釣り人の恐怖体験

ドケット

2007年12月16日 09:38

夫婦で小料理店をしている釣り好きなYさんという男性がいた。

店が休みの日には必ずと言っていいほど釣りに行っていた。

ある休日の前日いつもと同じように釣りに行く準備をしていると妻が突然「ねえ、たまには友達でも連れて行ったら?」と言ってきた。

Yさんは少し考えて「そうだな、いつも一人だとつまんねえからな」と言って同じ釣り好きで店の常連でもあるKさんを誘った。たまには違う所に行こうということになって釣り好きの間でもあまり知られていない山奥の川にでかけることになった。

早朝から釣りたい気持ちもあって二人は泊まりで行く事にした。

夜の11時に出発した二人は目的地まで車を走らせ着いたのが12時。しかしそこにはすでに車が一台あった。

「先客がいたかあ」とYさんが言うと向こうから雨ガッパを被って太い木の棒を持った男性が来た。

「どうも!おたくも釣りですか?」と言うと「ええ、そんなとこです」と言って男は去っていった。

変な人だと思ったがあまり気にしなかった。

少しお腹がすいた二人は持ってきた肉を焼いて食べることにした。

食べ終えたKさんが川まで皿を洗ってくると言って立つとYさんが「明日でもいいよ明日、朝早いから寝よう」
二人は疲れていたのかすぐに眠りに入った。


しばらくしてYさんはふと目が覚めた。

何気に川原の方に目をやるとさっきの男が火を燃やしていた。

寝起きのせいもあって焚き火かなと思い気にも留めず翌日二人は普通に釣りをして帰宅した。


それから数ヶ月後Kさんが新聞を持って慌てて店に来た。


「Yさん!これ見てくださいよ!」


「慌ててどうしたんだよ」と新聞を見ると

「夫が妻を殺害し死体を焼く」とあり、その焼いた場所が二人が釣りに行ったあの場所だった。もしかして…

その後警察がYさんの店を訪ねてきて見せた写真にはあの男が写っていた。

そう、あの男は殺人鬼だったのだ。

数ヶ月前のあの日、男はささいな口論の末妻を刺し殺し死体をばれないように山奥の川原で燃やそうとしたところにYさん達が来たのだ。

気付かれたと思ってYさんを木の棒で殴り殺そうと近づいたがKさんがいたため止めたと言う。あの時焚き火だと思っていた火は実は死体を焼いていた火だったのだ。


もし釣りに行く前の妻のあの一言が無かったら…そしてもしKさんが川原に降りて行っていたら…
二人はここに居なかったかもしれない。

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