サン・ジェルマン伯爵の謎
18世紀ヨーロッパ。
その人物は忽然と姿をあらわした。
「サン・ジェルマン伯爵」
彼はそう呼ばれていた。
彼はすべての言語を話すことが出来たといわれる。
彼が最初に登場するのは1710年。
フランスの音楽家ジャン・フィリップ・ラモーは彼についてこう記している。
「彼は不思議な人物だ。50歳くらいに見えるが、もっと若いかもしれないし、もっと年をとっているのかもしれない。おそろしいほど話題が豊富で、ついつい話に引き込まれる。彼と話していると、なんだか時間を超越した世界に生きているような気がしてくる」
それから約40年後、彼は現れた。
彼が現れた場所はパリの昼食会。
この時に彼と話した人物はやはり50歳前後に見えたという。
カザノヴァは彼について「回想録」の中でこう述べている。
「彼は私の度肝を抜くようなことを口にした。ダイヤを溶かしてそれから最も美しい透明度を持つダイヤを1ダースくらい作ってみせるとか、特殊な秘薬のおかげで何も食べる必要がない、などというのである。そして、本当は自分は300歳なのだともいう…」
事実、昼食会でも彼は何も口にしなかったという。
また、フランス国王ルイ15世のダイアモンドの傷を実際に直したという。
彼は昼食会で自分のことをこう話している。
「私は今から200年以上も前、スペイン国王フェルナンド5世の大臣をしていた。バビロニアにいたころは、ネブカドネザル大王が建設したバビロンの都にも行きました」
そして相手が信用しない場合はあらゆる証拠を示したという。
一説に彼は1780年前後にドイツのシュレスヴィッヒで死んだといわれている。
だが…
証拠が全くない。また、その後も発見報告が続いている。
最後に発見されたのは1822年にインドに旅立つところだった。
彼の執事のロジェはサン・ジェルマンについてこう話していた。
「ご主人様は誰にでも自分は4000歳だとおっしゃるのです。私はこちらにつとめて100歳ほどにしかなりません」
サン・ジェルマン伯爵。なんとも謎めいた話だが、若返りの秘薬を使用したという噂やタイムトリッパーなのではないかと一部では囁かれている。
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