2008年03月19日
禁煙活動家
その初老の男は、巨大な高層ビルの壁にもたれて、ぷかりぷかりと煙草を吸っていた。
「もし」
通りがかりの禁煙活動家が声を掛けた。
「失礼だが、あなたは煙草を吸うことに対して他人に迷惑をかけているという自覚はありますか?」
「いいや。ここなら誰にも迷惑をかけてない」
「では、このビルや敷地の持ち主に対してはどうです?」
「いいや。第一ここに灰皿が置いてあるだろう」
「あなたは一日何箱煙草を吸うのですか?」
「4箱だな」
「では、それを何年続けています?」
「30年だ」
「そうなると、4万箱以上ですね」
禁煙家は、にやりとした。
「もし、あなたが煙草を吸っていなければ、このビルは無理としても小さな小さなビルの頭金くらいにはなったかもしれませんね」
「ふーむ」
男は、また煙をぷかりと出した。
「ところであなたは煙草を吸わないのかね?」
「まさか」
禁煙家は胸をはって答えた。
「生まれてこの方、吸ったことはありませんな」
「ビルは持っているのかね?」
「まあ・・・ビルまではなかなか」
「ふうん」
男は煙草を消すと、ビルの入り口に向かって歩き出しながら言った。
「わたしはこのビルの持ち主なんだ」
「もし」
通りがかりの禁煙活動家が声を掛けた。
「失礼だが、あなたは煙草を吸うことに対して他人に迷惑をかけているという自覚はありますか?」
「いいや。ここなら誰にも迷惑をかけてない」
「では、このビルや敷地の持ち主に対してはどうです?」
「いいや。第一ここに灰皿が置いてあるだろう」
「あなたは一日何箱煙草を吸うのですか?」
「4箱だな」
「では、それを何年続けています?」
「30年だ」
「そうなると、4万箱以上ですね」
禁煙家は、にやりとした。
「もし、あなたが煙草を吸っていなければ、このビルは無理としても小さな小さなビルの頭金くらいにはなったかもしれませんね」
「ふーむ」
男は、また煙をぷかりと出した。
「ところであなたは煙草を吸わないのかね?」
「まさか」
禁煙家は胸をはって答えた。
「生まれてこの方、吸ったことはありませんな」
「ビルは持っているのかね?」
「まあ・・・ビルまではなかなか」
「ふうん」
男は煙草を消すと、ビルの入り口に向かって歩き出しながら言った。
「わたしはこのビルの持ち主なんだ」
Posted by ドケット at
12:39
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