連れて行くから

ドケット

2007年12月01日 12:11

ある主婦の方の母親が先日亡くなったので、嫁ぎ先から実家に帰郷して行った。

次の日に、その主婦の職場に電話があり、父親も亡くなったので職場への復帰が遅れるという。

24時間以内の立て続けに両親が他界・・・・これには因縁めいた話があった。

先に亡くなった主婦の母親は生前こんなことを言っていた。

「私がさきに死んだら、この人を一緒に連れて行くから」

「この人」とは父親のことである。父親は大変に気難しい方だったので、私が死んでしまったら子供たちに迷惑が掛かるので一緒に連れて行くというのだ。

主婦も含め子供たちは
「そんなこと言ってもどうやって連れて行くのさ」と半分あきれて言うと

母親「近くに川があるからそこに顔を突っ込んで」
本気なのか冗談なのかそんなことを言うのだ。

母親の死後、これらの言葉は本気だったということを子供たちは知ることになる。

母親が亡くなり、家族はこれから行われる葬儀のための準備に追われていた。父親は身だしなみを整えるため、風呂の鏡で伸びたヒゲを剃りに行った。

しかし、1時間たっても風呂から戻ってこない。気になり見に行くと、父が倒れて亡くなっていた。

死因は心臓麻痺によるもので、ヒゲを剃っている途中で亡くなったのだが、発見されたとき父親は湯船に張ってあった水に顔を突っ込んだ形で倒れて亡くなっていた。母親が亡くなって1日も経たないうちの出来事である。

このとき母親が言っていた言葉を思い出した
「近くの川で・・・・・・」
母親が生前の言葉通りに父親を連れて行ったのだ。

子供たちに迷惑を掛けまいという思いやりと、あの世でも寄り添っていたいという激しい思いから父親を一緒に連れて行ったのだろう・・・と残った家族は話しあった。

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