窓をたたくもの

ドケット

2009年01月13日 12:20

深夜、A子さんは異様な物音を聞いて目を覚ました。


何かを引きずっているような音が窓の外から聞こえていた。




道に面している家なのだが、この時間ともなると人通りはない筈であった。





両親が旅行に出かけ1人だった彼女は、怖くなったが、その音に耳を傾けた。
暫くすると音が停まった。





しかし次の瞬間、カーテンを引いてある窓が「ドンッ」と叩かれた。
A子さんの心臓は、胸から飛び出さんばかりに高鳴った。
ドン…ドン…力のない音が何度も聞こえる。

彼女は勇気を振り絞って窓の方へ近寄っていった。




「誰? 誰かいるの?」


窓の外からは返事はない。ただ力無く窓を叩く音だけが聞こえる。
「いたずらだったらやめて下さい!」
震える口唇を抑え、彼女はきっぱりと言い切った。
しかし返事はなく、カーテンの裏からは、ゆっくりとしたテンポで窓を叩く音が聞こえるだけであった。




彼女はカーテンの端に手をかけ、目をつぶって一気に開いた。








































































ゆっくりと開いた彼女の目に飛び込んできたのは、顔中血だらけの、しかも薄笑いを浮かべた髪の長い女の顔だった。
「きゃ-!!」
彼女は叫び声をあげると、急いで家を飛び出した。

逃げるように友人の家に転がり込んだ彼女は、その夜起きた出来事を友人に話した。

霊感の強い友人は彼女の話を最後まで聞くと、引き出しからお守りを取り出し、それを彼女の首にかけた。
安心した彼女は友人の家で朝までゆっくりと眠った。

朝帰る時、友人は心配してくれたが、彼女は
「お守りがあるから大丈夫」
と一人で帰る事にした。


彼女が家の近くまでくると、周りにはかなりの数のパトカーが停まっていた。
近くに立っていた主婦に彼女は聞いてみた。
「何かあったんですか?」
主婦は答えた。
























































































「昨夜、通り魔に襲われた女の人がここまで逃げてきたんだけど、そこの家の所に来て息絶えてしまったんだって。可哀想に」

主婦の示した指の先には、彼女の家があった。

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