2008年06月23日

山小屋の老婆

昔、バブルで社会がハジけてた時の話。




ある男が、仕事に成功して物凄く儲けた。莫大な金を手に入れ、気分もハイテンションだった。


だがバブル崩壊の時期が訪れてしまい、一気に男は貧乏になってしまった。家でちゃんとした生活をする余裕もなく、仕事もリストラされ、車や家具はほとんど売り払った。


しかし暫くすると、食いつないでいく食料もなにもかもなくなった。おまけに多額の借金まで背負った。


もう生きる気力を無くし、男は自殺するため山を登った。


夕暮れ。カラスの鳴き声が響き渡り、午前は空気が清々しく光の差し込む山も、暗く鬱蒼とした雰囲気に包まれ光は一切遮断された。


自殺するために来た男だったが、時間が経つにつれ恐怖心が生まれてきた。いや、死ぬんだ!!と思うも、やはりすぐに恐怖心に掻き消されてしまう


とうとう、男は自殺という考えを消した。そして生き延びるため、人を探し始める。だが自分が今どの位置に居るかも分からず、途方に暮れていると一軒の小屋を見つけた。


相当古いものなのか、かなり年季がはいっていた。男は一目散に小屋へ駆け寄った


「すいません!!」


中には老婆が居た。痩せこけており、けれど優しく男を迎えた


「泊まっていくがいいぞぇ」


男は老婆に感謝した。床を与えてもらい、男は眠りについた…



男は明け方、目が覚めた。何やら囲炉裏の方で紙の擦れる音がするのだ


「(なんだ?婆さんか?)」


疑問を抱きながら、そっとボロイ扉の隙間から様子を伺う。すると。


老婆が、不気味な笑顔を貼り付けながら何十枚もあるお札を数えていた


「(かっ‥金だ!!)」


男の視線はお札に釘付けになり、ふとよからぬ考えが頭を過ぎる。あれだけあれば、十分に生活が出来る‥‥


問答を繰り返し、結局は1つの答えに男は行き着いてしまった。


「!?あっ、あぁお前さんかい。早いねぇ」


慌ててお金を隠そうとする老婆を押さえつけ、手のうちのお札をもぎ取る。


抵抗する老婆を殺し、お金を全て回収すると急いで山を下った。


幸い外は明るい為、道に迷うことは無かった



それから何年かした後。男はまた、借金を背負い、生きていけなくなってしまった。途方にくれ、再びあの山に登った。自殺するために


‥しかし、また恐怖が男を襲った。怖い。男は、生きることを決意した。生きるため、山をさまよった。人を探しながら。


すると、小屋を見つけた。男は喜んで駆け寄り、扉を開ける


「すいません!!誰か居ませんか!?」


男が部屋を見渡す。真ん中の辺りに、ごろりと何かが寝転がっていた


「?」




不思議に思い近づく。それは、人のようだった





「あのー?何かあったんですか?」




寝てるのか、ピクリとも動かない。気付けば、腐ったような臭いがしてきた


「え‥?」





奇妙に思い始め、後ずさる‥‥が。転がっていたソレが、男の足を掴む



「ひっ」




どろりと腐肉とともに流れ落ちる白髪を引きずりながら、ソレは男に言い放つ









「お前が殺したんだろう!!!!!!」


同じカテゴリー(都市伝説)の記事画像
夜景撮影
リカちゃん電話
同じカテゴリー(都市伝説)の記事
 マレー〇〇人 (2009-08-21 21:12)
 夜警 (2009-06-12 09:59)
 どちらが幸せ (2009-05-18 11:16)
 幻の白い館 (2009-05-09 11:20)
 坊さん (2009-05-05 20:29)
 チョコ (2009-05-02 18:34)

Posted by ドケット at 12:57│Comments(0)都市伝説
※会員のみコメントを受け付けております、ログインが必要です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。