一寸ババア

ドケット

2007年04月29日 09:11

ある静かな温泉宿で惨劇が起きた。

トイレで宿泊客女性の惨殺死体が見つかったのだ。
女性の死体は、鋭利な小さい刃物でめった刺しにされていたり、
えぐり取られていたりとひどい有様だった。

そのうえ、トイレには鍵がかかっており、
この密室殺人に警察も急いで対応した。

この事件を聞いて震え上がった人間が一人いた。
犯人ではない。
その男はこのトイレに小型のビデオカメラを設置して
隠し撮りを行っていた男であった。

このまま捜査が進めば自分が設置した
ビデオカメラが発見されて自分も捕まってしまうだろう。

もしかしたら殺人の容疑もかかってしまうかもしれない。
思いつめた彼は警察に自首し、すべてを話した。
盗撮に使ったたビデオカメラは発見された。

この盗撮男の行動は犯罪であるが、
事件の捜査には重要な手がかりになった。

このトイレを盗撮したビデオテープには、
被害者女性も写っているはずである。
必然的に犯人も写っているはずで、
どのような状況でこの殺人が行われたかを知ることができるのだ。

さっそくビデオデッキにテープを入れて検証が始まった。
思ったとおり、被害者女性は写っており、
用を足すシーンがテレビに映し出された。

そして女性が用を足し終えて立ち上がった瞬間に、
トイレの窓から小さいシルエットが入ってきた。

なんとそれは小さな老婆であった。
手には針のようなものを持っている。

その老婆はものすごいスピードで女性の体をめった刺しにして、
肉をえぐり取った。

あまりの状況にビデオの前であっけにとられる捜査員。

倒れて動かなくなった女性の横で、
老婆はものすごい形相でこちらを
つまりカメラのほうを睨んでこう言った。

「次はおまえの番だよ」

そして、捜査員のいる部屋の天井がゴトリと音を立てた。

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