後、Aは手をのばして何やらゴソゴソやるとテープを取り出した。
「何かかけましょうか」
Aはテープをカーステレオに押し込んだ。
ところが音楽が流れてこないのである。2、3分たっても、まったく何も。
沈黙と圧迫感に耐えかねたTが口を開いた。
「・・・何も聞こえないんだけど」
「・・・・・・」
「・・・ちゃんと入ってるの?」
「・・・・・・」
「・・・ねえ?」
「聞こえないでしょう? なんにも」
「・・・ああ」
「深夜にね、家の中でテープをまわしておいたんですよ
自分は外出してね。家の中の音を拾うようにテープをまわしておいたんです」
「・・・なんでそんなことしたわけ?」
「だって、留守の間に何かが会話しているのが録音できるかもしれないでしょ」
「・・・何かって・・・なんだよ?」
「・・・・・・」
Tは初めて相手が答えなくて良かったと思った。
それ以上、Aと会話してはいけないと思った。
するとSが突然悲鳴をあげた。
窓の外にはまたあの不気味な地蔵が並んでいたのだ。
「おい、とめろ!」
Tが叫んだが、Aは何も言わない。
「とめろ!」
さらにTが叫ぶと、静かに車は止まった。TとSは転がるように車から降りた。
車はすぐに再発進して遠ざかっていった。
残されたTとSが辺りを見まわすと、2人は顔を見合わせて顔面蒼白になって震えた。
そこには石の地蔵など無く、それどころか彼等が遊んだ遊園地のすぐ近くだった。
一本道をずっと走ったのに、どうやって戻ってきたのか全く分からなかった。
それだけではなかった。
あとで他の参加者に連絡を取ろうとしたら、
なんとAは時間を間違えて待ち合わせの場所へ来て待ちぼうけを食らって、
そのまま帰ったといういうのだ。
だとしたら、オフ会に参加したあの男は一体何者だったのか?
後日、Tはほとんど同じ道をたどる機会があったが、
道路の何処にも石の地蔵など無かったという・・・。
ほとんどがリアルでの面識は無い者ばかりで多少の不安もあったが、
結局、みんなで集まって遊園地で遊ぼうという事になった。
そして当日になり、待ち合わせの場所に次々と参加者が集まってきたが、
Aという名前の男がなかなかやって来ない。
仕方がないので7人で行こうかという事になった時、
いつのまにか1人の若い男が近くにいるのに気づいた。
そこで、もしかしたらと思い、声をかけると、
「じゃあ、行きましょうか」と言って彼は立ち上がった。
やけに不自然な言動だったが、
その時はみんなじれていて、たいして気にも止めなかった。
お互いに簡単に自己紹介をした後、みんなで遊園地へ入り、
最初の内はぎこちなかった彼等も、
やがてワイワイと賑やかに遊ぶようになったが、
Aだけはどこか打ち解けないところがあった。
普通に話はするし、他の人に話題を振られても反応はするのだが、
どうも相手を見下して馬鹿にしてるような雰囲気があった。
チャットやBBSでは、もっと積極的に話を盛り上げるキャラだったはずなのに、
そのリアルでの性格のギャップにみんな不審を抱いていた。
しかしネット上でもAは自分の事だけはあまり語らなかったので、
一体どういう人物なのか誰にもよく分からなかった。
その為、一度は盛り上がった場も、なんとなくしらけてしまい、
日が暮れて、今回はこれでお開きにしようという事になった。
ところが、それぞれが別れて帰るという時になると、
Aは、「僕と同じ方向へ行く人がいたら車で送りますよ」と言った。
ほとんどの人は電車で来ていたが、Aは車で来ていて、近くに止めているらしかった。
確かにこれまでのAの冷めた調子には気に食わないところもあったが、
彼の言葉に甘えれば電車賃がタダになる。
結局、Tという男と、Sという女がAの車に便乗させてもらう事になった。
こうして初対面3人の夜のドライブが始まった・・・。
Aの車は中古らしいが、かなり手入れがゆきとどいていた。
TとSは後部座席に座り、Aの運転を見守っていたが、
Aは、変にかっこつける事もなく、安全運転を心がけていた。
車はやがて郊外に入り、片側二車線の道に入った。
まだそんなに遅い時間でもないのに、彼等の乗った車以外はほとんど無く、
窓の外には明かりがほとんど見えず、時折ガソリンスタンドや自販機の光が見えるばかりだ。
車内でTとSはたわいない雑談をしていたが、
Aは自分からは何もしゃべろうとはせず、時々話を振っても軽く受け答えするだけだった。
窓の外は暗い林がずっと続いている。
よく見ると、たくさんの石の地蔵が並んでいる。
ライトの光に浮き上がるそれはひどく異様だった。
頭が酷く欠けているもの、
口に亀裂が入って不気味に笑ってるように見えるもの
顔が真っ二つに割れているもの、
1つとしてまともなのが無いのである。
異様な光景に気づいたTとSは気分が悪くなり、さらに嫌な予感がした。
「この辺りは結構出るそうですよ」
珍しくAが自分のほうからボツリと言った。
「・・・出るってなにが?」
「出るんだそうです」
「・・・だから、何が?」
Tが尋ねてもAは何も言わない。
「あのう、この車、さっきから同じところを走ってませんか?」
窓の外を見ていたSが言った。
「ほら、あのガソリンスタンドと自販機、さっきも通りすぎましたよね」
確かに彼女が指差す先にはそれらの明かりが通りすぎてゆく。
「そんなことはないですよ」
答えたのはAだった。抑揚のない棒読み口調だった。
「この道路は一本道ですからね、曲がってもいないのに同じところは走れませんよ。
郊外の道なんてみんな似てますからね。気のせいですよ」
Aは初めてと言っていいくらいペラペラとしゃべり、最後にヒヒヒッと低く笑った。
その笑い声を聞くと、TもSもそれ以上何も言えなくなった。
しばらく沈黙が続いた後、Aは手をのばして何やらゴソゴソやるとテープを取り出した。
「何かかけましょうか」
Aはテープをカーステレオに押し込んだ。
ところが音楽が流れてこないのである。2、3分たっても、まったく何も。
沈黙と圧迫感に耐えかねたTが口を開いた。
「・・・何も聞こえないんだけど」
「・・・・・・」
「・・・ちゃんと入ってるの?」
「・・・・・・」
「・・・ねえ?」
「聞こえないでしょう? なんにも」
「・・・ああ」
「深夜にね、家の中でテープをまわしておいたんですよ
自分は外出してね。家の中の音を拾うようにテープをまわしておいたんです」
「・・・なんでそんなことしたわけ?」
「だって、留守の間に何かが会話しているのが録音できるかもしれないでしょ」
「・・・何かって・・・なんだよ?」
「・・・・・・」
Tは初めて相手が答えなくて良かったと思った。
それ以上、Aと会話してはいけないと思った。
するとSが突然悲鳴をあげた。
窓の外にはまたあの不気味な地蔵が並んでいたのだ。
「おい、とめろ!」
Tが叫んだが、Aは何も言わない。
「とめろ!」
さらにTが叫ぶと、静かに車は止まった。TとSは転がるように車から降りた。
車はすぐに再発進して遠ざかっていった。
残されたTとSが辺りを見まわすと、2人は顔を見合わせて顔面蒼白になって震えた。
そこには石の地蔵など無く、それどころか彼等が遊んだ遊園地のすぐ近くだった。
一本道をずっと走ったのに、どうやって戻ってきたのか全く分からなかった。
それだけではなかった。
あとで他の参加者に連絡を取ろうとしたら、
なんとAは時間を間違えて待ち合わせの場所へ来て待ちぼうけを食らって、
そのまま帰ったといういうのだ。
だとしたら、オフ会に参加したあの男は一体何者だったのか?
後日、Tはほとんど同じ道をたどる機会があったが、
道路の何処にも石の地蔵など無かったという・・・。
2008年03月31日
肝試し
ある夏の日、AとBとCの3人で肝試しをすることになった。
選ばれた場所は廃校、3人は廃校の校門に集まることにする。
普通は3人で一緒に行くのだが、お互いの勇気を試そうと言うことで一人づつ校舎を回ることにした。
ルートは入り口から入り二階のトイレの一番奥の個室に入り、個室の壁に赤いマジックで印しをつけてから校門に帰ってくるということだった。
まずはAが学校の中に入っていく。
しばらくしてAは何事もなかったように戻っていく。
次はBの番だ。
Bは懐中電灯を片手に学校の中に入っていった。木造の校舎は真っ暗で、懐中電灯がなければ1m先の物も解らないほどだった。きしむ階段を上がって二階へ上がっていく。
Bはホコリっぽい、二階の廊下には教室が並んでいて、教室側とは反対側のトイレに入っていった。
黴臭いトイレの中は、蒸し暑く湿っぽかった。
一番奥の個室の扉を開け、中を懐中電灯で照らして確認する。
壁に赤いマジックで書かれた印しを見付け、自分も印をつけようとBは個室の中に入っていった。
すると…、突然個室の扉が閉まってしまった。
Bは心臓が飛び出る程驚いた。
扉を開けようとするが、外から押さえ付けられているのか開かない。
しばらく頑張ってみたが開かない。
Bは冷静になり、「どうせAとCがふざけてるんだろう」と思い。
逆にAとCを脅かそうと考えた。
「ここは下手な事をしないで、ずっと黙ったままでいた方が恐がるだろう」
と思ったBは何もせずに二人が居なくなるのを待った。………。
しばらくして、誰かが走りだす音が聞こえたのでBは個室の扉を開ける。
扉はすんなり開いた。
Bは二人に文句を言ってやろうと思い、学校から出て、校門で待っていた二人に言った。
「ひどいじゃないか、扉を押さえるなんて!」
二人は笑いながら。
「悪かったよ」
と謝る。
「まったくもう…」
「まさか泣きだすとは思わなかった。」
「…えっ?なんのこと?」Bは泣いたりはしていない。
「だって個室のなかから小さく啜り泣く声が…」
Bは背筋になにか冷たいものを感じ。
「おまえら…、男子と女子…どっちのトイレに入った?」
とAとCに聞いた。
「え…、女子だけど…?おまえ女子トイレに入って…たんじゃ……」
「俺が入ったのは男子トイレだ!」
選ばれた場所は廃校、3人は廃校の校門に集まることにする。
普通は3人で一緒に行くのだが、お互いの勇気を試そうと言うことで一人づつ校舎を回ることにした。
ルートは入り口から入り二階のトイレの一番奥の個室に入り、個室の壁に赤いマジックで印しをつけてから校門に帰ってくるということだった。
まずはAが学校の中に入っていく。
しばらくしてAは何事もなかったように戻っていく。
次はBの番だ。
Bは懐中電灯を片手に学校の中に入っていった。木造の校舎は真っ暗で、懐中電灯がなければ1m先の物も解らないほどだった。きしむ階段を上がって二階へ上がっていく。
Bはホコリっぽい、二階の廊下には教室が並んでいて、教室側とは反対側のトイレに入っていった。
黴臭いトイレの中は、蒸し暑く湿っぽかった。
一番奥の個室の扉を開け、中を懐中電灯で照らして確認する。
壁に赤いマジックで書かれた印しを見付け、自分も印をつけようとBは個室の中に入っていった。
すると…、突然個室の扉が閉まってしまった。
Bは心臓が飛び出る程驚いた。
扉を開けようとするが、外から押さえ付けられているのか開かない。
しばらく頑張ってみたが開かない。
Bは冷静になり、「どうせAとCがふざけてるんだろう」と思い。
逆にAとCを脅かそうと考えた。
「ここは下手な事をしないで、ずっと黙ったままでいた方が恐がるだろう」
と思ったBは何もせずに二人が居なくなるのを待った。………。
しばらくして、誰かが走りだす音が聞こえたのでBは個室の扉を開ける。
扉はすんなり開いた。
Bは二人に文句を言ってやろうと思い、学校から出て、校門で待っていた二人に言った。
「ひどいじゃないか、扉を押さえるなんて!」
二人は笑いながら。
「悪かったよ」
と謝る。
「まったくもう…」
「まさか泣きだすとは思わなかった。」
「…えっ?なんのこと?」Bは泣いたりはしていない。
「だって個室のなかから小さく啜り泣く声が…」
Bは背筋になにか冷たいものを感じ。
「おまえら…、男子と女子…どっちのトイレに入った?」
とAとCに聞いた。
「え…、女子だけど…?おまえ女子トイレに入って…たんじゃ……」
「俺が入ったのは男子トイレだ!」
2008年03月29日
ついてくる
その当時Aは高校2年生。
そしてそれは夏休みの出来事だった。
夜十時頃にAの携帯が突然鳴った。
Aの近所に住む中学校からの友人(以降B)からだ。
Aはこんな夜中に何だろうと思い電話を取ってみると、
「今から川原で花火やりに行かへん?」
Bは普段から何かとAを誘ってちょくちょく遊んでいる仲だったため、いつものノリでその誘いに乗って十時半にいつもの川原で落ち合うことにした。
Aの住んでいる町はコンビニも一軒しか無いほどの田舎だ。
落ち合う場所となっている川原も山道を少し進んだ奥にある地元の人間しか知らないような場所だった。
そしてしばらくするとAは川原に着いた。すでにBは花火を開け待っていた。
Bの持ってきた花火は多くなく、すぐに使い切ってしまった。
もうやることも無くなったが、まだ帰る気の無さそうなBは、
「せっかく川に来たんやし、泳ぐか。」
と言ってトランクス姿になって川に飛び込んだ。
Bは初めから泳ぐつもりだったらしくバスタオルを二枚用意してきていた。
地元の人間にとっては、人っ気の無い川原で泳ぐときは見られる事も無いので水着など要らず、タオル一枚あれば十分だそうだ。
Aも夜に川で泳ぐのは初めてで、調子に乗って泳ぎ出した。
川の中は昼間と違って真っ暗で、まるで墨の中を泳いでいるような感じだった。
そのため、Aは早々に川から上がろうとした。
その時‥‥
突然Aの足が何かに引っ張られた。
AはBの仕業だと思った。
しかしもがきながらも川原を見てみるとBがすでに川から上がり立っているではないか。
じゃあ足を引っ張っているのは‥‥
一瞬背筋がゾクっとし、月明かりのよってかろうじて見える足回りを確認した。
‥‥何もいない‥‥‥
そして引っ張られている感じは収まった。
Aはすぐさま川原に上がり、Bにすぐにここを去ろうと告げようとした。
しかしAは自分の目を疑った。Bの顔の後ろに鬼の形相をした顔が浮かんで見えた。
「早く逃げろ!!」
Aは突然の事にあっけにとられているBの手を引っ張りながらその場所を去った。
逃げる最中にBに簡単にそのことを告げた。
するとBがもうすぐ山道を抜けるというところで突然叫び出した。
「おいっ、なんだあれ!?」
A達が走っていく方向に黒い塊が動いていた。
大きさは大体1メートル弱で、人間とも動物とも言えないような物体があった。
そしてその物体はナメクジのように這うようにして動き、A達の行く手を阻むような感じだった。
Bは驚き、来た道を戻っていった。
そしてAもそれに続こうと思ったが出来なかった。
Bが走っていた道を見てみると、木の間に無数に伸びる手が手招きをしていた。
その光景は異様で、月明かりが無く前方の黒い物体の姿は見えないのに、無数に広がる手だけは発光体の様にうっすら見ることが出来た。
AはすぐさまBを呼び戻そうとしたものの、Bには手が見えていないらしくそのまま暗闇に消えていった。
Aは迷った後に、黒い物体の方に走っていった。
眼をつぶり、時々半眼を開けながら黒い物体にぶつからないようにその場を走り抜けた。
山のふもとまで出ることができ、少し安心して後ろを振り返った。
すると先ほどの物体が追いかけてきているではないか。ナメクジなんて動きでは無い、まるで地面を滑るようにしてAに迫っていた。
山のふもとまで出たおかげで月明かりがその物体をかすかに照らし出した。
しかしそれでも、その物体は見えない。周りの草や木なんかはそれなりに見えるのに関わらず、その物体だけはどうしても見えなかった。まるで暗闇が地面を這っているように見えたと言う。
「うわあぁぁぁぁ!!!!!!」
Aは一心不乱に駆け出した。
五分ほどしたであろうか、Aは近所の小学校まで逃げることができた。
Aは逃げるときにとっさに掴んだ自分のバックからTシャツを出し身に着けた。
しかしさすがに深夜の小学校にトランクスとTシャツ姿でいるとこを見つかったら問答無用に捕まると思い、Aはその後は見つからないように帰路に着いた。
途中、後ろから何か追いかけられているような気はしたものの、あえて振り返らず小走りで十分ほどで家に着いた。
Aはそのままお風呂に入り、逃げるように布団に入ると眠りに付いてしまった。
そして翌日、Aは眼を覚ますとすぐにBのことが気に係り電話を入れた。
「なんだよ、こんな朝っぱらから‥」
Bは何事も無かったのかのように話している。
Aは不思議ながらもあの後の経緯を尋ねた。
「は?何言ってんの?昨日ずっと家にいたし。まずお前に電話なんてかけてないし。」
予想外の返答が帰ってきた。Aは必死に昨日の出来事を説明した。
「どうせ夢の中のことだろ?お前寝ぼけすぎ。」
Bの返答に苛立ったものの、同時に安心感も出てきた。
そしてそのまま電話を切り、何気なく着信履歴を確かめていた。
どうせ残って無いだろと思ったのもつかの間‥‥
あった!
確かに昨日の夜十時にBから着信がある。Aはとっさにバックを確かめた。
昨日のままだ。
これは変だと思い、昼になるとBの家に行った。
Bはやはり何も無かったかの様な対応で、おばさんに聞いてもBはその時間にしっかり家に居たと言う…。
Bがその川原に確認に行こうと言い出したが、Aはとてもそんな気にはなれず遊ぶことも無く家へ帰った。
そして夜が来て、Aがもう昨日の事は忘れようとテレビを見ていた頃である。
突然Aの携帯が鳴った。Bからである。
何か思い出したのかな、と思いその電話を取ってみると、
「なんできのうは逃げちゃったの‥‥‥‥」
それは明らかにBの声では無かった。
Aは一気に寒気に襲われ、そのまま急いで電話を切った。
再びAの携帯が鳴る。予想通りBから…いや、謎の者からだ。
Aはすぐに電源を切った。しかしそれでもしつこく着信音のみが鳴り響いたと言う…。
その後は何も無いらしい‥。
しかしその川の下流では毎年数人は溺れて犠牲になっていることは紛れも無い事実である。その原因はただ川に溺れてしまっただけなのかどうかは分からないが…。
そしてそれは夏休みの出来事だった。
夜十時頃にAの携帯が突然鳴った。
Aの近所に住む中学校からの友人(以降B)からだ。
Aはこんな夜中に何だろうと思い電話を取ってみると、
「今から川原で花火やりに行かへん?」
Bは普段から何かとAを誘ってちょくちょく遊んでいる仲だったため、いつものノリでその誘いに乗って十時半にいつもの川原で落ち合うことにした。
Aの住んでいる町はコンビニも一軒しか無いほどの田舎だ。
落ち合う場所となっている川原も山道を少し進んだ奥にある地元の人間しか知らないような場所だった。
そしてしばらくするとAは川原に着いた。すでにBは花火を開け待っていた。
Bの持ってきた花火は多くなく、すぐに使い切ってしまった。
もうやることも無くなったが、まだ帰る気の無さそうなBは、
「せっかく川に来たんやし、泳ぐか。」
と言ってトランクス姿になって川に飛び込んだ。
Bは初めから泳ぐつもりだったらしくバスタオルを二枚用意してきていた。
地元の人間にとっては、人っ気の無い川原で泳ぐときは見られる事も無いので水着など要らず、タオル一枚あれば十分だそうだ。
Aも夜に川で泳ぐのは初めてで、調子に乗って泳ぎ出した。
川の中は昼間と違って真っ暗で、まるで墨の中を泳いでいるような感じだった。
そのため、Aは早々に川から上がろうとした。
その時‥‥
突然Aの足が何かに引っ張られた。
AはBの仕業だと思った。
しかしもがきながらも川原を見てみるとBがすでに川から上がり立っているではないか。
じゃあ足を引っ張っているのは‥‥
一瞬背筋がゾクっとし、月明かりのよってかろうじて見える足回りを確認した。
‥‥何もいない‥‥‥
そして引っ張られている感じは収まった。
Aはすぐさま川原に上がり、Bにすぐにここを去ろうと告げようとした。
しかしAは自分の目を疑った。Bの顔の後ろに鬼の形相をした顔が浮かんで見えた。
「早く逃げろ!!」
Aは突然の事にあっけにとられているBの手を引っ張りながらその場所を去った。
逃げる最中にBに簡単にそのことを告げた。
するとBがもうすぐ山道を抜けるというところで突然叫び出した。
「おいっ、なんだあれ!?」
A達が走っていく方向に黒い塊が動いていた。
大きさは大体1メートル弱で、人間とも動物とも言えないような物体があった。
そしてその物体はナメクジのように這うようにして動き、A達の行く手を阻むような感じだった。
Bは驚き、来た道を戻っていった。
そしてAもそれに続こうと思ったが出来なかった。
Bが走っていた道を見てみると、木の間に無数に伸びる手が手招きをしていた。
その光景は異様で、月明かりが無く前方の黒い物体の姿は見えないのに、無数に広がる手だけは発光体の様にうっすら見ることが出来た。
AはすぐさまBを呼び戻そうとしたものの、Bには手が見えていないらしくそのまま暗闇に消えていった。
Aは迷った後に、黒い物体の方に走っていった。
眼をつぶり、時々半眼を開けながら黒い物体にぶつからないようにその場を走り抜けた。
山のふもとまで出ることができ、少し安心して後ろを振り返った。
すると先ほどの物体が追いかけてきているではないか。ナメクジなんて動きでは無い、まるで地面を滑るようにしてAに迫っていた。
山のふもとまで出たおかげで月明かりがその物体をかすかに照らし出した。
しかしそれでも、その物体は見えない。周りの草や木なんかはそれなりに見えるのに関わらず、その物体だけはどうしても見えなかった。まるで暗闇が地面を這っているように見えたと言う。
「うわあぁぁぁぁ!!!!!!」
Aは一心不乱に駆け出した。
五分ほどしたであろうか、Aは近所の小学校まで逃げることができた。
Aは逃げるときにとっさに掴んだ自分のバックからTシャツを出し身に着けた。
しかしさすがに深夜の小学校にトランクスとTシャツ姿でいるとこを見つかったら問答無用に捕まると思い、Aはその後は見つからないように帰路に着いた。
途中、後ろから何か追いかけられているような気はしたものの、あえて振り返らず小走りで十分ほどで家に着いた。
Aはそのままお風呂に入り、逃げるように布団に入ると眠りに付いてしまった。
そして翌日、Aは眼を覚ますとすぐにBのことが気に係り電話を入れた。
「なんだよ、こんな朝っぱらから‥」
Bは何事も無かったのかのように話している。
Aは不思議ながらもあの後の経緯を尋ねた。
「は?何言ってんの?昨日ずっと家にいたし。まずお前に電話なんてかけてないし。」
予想外の返答が帰ってきた。Aは必死に昨日の出来事を説明した。
「どうせ夢の中のことだろ?お前寝ぼけすぎ。」
Bの返答に苛立ったものの、同時に安心感も出てきた。
そしてそのまま電話を切り、何気なく着信履歴を確かめていた。
どうせ残って無いだろと思ったのもつかの間‥‥
あった!
確かに昨日の夜十時にBから着信がある。Aはとっさにバックを確かめた。
昨日のままだ。
これは変だと思い、昼になるとBの家に行った。
Bはやはり何も無かったかの様な対応で、おばさんに聞いてもBはその時間にしっかり家に居たと言う…。
Bがその川原に確認に行こうと言い出したが、Aはとてもそんな気にはなれず遊ぶことも無く家へ帰った。
そして夜が来て、Aがもう昨日の事は忘れようとテレビを見ていた頃である。
突然Aの携帯が鳴った。Bからである。
何か思い出したのかな、と思いその電話を取ってみると、
「なんできのうは逃げちゃったの‥‥‥‥」
それは明らかにBの声では無かった。
Aは一気に寒気に襲われ、そのまま急いで電話を切った。
再びAの携帯が鳴る。予想通りBから…いや、謎の者からだ。
Aはすぐに電源を切った。しかしそれでもしつこく着信音のみが鳴り響いたと言う…。
その後は何も無いらしい‥。
しかしその川の下流では毎年数人は溺れて犠牲になっていることは紛れも無い事実である。その原因はただ川に溺れてしまっただけなのかどうかは分からないが…。
2008年03月27日
うなされる理由
夜、ぐっすり寝ていたTさんが急にうなされはじめました。
一緒に寝ていた母親が起きて様子を見ると、Tさんはうなされながら
「腕が痛い腕が痛い」
と言っています。
母親は
「ここが痛むのかい?」
と腕を揉んであげますが、今度は
「足が痛い足が痛い」
と訴えます。
言われるがままに腕や足を揉んでいた母親ですが、Tさんは一向に落ち着く様子もなく、更に
「お腹が痛い」
「背中が痛い」
とエスカレートしていきます。
さすがに様子が変だと思った母親が灯りをつけてみると…、そこには中年男性のような別人の顔になったTさんが布団の上でもがき苦しんでいました。
仰天した母親ですが、すぐさま仏壇の前にTさんを運び、
「ここはあなたの来るような所ではありません行くべき処お帰りください」
というような事を必死に訴え、祈り続けました。
その甲斐あって、Tさんも次第に落ち着きをとり戻し、元に戻っていきました。
翌日知った事ですが、前の晩、近くの交差点で交通事故があり中年の男性が一人亡くなっていたそうです。
時刻はTさんがおかしくなった時とほぼ同じ。
──この出来事はTさん本人も覚えていなかったのですが、高校生になって初めて母親から直に聞かされたそうです。
一緒に寝ていた母親が起きて様子を見ると、Tさんはうなされながら
「腕が痛い腕が痛い」
と言っています。
母親は
「ここが痛むのかい?」
と腕を揉んであげますが、今度は
「足が痛い足が痛い」
と訴えます。
言われるがままに腕や足を揉んでいた母親ですが、Tさんは一向に落ち着く様子もなく、更に
「お腹が痛い」
「背中が痛い」
とエスカレートしていきます。
さすがに様子が変だと思った母親が灯りをつけてみると…、そこには中年男性のような別人の顔になったTさんが布団の上でもがき苦しんでいました。
仰天した母親ですが、すぐさま仏壇の前にTさんを運び、
「ここはあなたの来るような所ではありません行くべき処お帰りください」
というような事を必死に訴え、祈り続けました。
その甲斐あって、Tさんも次第に落ち着きをとり戻し、元に戻っていきました。
翌日知った事ですが、前の晩、近くの交差点で交通事故があり中年の男性が一人亡くなっていたそうです。
時刻はTさんがおかしくなった時とほぼ同じ。
──この出来事はTさん本人も覚えていなかったのですが、高校生になって初めて母親から直に聞かされたそうです。
2008年03月25日
自首
Aは元々は普通のサラリーマン。その彼が刑務所にいる理由は殺人。
殺害されたのはこの人の奥さんで、殺害後、遺体の処理に困ったAは
自宅の冷蔵庫にバラバラにした奥さんを保存していた。
会社から帰ってくると、冷蔵庫から身体を一部をだし、肉は細かく切り
骨はミキサーで粉々にして、部屋のトイレから流していった。
そんな日々が何日か続いて、身体のほとんどがトイレから流れていった。
最期に残ったのが頭部で、やはりこれを細かく刻むのに踏ん切りがつかなかったらしい。
頭部だけが冷蔵庫に残された状態が、何日か続いたある日、Aは夢を見た。
その夢の中で、殺した奥さんが部屋のテーブルに俯いて座っている。
かなり深く俯いてるらしく、表情は伺えない。
でも、テーブルに置かれた手がカタカタと左右に震えていた。
次第にその震えかたが素早くなっていき、爪が、そして指がテーブルの
周りに飛散しはじめた。みるみる内に肘から先がなくなり、ちぎれた
腕からは真っ赤な血が迸り、骨がカタカタのテーブルを叩いていた。
そこで目が覚めたAは全身を汗でべっとりと濡らし、あまりのショックに
身動きが取れなかった。
ようやく落ち着き、リビングへと向かう。すると冷蔵庫が少し開いており
そこから首だけの奥さんが睨みつけていた。
驚いたAは冷蔵庫と閉じ、扉をガムテープで閉じた。
この時にはまだAは自首を考えなかったらしい。
その日、冷蔵庫の中にある頭部の処理に手つかずのAは、仕方が無く新しい冷蔵庫を購入
することにした。一人用の小さい冷蔵庫なので、店からの配達は頼まず持ち帰った
ので、ガムテープ付きの冷蔵庫の存在が公になることはなかった。
その日の夢も同じ場所で奥さんが座っていた。
違ったのは昨日の終わった時点から夢が始まっていること。
テーブルについている奥さんの腕からは真っ赤な血が滴っている。
今度は足が床を蹴っていた。その動きが激しくなり、床をける音も
ドン・ドン・ドン・ドン・ドンドンドンドン ドドドドドドドド!!
と激しくなっていく。次第に床に血がにじみはじめ、足の肉が飛散しはじめる。
テーブルの上では、腕が振り回され血をまき散らしている。
Aの頬にも血が飛んでくるが、身動き一つ取れずにその光景をみている。
頭のなかでは「はやく目覚めてくれ」と叫んでいたが、夢が終わることがなかった。
部屋中に飛び散った血がいやらしく光っていた。
突然、四肢を動きを止めたと思うと俯いていた顔が少しずつ上がりはじめた。
垂れていた前髪が頬にへばりついていく。
髪の隙間からは、上目遣いでAを睨む目が見える。
顔が完全に上がったとき
「ああああぁぁぁぁぁぁぁっ、私の、からだを、返せぇぇぇぇぇぇぇ」
と絶叫が響いた。
この声にAはようやく目を覚ますことができた。
やはり全身に汗をかいていた。
この時、Aは冷蔵庫にある頭部の処理をしようと腹をくくったらしい。
ベッドから飛び出し冷蔵庫の前に行くと、その気持ちが完全に消えた。
あれほど頑丈に止めていたガムテープが全て千切れ、奥さんの頭部が冷蔵庫
から転げ落ちていた。
その目は見開かれ、Aを睨みつけていた。
ここでAは逃げられないと観念したらしく、自首したそうだ。
殺された方の無念はいつまでも生きているらしい。
殺害されたのはこの人の奥さんで、殺害後、遺体の処理に困ったAは
自宅の冷蔵庫にバラバラにした奥さんを保存していた。
会社から帰ってくると、冷蔵庫から身体を一部をだし、肉は細かく切り
骨はミキサーで粉々にして、部屋のトイレから流していった。
そんな日々が何日か続いて、身体のほとんどがトイレから流れていった。
最期に残ったのが頭部で、やはりこれを細かく刻むのに踏ん切りがつかなかったらしい。
頭部だけが冷蔵庫に残された状態が、何日か続いたある日、Aは夢を見た。
その夢の中で、殺した奥さんが部屋のテーブルに俯いて座っている。
かなり深く俯いてるらしく、表情は伺えない。
でも、テーブルに置かれた手がカタカタと左右に震えていた。
次第にその震えかたが素早くなっていき、爪が、そして指がテーブルの
周りに飛散しはじめた。みるみる内に肘から先がなくなり、ちぎれた
腕からは真っ赤な血が迸り、骨がカタカタのテーブルを叩いていた。
そこで目が覚めたAは全身を汗でべっとりと濡らし、あまりのショックに
身動きが取れなかった。
ようやく落ち着き、リビングへと向かう。すると冷蔵庫が少し開いており
そこから首だけの奥さんが睨みつけていた。
驚いたAは冷蔵庫と閉じ、扉をガムテープで閉じた。
この時にはまだAは自首を考えなかったらしい。
その日、冷蔵庫の中にある頭部の処理に手つかずのAは、仕方が無く新しい冷蔵庫を購入
することにした。一人用の小さい冷蔵庫なので、店からの配達は頼まず持ち帰った
ので、ガムテープ付きの冷蔵庫の存在が公になることはなかった。
その日の夢も同じ場所で奥さんが座っていた。
違ったのは昨日の終わった時点から夢が始まっていること。
テーブルについている奥さんの腕からは真っ赤な血が滴っている。
今度は足が床を蹴っていた。その動きが激しくなり、床をける音も
ドン・ドン・ドン・ドン・ドンドンドンドン ドドドドドドドド!!
と激しくなっていく。次第に床に血がにじみはじめ、足の肉が飛散しはじめる。
テーブルの上では、腕が振り回され血をまき散らしている。
Aの頬にも血が飛んでくるが、身動き一つ取れずにその光景をみている。
頭のなかでは「はやく目覚めてくれ」と叫んでいたが、夢が終わることがなかった。
部屋中に飛び散った血がいやらしく光っていた。
突然、四肢を動きを止めたと思うと俯いていた顔が少しずつ上がりはじめた。
垂れていた前髪が頬にへばりついていく。
髪の隙間からは、上目遣いでAを睨む目が見える。
顔が完全に上がったとき
「ああああぁぁぁぁぁぁぁっ、私の、からだを、返せぇぇぇぇぇぇぇ」
と絶叫が響いた。
この声にAはようやく目を覚ますことができた。
やはり全身に汗をかいていた。
この時、Aは冷蔵庫にある頭部の処理をしようと腹をくくったらしい。
ベッドから飛び出し冷蔵庫の前に行くと、その気持ちが完全に消えた。
あれほど頑丈に止めていたガムテープが全て千切れ、奥さんの頭部が冷蔵庫
から転げ落ちていた。
その目は見開かれ、Aを睨みつけていた。
ここでAは逃げられないと観念したらしく、自首したそうだ。
殺された方の無念はいつまでも生きているらしい。