2009年01月20日
4号室
ある男が仲間たちと旅行に出かけ、とある旅館の3号室に泊まった。
その日の深夜、用を足しにトイレに行った男が部屋に戻ってくると、なぜか寝ているはずの仲間たちが忽然と姿を消している。
驚いた男が確認するとそこは4号室、つまり隣の部屋であった。
男は自らのそそっかしいミスに苦笑しながら、自分の部屋に戻る。
しかし、よくよく考えてみると何かがおかしい。そもそも、この旅館に…4号室などあっただろうか?
翌朝、男が隣の部屋のナンバープレートを確認すると、その隣の部屋は5号室となっていた。
その日の深夜、用を足しにトイレに行った男が部屋に戻ってくると、なぜか寝ているはずの仲間たちが忽然と姿を消している。
驚いた男が確認するとそこは4号室、つまり隣の部屋であった。
男は自らのそそっかしいミスに苦笑しながら、自分の部屋に戻る。
しかし、よくよく考えてみると何かがおかしい。そもそも、この旅館に…4号室などあっただろうか?
翌朝、男が隣の部屋のナンバープレートを確認すると、その隣の部屋は5号室となっていた。
2009年01月17日
別れ話にご用心
ある男が同棲している恋人に別れ話を切り出した。
男は彼女に向かい、すぐに荷物をまとめて出て行くように言い渡すと、毎日彼女と顔をあわせることで別れ話についての議論を蒸し返されることを恐れ、しばらくの間家を留守にすることにした。
2週間がたち、男は家に帰ってきた。まだ彼女が居座っていたらどうしようと内心不安であったのだが、そこには彼女の姿も、荷物も残されていない。
ホッとした彼が家のなかを見回していると、電話の受話器が外れ、そこから何か聞いたことのない国の言葉が流れ続けているのに気づいた。
彼女は振られた腹いせに、東京の時報案内にまで国際電話を掛け、受話器をそのままにして出て行ったのだ。やがて男のもとには、数千ドルにも及ぶ電話料金の請求書が届けられた。
男は彼女に向かい、すぐに荷物をまとめて出て行くように言い渡すと、毎日彼女と顔をあわせることで別れ話についての議論を蒸し返されることを恐れ、しばらくの間家を留守にすることにした。
2週間がたち、男は家に帰ってきた。まだ彼女が居座っていたらどうしようと内心不安であったのだが、そこには彼女の姿も、荷物も残されていない。
ホッとした彼が家のなかを見回していると、電話の受話器が外れ、そこから何か聞いたことのない国の言葉が流れ続けているのに気づいた。
彼女は振られた腹いせに、東京の時報案内にまで国際電話を掛け、受話器をそのままにして出て行ったのだ。やがて男のもとには、数千ドルにも及ぶ電話料金の請求書が届けられた。
2009年01月16日
固まる話
「ジョン、お誕生日おめでとう。プレゼントよ」
「うわーい、パパ!ママ!ありがとう!」
ジョンに贈られたのは、本物そっくりのポルシェのゴーカート、最新パソコン、アニメDVD30本。
「よかったね、お兄ちゃん」
「ジョニー、お前の誕生日には何をもらった?」
「ボクはミニカーが1つだったよ。手に乗るようなちっちゃいやつ」
「そんなケチくさいものだったのか?へへ、うらやましいだろーっ」
「ううん。そうでもない」
「やせがまんするなよ!うらやましいくせに!」
「でもボクは癌じゃないからさ…」
「うわーい、パパ!ママ!ありがとう!」
ジョンに贈られたのは、本物そっくりのポルシェのゴーカート、最新パソコン、アニメDVD30本。
「よかったね、お兄ちゃん」
「ジョニー、お前の誕生日には何をもらった?」
「ボクはミニカーが1つだったよ。手に乗るようなちっちゃいやつ」
「そんなケチくさいものだったのか?へへ、うらやましいだろーっ」
「ううん。そうでもない」
「やせがまんするなよ!うらやましいくせに!」
「でもボクは癌じゃないからさ…」
2009年01月13日
窓をたたくもの
深夜、A子さんは異様な物音を聞いて目を覚ました。
何かを引きずっているような音が窓の外から聞こえていた。
道に面している家なのだが、この時間ともなると人通りはない筈であった。
両親が旅行に出かけ1人だった彼女は、怖くなったが、その音に耳を傾けた。
暫くすると音が停まった。
しかし次の瞬間、カーテンを引いてある窓が「ドンッ」と叩かれた。
A子さんの心臓は、胸から飛び出さんばかりに高鳴った。
ドン…ドン…力のない音が何度も聞こえる。
彼女は勇気を振り絞って窓の方へ近寄っていった。
「誰? 誰かいるの?」
窓の外からは返事はない。ただ力無く窓を叩く音だけが聞こえる。
「いたずらだったらやめて下さい!」
震える口唇を抑え、彼女はきっぱりと言い切った。
しかし返事はなく、カーテンの裏からは、ゆっくりとしたテンポで窓を叩く音が聞こえるだけであった。
彼女はカーテンの端に手をかけ、目をつぶって一気に開いた。
ゆっくりと開いた彼女の目に飛び込んできたのは、顔中血だらけの、しかも薄笑いを浮かべた髪の長い女の顔だった。
「きゃ-!!」
彼女は叫び声をあげると、急いで家を飛び出した。
逃げるように友人の家に転がり込んだ彼女は、その夜起きた出来事を友人に話した。
霊感の強い友人は彼女の話を最後まで聞くと、引き出しからお守りを取り出し、それを彼女の首にかけた。
安心した彼女は友人の家で朝までゆっくりと眠った。
朝帰る時、友人は心配してくれたが、彼女は
「お守りがあるから大丈夫」
と一人で帰る事にした。
彼女が家の近くまでくると、周りにはかなりの数のパトカーが停まっていた。
近くに立っていた主婦に彼女は聞いてみた。
「何かあったんですか?」
主婦は答えた。
「昨夜、通り魔に襲われた女の人がここまで逃げてきたんだけど、そこの家の所に来て息絶えてしまったんだって。可哀想に」
主婦の示した指の先には、彼女の家があった。
何かを引きずっているような音が窓の外から聞こえていた。
道に面している家なのだが、この時間ともなると人通りはない筈であった。
両親が旅行に出かけ1人だった彼女は、怖くなったが、その音に耳を傾けた。
暫くすると音が停まった。
しかし次の瞬間、カーテンを引いてある窓が「ドンッ」と叩かれた。
A子さんの心臓は、胸から飛び出さんばかりに高鳴った。
ドン…ドン…力のない音が何度も聞こえる。
彼女は勇気を振り絞って窓の方へ近寄っていった。
「誰? 誰かいるの?」
窓の外からは返事はない。ただ力無く窓を叩く音だけが聞こえる。
「いたずらだったらやめて下さい!」
震える口唇を抑え、彼女はきっぱりと言い切った。
しかし返事はなく、カーテンの裏からは、ゆっくりとしたテンポで窓を叩く音が聞こえるだけであった。
彼女はカーテンの端に手をかけ、目をつぶって一気に開いた。
ゆっくりと開いた彼女の目に飛び込んできたのは、顔中血だらけの、しかも薄笑いを浮かべた髪の長い女の顔だった。
「きゃ-!!」
彼女は叫び声をあげると、急いで家を飛び出した。
逃げるように友人の家に転がり込んだ彼女は、その夜起きた出来事を友人に話した。
霊感の強い友人は彼女の話を最後まで聞くと、引き出しからお守りを取り出し、それを彼女の首にかけた。
安心した彼女は友人の家で朝までゆっくりと眠った。
朝帰る時、友人は心配してくれたが、彼女は
「お守りがあるから大丈夫」
と一人で帰る事にした。
彼女が家の近くまでくると、周りにはかなりの数のパトカーが停まっていた。
近くに立っていた主婦に彼女は聞いてみた。
「何かあったんですか?」
主婦は答えた。
「昨夜、通り魔に襲われた女の人がここまで逃げてきたんだけど、そこの家の所に来て息絶えてしまったんだって。可哀想に」
主婦の示した指の先には、彼女の家があった。
2009年01月11日
外車の復讐
あるところに乗りなれた外車を大切に使っている夫人がいた。
そしてある日、婦人のもとに車のセールスマンがやってきて新車の売込みをした。
「さきほどガレージで見ましたが、今使ってらっしゃっている車はだいぶ古いのではないですか?もしよろしければ、弊社で下取りさせていただきまして新車をお安く売らせていただきますよ」
セールスマンの必死の売り込みに、夫人も今使っている外車の調子が最近悪いため、そろそろ買い換えようと決心した。
「わかったわ。新しい車を買うことにします。だけどちょっとお願いがあるの。
今まで使っていた車は人の言葉が分かるみたいなの。飼い主の妄想かもしれないけど、あの車の前で買い替えの話はしないで頂戴ね。それを知ったらきっと嫉妬すると思うの」
セールスマンは夫人の言葉を全く信じず、持ち主の妄言だと思った。そして、契約が取れたうれしさもあってか夫人の家から帰るときガレージに停めてあった車に向かって
「お前はそろそろ売られちゃうんだぞ、それまでせいぜい頑張れよ」
と言ってボンネットをポンポネットを叩いて上機嫌のうちに帰宅した。
数週間後―
セールスマンは夫人の家に新しい車を納品した。
そして、夫人が今まで使っていた車を売るために工場へ運ぼうとしてエンジンをかけたそのとき
ボォン!!
キーをまわした瞬間に車のエンジンが爆発し、セールスマンは死んでしまったという。
言葉が分かるという外車の復讐は見事に達成されたのだ。
そしてある日、婦人のもとに車のセールスマンがやってきて新車の売込みをした。
「さきほどガレージで見ましたが、今使ってらっしゃっている車はだいぶ古いのではないですか?もしよろしければ、弊社で下取りさせていただきまして新車をお安く売らせていただきますよ」
セールスマンの必死の売り込みに、夫人も今使っている外車の調子が最近悪いため、そろそろ買い換えようと決心した。
「わかったわ。新しい車を買うことにします。だけどちょっとお願いがあるの。
今まで使っていた車は人の言葉が分かるみたいなの。飼い主の妄想かもしれないけど、あの車の前で買い替えの話はしないで頂戴ね。それを知ったらきっと嫉妬すると思うの」
セールスマンは夫人の言葉を全く信じず、持ち主の妄言だと思った。そして、契約が取れたうれしさもあってか夫人の家から帰るときガレージに停めてあった車に向かって
「お前はそろそろ売られちゃうんだぞ、それまでせいぜい頑張れよ」
と言ってボンネットをポンポネットを叩いて上機嫌のうちに帰宅した。
数週間後―
セールスマンは夫人の家に新しい車を納品した。
そして、夫人が今まで使っていた車を売るために工場へ運ぼうとしてエンジンをかけたそのとき
ボォン!!
キーをまわした瞬間に車のエンジンが爆発し、セールスマンは死んでしまったという。
言葉が分かるという外車の復讐は見事に達成されたのだ。
2009年01月10日
エミリーの手袋
あるところにエミリーという少女がいた。ある日のこと、エミリーはお母さんに買ってもらったばかりの赤い手袋をなくしてしまう。
そこでエミリーは、丘の上に住む魔法使いのおじいさんに助けを求めることにした。
すると、おじいさんはなぜかエミリーのなくした手袋を持っており、それをエミリーに返してくれた。ただしおじいさんは一言、彼女にこう約束をさせる。
「この手袋が私の家にあったと、決して誰にも言ってはならん。もし、誰かに喋ったら、今夜時計が真夜中の12時を打つとき、おまえをベッドから連れて行く」
ところが、家に帰ったエミリーはうっかり口を滑らし、母親に手袋が魔法使いのおじいさんの家にあったと告げてしまったのだ。
その日の真夜中、時計が12時を打つ頃になると、階段からこんな声が響いてきた。
「エミリー、ほうら一段のぼったぞ」
「エミリー、ほうら二段めだ」
恐怖に震えるエミリーの耳に、なおも声は響き続ける。
「エミリー、いよいよ十一段だ」
「エミリー、とうとう十二段のぼったぞ」
「エミリー、わしはおまえの部屋の前」
「エミリー、ほうらつかまえた!」
それ以来、エミリーの姿を見たものはいない。
そこでエミリーは、丘の上に住む魔法使いのおじいさんに助けを求めることにした。
すると、おじいさんはなぜかエミリーのなくした手袋を持っており、それをエミリーに返してくれた。ただしおじいさんは一言、彼女にこう約束をさせる。
「この手袋が私の家にあったと、決して誰にも言ってはならん。もし、誰かに喋ったら、今夜時計が真夜中の12時を打つとき、おまえをベッドから連れて行く」
ところが、家に帰ったエミリーはうっかり口を滑らし、母親に手袋が魔法使いのおじいさんの家にあったと告げてしまったのだ。
その日の真夜中、時計が12時を打つ頃になると、階段からこんな声が響いてきた。
「エミリー、ほうら一段のぼったぞ」
「エミリー、ほうら二段めだ」
恐怖に震えるエミリーの耳に、なおも声は響き続ける。
「エミリー、いよいよ十一段だ」
「エミリー、とうとう十二段のぼったぞ」
「エミリー、わしはおまえの部屋の前」
「エミリー、ほうらつかまえた!」
それ以来、エミリーの姿を見たものはいない。
2008年12月16日
彼女を作らない理由
Hには昔彼女がいたが、白血病になった。
Hは頻繁にお見舞いに行ったり美味しいもの買ってきたりして、彼女を慰めた。
彼女も喜んでいたが悲しい事に、亡くなってしまった。
しばらく抜け殻のようにHはなっていたが、49日あたりの時、彼女が現れた。
1人で酒飲んでて、トイレから戻ってきたら生前の姿でベッドに腰掛けていたという。
Hは涙をボロボロ流して、会いにきてくれたか~そうかぁ~的な事を叫んだ。
彼女もニッコリと笑いながら、何かつぶやいていた。
Hが泣きながらベッドの彼女の横に座ると、彼女は本当に天使の様にニッコリ笑いながら
「死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ」
と呪文の様につぶやいているのが聞こえたという。
笑顔だけに心底ゾッとしたと言う。
百年の恋も冷め、翌日すぐに懇意のお寺に行った。「これはいけませんなぁ」と住職。
お払いしてもらったら出なくなったという。
「別に浮気してたわけでもなし…もう誰も信じられなくなったなぁ」
Hはそれ以来、女遊びはするが、彼女を作る事はしなくなったという。
Hは頻繁にお見舞いに行ったり美味しいもの買ってきたりして、彼女を慰めた。
彼女も喜んでいたが悲しい事に、亡くなってしまった。
しばらく抜け殻のようにHはなっていたが、49日あたりの時、彼女が現れた。
1人で酒飲んでて、トイレから戻ってきたら生前の姿でベッドに腰掛けていたという。
Hは涙をボロボロ流して、会いにきてくれたか~そうかぁ~的な事を叫んだ。
彼女もニッコリと笑いながら、何かつぶやいていた。
Hが泣きながらベッドの彼女の横に座ると、彼女は本当に天使の様にニッコリ笑いながら
「死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ」
と呪文の様につぶやいているのが聞こえたという。
笑顔だけに心底ゾッとしたと言う。
百年の恋も冷め、翌日すぐに懇意のお寺に行った。「これはいけませんなぁ」と住職。
お払いしてもらったら出なくなったという。
「別に浮気してたわけでもなし…もう誰も信じられなくなったなぁ」
Hはそれ以来、女遊びはするが、彼女を作る事はしなくなったという。