2008年11月26日
コインロッカー
ある女が赤ちゃんを産んだものの育てられず、駅のコインロッカーに遺棄して死なせてしまうという痛ましい事件が発生した。
警察の懸命の捜査も虚しく、遺棄した人物は特定できず、その女は平穏な生活へ戻っていった…
それから数年後、その女はごく平凡なサラリーマンと結婚し、幸せな家庭を築いていた。そして、結婚2年目のその身体には、新たなる生命が宿っていた。その女にとっては、2度目の妊娠であった。
妊娠してみて、その女は初めて、以前捨てた子供のことに思いをはせた。「これから産もうとする子と比べ、なんて可哀相なことをしたのだろう…」女は自責の念に駆られ、人知れず涙した。
そしてその女は、「せめて花だけでも添えて供養したい」と思い、花を持参して赤ちゃんを捨てたコインロッカーの所へ向かったのであった。
あの日以来、決して足を向けることのなかったその駅は、数年の歳月を経て、その雰囲気は大きく変わっていた。
そのため、女は例のコインロッカーの場所がわからず、途方に暮れるのであった。
交番や駅員、あるいは町行く人々に聞けばよいのだが、「後ろめたい事をしている」という気持ちのせいか、それもできず、いたずらに時間だけが過ぎていった。
身重の身体がきつくなってきた。
その時、「コインロッカーを捜してるの?」と、突然背後から声がした。振り向くと、そこには8歳ぐらいの色白の男の子がたっていた。女が「うん、そうなんだけど、場所がわからなくて…」と言うと、男の子は、「僕、知ってるよ!こっちだよこっち」と言って、女の手を取り迷路のような構内を走り始めた。
心身ともに疲れきっていた女は、その子供に引かれるまま、その後を着いていった。
そして、女はあのコインロッカーの前に辿り着いた。
そう、そこは確かにあの時のコインロッカーだった…女は、安堵感から「フー」と一息ついた後、男の子に「ありがとう」と礼を言った。男の子は、ニコリともせず、ジーッっと女の顔を見ていた。
その時になって初めて女は、いくつかの不審点に気がついた。
この男の子は、どうして1人なのだろう?なんで、こんな迷路のような駅の構内を熟知しているのだろう?そして。どうしてこの子は、私がコインロッカーを捜していることがわかったのだろう?女は、恐る恐るその子にきいてみた。
「僕、1人みたいだけど、ママとかは一緒じゃないの?」すると男の子は、ようやく女から視線を外して、うつむき、小さな声で「ママは…ママは…ママは…」と呪文のように唱えた後、再び女の方を向き、
「ママはお前だぁ~」と叫んだのであった。そして、翌日、無理矢理ロッカーに詰め込まれた女の死体が発見された。そのロッカーの前には、女を供養するかのように「花」が添えられていた。その花が、女自身が持参したものであることは、誰も知らない…
警察の懸命の捜査も虚しく、遺棄した人物は特定できず、その女は平穏な生活へ戻っていった…
それから数年後、その女はごく平凡なサラリーマンと結婚し、幸せな家庭を築いていた。そして、結婚2年目のその身体には、新たなる生命が宿っていた。その女にとっては、2度目の妊娠であった。
妊娠してみて、その女は初めて、以前捨てた子供のことに思いをはせた。「これから産もうとする子と比べ、なんて可哀相なことをしたのだろう…」女は自責の念に駆られ、人知れず涙した。
そしてその女は、「せめて花だけでも添えて供養したい」と思い、花を持参して赤ちゃんを捨てたコインロッカーの所へ向かったのであった。
あの日以来、決して足を向けることのなかったその駅は、数年の歳月を経て、その雰囲気は大きく変わっていた。
そのため、女は例のコインロッカーの場所がわからず、途方に暮れるのであった。
交番や駅員、あるいは町行く人々に聞けばよいのだが、「後ろめたい事をしている」という気持ちのせいか、それもできず、いたずらに時間だけが過ぎていった。
身重の身体がきつくなってきた。
その時、「コインロッカーを捜してるの?」と、突然背後から声がした。振り向くと、そこには8歳ぐらいの色白の男の子がたっていた。女が「うん、そうなんだけど、場所がわからなくて…」と言うと、男の子は、「僕、知ってるよ!こっちだよこっち」と言って、女の手を取り迷路のような構内を走り始めた。
心身ともに疲れきっていた女は、その子供に引かれるまま、その後を着いていった。
そして、女はあのコインロッカーの前に辿り着いた。
そう、そこは確かにあの時のコインロッカーだった…女は、安堵感から「フー」と一息ついた後、男の子に「ありがとう」と礼を言った。男の子は、ニコリともせず、ジーッっと女の顔を見ていた。
その時になって初めて女は、いくつかの不審点に気がついた。
この男の子は、どうして1人なのだろう?なんで、こんな迷路のような駅の構内を熟知しているのだろう?そして。どうしてこの子は、私がコインロッカーを捜していることがわかったのだろう?女は、恐る恐るその子にきいてみた。
「僕、1人みたいだけど、ママとかは一緒じゃないの?」すると男の子は、ようやく女から視線を外して、うつむき、小さな声で「ママは…ママは…ママは…」と呪文のように唱えた後、再び女の方を向き、
「ママはお前だぁ~」と叫んだのであった。そして、翌日、無理矢理ロッカーに詰め込まれた女の死体が発見された。そのロッカーの前には、女を供養するかのように「花」が添えられていた。その花が、女自身が持参したものであることは、誰も知らない…
Posted by ドケット at 12:21│Comments(0)
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